障害者虐待 レジュメ (大阪市立大学)
 

 1.虐待の事例

 (1)滋賀サングループ事件
 多数の知的障害者を雇用する会社において、まともな衣食住すら与えられない貧しい環境の下で残虐な虐待行為を受けるとともに、
年金を横領された事件。労基署や福祉事務所はこれを支援し、警察は度重なる"不審死や虐待を放置してきた。

 (2)水戸アカス事件
多数の知的障害者を雇用する会社において、"たこ部屋"のような中で低賃金の長時間労働で酷使され、虐待された事件。

 (3)富士聖ヨハネ学園事件
知的障害者更生施設において、食事介助等の放棄や暴力の末の死亡、性的虐待を受けた事件。

 (4)白河育成園事件
知的障害者更生施設において、日常的に暴力を加えられ、多量の睡眠薬を飲ませられたりという虐待を受けた事件。

 (5)山形県・つくしんぼう事件
小規模作業所において、障害基礎年金や補助金を奪われ、性的虐待を受けた事件。

 上にあげた事件には共通するものがあると思う。
 今回は特に資料の豊富なサングループ事件について深く考察していきたい。

 2.原因

 (1)障害者の入所施設は密室の構造をもっており、社会的に隔離されている。そのことは差別につながりやすく、また中で何が行われていてもわかりにくい。

 (2)虐待する加害者が、自分を正当化し弁解する意識にとらわれており、それを批判できる人がほとんどいない。

 (3)虐待を受けた知的障害者は自分が受けた虐待をすぐには語れない。なぜならできない自分がわるいという罪悪感をもってしまっており、
しゃべることによって仕返しを受けることを恐れているからである。

 3.問題点

 (1)虐待の被害者からの警察・労基署などへの相談は放置されやすく、また不起訴処分にされることも多い。

 (2)障害者を雇用する企業が少ないので、一旦就職してしまうとそこから抜け出せなくなってしまう。

 4.対応策・論点

 (1)障害者を雇用している企業又は福祉団体への国、都道府県、市町村の監督義務を一層強め、障害者虐待がなされていれば、その責任を
当事者のみならずその監督義務を怠った行政にも刑罰を課すように改める。

 (2)苦情処理制度、支援費支給制度による行政、施設、障害者の関係の変化はどのように事態の改善につながるのか?