一、 通告制度
1、児童福祉法上の通告義務(同法25条)
<問題点>
<児福法25条との比較>
守秘義務、守秘漏示罪によって通告義務は妨げられない(6条2項)ということと、通告者のプライバシーが保護されるという規定(7条)が加えられた。
3、今後の課題
(1)誤通告の場合の免責規定
(2)通告の際の虐待の定義を規定すべきか
メリット:通告すべき虐待が明確であると躊躇することなく通告できる。
デメリット:定義を規定することが大変困難である。
(3)児童虐待を特に発見しやすい教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健婦、弁護士等に対し通告不履行の場合の刑事的、民事的制裁の必要
メリット:通告が促進される。
デメリット:虐待の事実を明確にするのが困難であるから制裁を課すことが難しい。通告制度を知らない人が多数であり、そういった状況でいきなり制裁を課すのはおかしい。
二、親権喪失制度
1、制度の概要
(1)親権の一時的、部分的停止に関する規定が必要
理由:現行法制度の下では身上監護権のみを喪失させることはできない。
必要なだけの制限で親の介入を防止することのできる親権の一時一部停止制度は有効であり、その事実を戸籍に記載する必要はない。
(2)弁護士、医師、教師、被虐待児本人にも親権喪失請求権を与えるべきでないか
メリット:弁護士→児童を含め人々を守る社会的責任がある。法律の専門家の中で市民の生活に比較的近い位置にいる。
医師→診察により児童虐待の事実、程度を表面化したものとして最初に認識することができる。
教師→児童の一番近いところにいる。
被虐待児本人→虐待の現状を一番わかっている。
デメリット:教師→一教師にそこまでの権限を認めてしまっていいのか。
他の保護者を気にしてしまうので実際には活用しないのではないか。
被虐待児本人→未成年であり行為能力がないのであるから親権喪失請求という法律行為を単独で行うことができない。当事者がしつけとの線引きができるか難しい。
三、虐待する親へのケア
1、児童虐待防止法における親へのケア
(1)関連条文
(2)問題点
(1)刑事罰によって親を収監して治療や指導をなすべきか
メリット:刑事処罰は虐待者に対して自らの行為の意味を認識させることができる。親に対する治療の動機付けのなかで最も強力な手段である。また、児童虐待に対する予防効果になりうる。
デメリット:親を処罰する=責めることは逆効果でないか。刑事処罰を課すことが子の最善の利益となりえない場合が多いのではないか。
(2)治療の受講状況を執行猶予や保護観察の条件とすべき
(3)裁判所において一定期間の親権停止の後に再度停止期間を更新延長するか否か判断できることとし、その際のチェック事項として親の治療状況を考慮すべき
(4)分離を図る機関と治療的介入とを行う機関をセクションとして分けるべき
理由:児童相談所と親との対立を防止することができる。
(5)関連機関の連携の整備
参考文献