労働者派遣事業部門の全国労働協約
(労働者派遣事業協会−三大労組CGIL・CISL・UIL間の協約)
○前置き
この全国労働協約は、部門の特殊性を規制するために1993年7月23日議定書と97年法律196号に基づいている。
当事者は以下の点について合意する。すなわち、
(1)労使関係のより前進した制度
(2)派遣労働の発展と法的なより一貫した規制のために提案を行うこと
(3)それぞれの当事者による完全な遵守
(4)当事者の間で対立が生じた場合(15日以内に)解決すること
◎労使関係の諸制度
○第1条 情報の諸権利
毎年共同して以下のことについて検討する
・雇用の動向
・職業訓練部門
・組織モデルの必要性
○第2条 全国的範囲
当事者は以下の制度を設立することについて合意する
・全国監視委員会
・全国労使二者委員会
(それぞれの構成メンバーは6:派遣事業者協会、3大労組及びその随員)
○第3条 全国監視委員会
・派遣業部門と雇用の展望・見込みに関して報告を準備すること
・職業訓練及び職業の資格付に関する分析を行うこと
○第4条 地域的事業所的範囲
○第5条 全国労使二者委員会
同委員会は次のことを実施するために3カ月以内に設立される
(1)合意の尊重の担保 (2)協約の更新 (3)協約上の紛争の調査
◎紛争の調停
○第6条 手続き
すべての紛争 調停前置(労働者派遣事業協会)
労働者からの提起 組合組織を通じて調停を申請
派遣団体に書留郵便で紛争通告
使用者からの提起の場合 当該労働者に書留で通告。8日以内に労働組合にも
10日日以内に当事者を召喚
調停は90日以内に解決
○第7条 労使二者委員会
◎組合活動権
○第8条 組合代表〔職場委員〕
派遣労働者保護の目的で三大労組による統一代表〔職場委員〕制度を設立
統一代表〔職場委員〕が、ある派遣期間に活動するとき
→少なくとも3日前に派遣会社に通告
派遣労働者の労働時間1700時間毎に、派遣会社は1時間の組合休暇(1時間あたり15000リラ)を総集時間として与える
1月と7月中に〔半年毎に〕時間数の集計
→企業は、時間数を通知し、労働者派遣事業協会の口座に振り込み
→協会から翌月中に関係代表〔職場委員〕に支払
○第9条 組合役員
執行委員会(全国、州、地域)メンバー →少なくとも6ヵ月の勤続する労働者から選出
すべての会社は、毎年48時間の有給組合休暇を保障
組合休暇の利用は 3日前に通告
有給の金額は、「組合役員」口座に振り込み
○第10条 全員集会
労働者は、労働時間外でも、企業が使用を認める場所で集会する権利を有している。
派遣労働者は、派遣先企業の全員集会に参加する権利を有している。
集会→少なくとも5日前に文書で召集→参加する労働組合の組合役員の名前で通告
全員集会に参加するための個々の労働者への有給時間保障(月あたり)
労働時間数×10/1800 〔例:月180時間の場合、1時間〕
○第11条 組合掲示板
すべての職場と支店・支所
○第12条 組合費
組合費天引き(チェックオフ)→賃金1%相当額
○第13条 契約費用
チェックオフのための手数料 各労働者ごとに3000リラを支払
○第14条 安全衛生
安全衛生に関する94年法(626号)、97年法(196号)
派遣労働者には、法令の定める文書で、特別な危険、訓練など情報を伝えること
全国労使二者委員会の役割
(1)地域委員会の調整
(2)安全教育のモデル等
◎労働者の分類
○第15条 職業格付け(分類)
グループA 管理職
グループB 上級職・特殊技能者
グループC 労働者
○第16条 分類の発展
労使委員会で、新たな状況に対応して管理
○第17条 採用
文書で決めるべき事項
・期間を定めた労働契約の場合
(1)派遣労働利用の理由
(2)派遣会社と登録番号
(3)97年法(196号)所定の義務〔安全衛生関連〕
(4)派遣先企業と関係者
(5)派遣先企業の産業分類
(6)職務と格付け
(7)(もしあるとすれば)試用期間
(8)就業場所
(9)労働時間
(10)集団的経済待遇
(11)適用全国労働協約と補充規定
(12)全国協約第2条による規範的待遇
(13)就労開始日と終了日
(14)安全措置
(15)個人情報利用の許可
・期間を定めない労働契約の場合
採用時、上の(2)、(3)、(5)、(7)、(15)項目を定めた文書
待期手当、(1)、(4)、(6)、(8)、(9)、(10)、(12)、(13)、(14)を定めた文書の交付
・採用のための文書 労働票、税金番号、住民票、その他身分証明書類
○第19条 賃金
・派遣先企業の従業員の賃金を下回らない賃金
・派遣先企業の部門の全国労働協約に対応した労働時間を基準にした賃金支払
・給料明細書に示すべき事項
・賃金は翌月の15日までに支払うこと
・ボーナスは、有給労働時間に比例して、期間要件を計算
◎病気・労働災害
○第20条 規範
・労働者は24時間以内に通告しなければならない。
・使用者は、産業医を派遣することができる。
○第21条 労働者の義務
・派遣先企業に3日以内に診断書を送付すること
・24時間以内に(病休の)延長を通知すること
・医者の指示と診察時間の尊重
・場合によっては、居住地の変更の通告
○第22条 〔病気による職場保持〕猶予期間
試用期間でないとき、労働者は最長180日の職場保持権を有する
文書での申し出と、医者の証明書を要件に、120日の延長が可能
この期間は、無給
○第23条 病気時の経済保障
労働者は、試用期間でないとき、使用者の負担により、全国社会保障公社から次の給付〔傷病手当金〕を受けることができる。
a)期間を定めた労働契約の場合
最初の3日 100%
4日から20日目まで 75%
20日以上 100%
b)期間を定めない労働契約の場合
a)と同じ給付
派遣期間が終了すれば、待期手当の権利を有する
○第24条 病気の場合の経済的待遇の喪失
医者の証明書が遅れたとき等
○第25条 労働災害
派遣会社は、全国労働災害公社による従業員のための労災保険に加入する。
労働者は、いかなる災害についても使用者に直ちに通告しなければならない。
そうでなければ、使用者は責任を免除される。
職場保持については、病気の場合に準ずる。
○第26条 労働災害の経済的待遇
使用者は、労働災害日については、全日の賃金を支払う義務を負う
その後の日数については、全国労働災害公社から次の給付がある
最初の3日まで 60%
4日目から20日目まで 90%
21日以降 100%
◎契約
○第27条 欠勤労働者の代替の場合
〔以下の者が欠勤したときに〕事前の予告で、代替者を採用できる最長期間
グループA 管理職 1ヵ月
グループB 上級職・特殊技能者 2週間
グループC 労働者 1週間
○第28条 〔派遣期間の〕延長
・最大4回、最長でも24ヵ月
・延長は、労働者に5日前に文書で通告(緊急の場合は2日前)
○第29条 派遣の中断〔中途解約〕
・正当事由や試用期間以外の理由による労働関係の中断の場合、労働者は
(1)別の派遣先への派遣就労、 (2)教育訓練過程、 (3)派遣会社自体の業務に従事することができる。
・もし、それが履行されないときには、派遣先企業は、喪失所得の50%相当の金額を支払わなければならない。
○第30条 待期中の労働者
・待期中の労働者は70万リラを受ける権利を有する。
・労働者は、所在を明確にし、他の派遣会社で働いてはならない。
・待期期間は、年次有給休暇、労働時間の減少、ボーナスなどには算入されない。
○第31条 懲戒
○第32条 労働関係の終了
・期間の定めのない労働契約の場合
正当な動機、正当な事由(契約義務不遵守、業務上の争い、財産侵害など)
・期間を定めた労働契約の場合
正当な事由は適用
差別的解雇の無効(性別、宗教、政党・労働組合加入)
○第33条 期間の定めのない労働契約の解雇予告期間(略)
○第34条 期間の定めのない労働契約の解雇予告手当(略)
○第35条 協約の有効期間(略)
(参考)イタリア労働総同盟ロンバルディア支部 ラッファアエレ・マッジ編