法律案の内容
(1)定義
虐待の定義
@身体的暴力による虐待
A性的暴力による虐待
B心理的障害を与える虐待
C経済的虐待
D介護等の日常生活上の世話の放棄、拒否、怠慢による虐待
高齢者虐待防止マニュアルより
高齢者の定義
65歳以上の者 cf.老人福祉法
(2)虐待への「通告」規定を盛り込む。
"虐待を発見した場合には、遅延なく通告する"
論点:・通告義務にするか?
・罰則付きか?
・通告義務の対象者は?
・守秘義務は?
・免責規定は?
・どこに通告するか?
実態:通告義務はなく、またどこに通告するのか特定されていない
→義務化して、どこに通告するのか明確にすべき
(3)虐待の有無、あるいは程度を調査する「立入調査」規定を盛り込む。
論点:・誰が調査するのか?
・どこまで権限を持たせるのか?
実態:虐待に気づいたサービス提供者などが当事者の話を聞いている
→立入調査として確立すべき
(4)被虐待者の「保護」規定を盛り込む。
"必要なときは、被虐待者を保護することができる"
論点:・どこで保護をするのか?
・基準は定めるか?
・期間はどうするのか?
実態:家族の了承が得られず、保護をする、または続けることができない
→本人の意思を尊重すべき。ただし、差し迫った危険のある場合は、本人の意思とは関係なく保護できるようにすべき。
(5)虐待者への「指導」規定を盛り込む。
論点:・強制的に指導を受けさせることができるか?
実態:指導を受け入れる虐待者にのみ指導している
→指導を受け入れようとしない虐待者にも指導すべき
参考文献
・高齢者処遇研究会『高齢者虐待防止マニュアル』1997.
・長寿社会開発センター『高齢者虐待の全国実態調査−主として保健・福祉機関調査より』 1997.
・いのうえせつこ『高齢者虐待』親評論、1999.
・佐藤進『高齢社会の法律』早稲田大学出版、1997.