有料職業紹介事業の許可基準

第1  法第三十一条第一項第一号の要件(申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること)
 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額が500万円以上であること。
 事業資金として自己名義の預貯金の額が150万円以上であること。

第2  法第三十一条第一項第二号の要件(個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること)
 個人情報管理に関する判断
 求職者等の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されているものとすること。
 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報の管理規程を定めていることが必要であるものとすること。
(1)  求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
(2)  業務上知り得た求人者、求職者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
(3)  本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について求職者等への周知がなされていること。
(4)  個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する職業紹介責任者等による事業所内の体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
 個人情報管理の措置に関する判断
 求職者等の個人情報を適正に管理するための措置が講じられているものとすること。
 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要であるものとすること。
(1)  個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
(2)  個人情報の紛失、破壊、改ざんを防止するための措置が講じられていること。
(3)  求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者が求職者等の個人情報にアクセスすることを防止するための措置が講じられていること。
(4)  職業紹介の目的に照らして必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。

第3  法第三十一条第一項第三号の要件(申請者が、第三十三条の四(兼業の禁止)に規定する者に該当する者でないこと)
 申請者である法人又は代表者が料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないものとすること。
 置屋業、割賦金融会社等上記に類する事業その他風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業、性風俗特殊営業等職業紹介事業との関係において不適当な兼業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないこと。

第4  法第三十一条第一項第四号の要件(第1から第3までのほか、申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること)に関する判断
 代表者及び役員(法人の場合に限る)に関する要件
 代表者及び役員(法人の場合に限る。)は、欠格事由に該当する者その他適正な事業遂行を期し得ない者でないものとすること。
(1)  法第三十二条に規定する欠格事由に該当する者でないこと。
(2)  外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
(3)  住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
(4)  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
(5)  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
(6)  虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
(7)  国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。
 職業紹介責任者に関する要件
 職業紹介責任者は、欠格事由に該当する者その他適正な事業遂行を期待し得ない者でないものとすること。
(1)  法第三十二条の十四の規定により、未成年者ではなく、法第三十二条第一号から第三号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
(2)  外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
(3)  住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
(4)  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
(5)  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
(6)  虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
(7)  料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の名義人又は実質的にその営業を行うものでなく、また、置屋業、割賦金融会社等上記に類する事業その他風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業、性風俗特殊営業等職業紹介事業との関係において不適当な兼業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないこと。
(8)  労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であること。
 職業安定機関又は職業安定局長が指定する者の行う「民営職業紹介事業従事者講習会」を受講(許可又は許可の有効期間の更新の申請の受理の日の前2年以内の受講に限る。)した者であること。
 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
(9)  国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力 を有する者であること。
 事業所に関する要件
 有料職業紹介事業を行う事業所はその位置、面積、構造、設備からみて職業紹介事業を行うに適切であるものとすること。
(1)  位置が適切であること。
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど職業紹介事業の運営に好ましくない場所にないこと。
(2)  事業所として適切であること。
 職業紹介事業に使用し得る面積が概ね20m2以上あること。
 求人者、求職者の個人的秘密を保持し得る構造であること。
 事業所名は、利用者にとって、職業安定機関と誤認を生ずるものでないこと。
 適正な事業運営に関する要件
(1)  申請者及び申請者の行う他の事業との関係に関する要件
 申請者が国又は地方公共団体でないこと。
 有料職業紹介事業を会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと。
 事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのある者でないこと。
 労働者派遣事業と兼業する場合にあっては、次に掲げる要件を満たすこと。
(イ)  組織の区分に関する判断
 職業紹介責任者と派遣元責任者が同一の者でないこと、両事業に係る直接担当職員が両事業の業務を兼任するものではないこと等組織が明確に区分されていること。具体的には、次のいずれにも該当すること。
 派遣元責任者と職業紹介責任者が同一の者ではないこと。
 両事業に係る指揮命令系統が明確に区分され、両事業に係る直接担当職員が両事業の業務を兼任するものではないこと。
(ロ)  事業運営の区分に関する判断
 求職者に係る求職票等と派遣労働者に係る登録票等が別個に作成され別個に管理されること等事業運営につき明確な区分がなされていること。具体的には次のいずれにも該当すること。
 労働者の希望に基づき個別の申込みがある場合を除き、同一の者について労働者派遣に係る登録と求職の申込みを重複して行わず、かつ、相互に入れ換えないこと。
 派遣の依頼者又は求人者の希望に基づき個別の申込みがある場合を除き、派遣の依頼と求人の申込みを重複して行わず、かつ、相互に入れ換えないこと。
 派遣労働者に係る個人情報と求職者に係る個人情報が別に管理されること。
 派遣先に係る情報と求人者に係る情報が別に管理されること。
 労働者派遣の登録のみをしている派遣労働者に対して職業紹介を行わないこと。また、求職申込みのみをしている求職者について労働者派遣を行わないこと。
 派遣の依頼のみをしている者に対して職業紹介を行わないこと。また、求人申込みのみをしている求人者に対して労働者派遣を行わないこと。
 求職者を職業紹介する手段として労働者派遣をするものではないこと((ハ)の場合を除く。)。
(ハ)  職業紹介を予定してする労働者派遣を行う場合の取扱い
 派遣就業終了後に派遣先に職業紹介することを予定してする労働者派遣(以下「紹介予定派遣」という。)を行う場合には、上記に加え、次のいずれにも該当することが必要であること。ただし、派遣元責任者及び職業紹介責任者並びに両事業に係る直接担当職員については、紹介予定派遣に係る範囲において兼任しても差し支えないこと。
 紹介予定派遣としての対象者としての登録及び雇入れはあくまでも労働者の申出・同意によることとし、派遣元事業主は紹介予定派遣の対象として登録し、及び雇い入れようとするときは、あらかじめその旨を当該労働者に明示すること(既に労働者派遣の登録を行い、若しくは派遣労働者として雇用され、又は求職の申込みをしている者を紹介予定派遣の対象とする場合も同様の取扱いとする。)。
 また、紹介予定派遣においては、派遣就業終了時に改めて派遣先及び派遣労働者の求人・求職の意思等を確認して職業紹介が行われるものであり、当該意思等のいかんによっては職業紹介が行われないこともあることを派遣労働者及び派遣先に明示すること。
 派遣就業終了時に、派遣先及び派遣労働者に求人・求職の意思及び求人・求職条件を確認し、その上で職業紹介を行うこと。
 紹介予定派遣の各段階に応じ、派遣元事業所及び職業紹介事業所としてそれぞれ必要な個人情報保護措置を講じること。
 派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望しないときは、派遣先から派遣元事業主に対しその理由を通知することとすること。
 派遣期間の制限を免れる目的で紹介予定派遣を行うものでないこと。
(ニ)  有料職業紹介事業者が労働者派遣事業を新たに行う場合の経過措置
 過去3年間職業安定法に違反する行為を行うことなく有料職業紹介事業を行ってきた事業所が、平成11年12月1日以降労働者派遣事業を兼業することとする場合については、平成16年12月1日までの間は、以上にかかわらず、次のとおり取り扱って差し支えないこと。
 資産に係る要件については、第1を満たせば足りること。
 組織の区分に係る要件aに該当しなくとも差し支えないこと。
(2)  業務規程に関する要件
 職業安定法の次の各条文の内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されること。
 第二条(職業選択の自由)、第三条(均等待遇)、第五条の三(労働条件の明示)、第五条の五(求人の申込み)、第五条の六(求職の申込み)、第五条の七(紹介の原則)、第三十条の二(保証金)、第三十二条の三(手数料)、第三十二条の十二(取り扱うべき職種の範囲等の限定)、第三十四条において準用する第二十条(労働争議に対する不介入)
 なお、この規程は第2に定める個人情報の管理規程と一体のものとしても差し支えないこと。
 手数料に関する要件
(イ)  適法な手数料以外に職業紹介に関しいかなる名目であっても金品を徴収しないこと。
(ロ)  徴収する手数料を明らかにした手数料表を有すること。
 名義貸しに関する要件
 他に名義を貸与するために、又は職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
 国外にわたる職業紹介に関する要件
(イ)  国外における取次機関を利用する場合には、当該取次機関の利用について許可を受けたもの以外を利用するものでないこと。
(ロ)  国外における職業紹介を実施するに当たって申請書に記載し、又は届け出た国を相手先国として職業紹介を行うものであること。
(ハ)  出入国管理及び難民認定法等関係法令及び相手先国の法令を遵守して行うものであること。
(ニ)  求職者に対して渡航費用その他を貸し付け、又は求人者がそれらの費用を貸し付けた求職者に対して職業紹介を行うものでないこと。

注1  第4の4(1)2(ハ)と併せて、次の事項を行うものとすること。
(1)  派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れられた労働者について試用期間を設けないよう必要な指導を行うものとすること。
(2)  派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望せず、又は職業紹介の結果派遣労働者を採用することとならなかった場合であって、当該派遣先が当該派遣労働者を特定して労働者派遣を受けることを希望した場合には、当該派遣先に対し当該派遣労働者の雇入れについて必要な指導を行うものとする。
 紹介予定派遣については、平成12年12月1日実施予定とすること。


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