[セフィーロ・セダンとの違い]
2年前から売っているセフィーロ・セダンをベースにしたワゴン。基本的な構成はセダンとまったく同じ。リア・オーバーハング(=リアタイヤからバンパーまでの長さ)を約40ミリ延長しているボディこそが最大の違い。たとえば、ワゴン化すると荷室レイアウトの関係もあって、リアサスペンションを新規設計するワゴンなどもあるが、セフィーロ・ワゴンの場合、「マルチリンクビーム式」のリアサスペンション形式はセダンと同じだし、使っているアームまで共用している。ダンパーの取り付け角度がわずか違うだけだ。
[エンジン]
セダンと同じ。セダン発売と同時に発表された新型V6がセフィーロにも用意されている。排気量は2リッター、2.5リッター、3リッターの3タイプ。どれもV6という点が特徴。最量販となるのは2リッターのV6と予想されるが、ライバル車の場合、2リッター前後の排気量ではエンジンは直列4気筒が多い。この場合、スムーズさや静粛性の面でセフィーロ・ワゴンは有利と言える。ただし、ユニット自体は多少、重くなる傾向はある。
[ドライブ・トレーン]
ミッションは4速ATの設定しかない。パワーモード、スノーモード、そしてオーバードライブの設定あり。そして駆動方式はFFのみ。気になるのは4WDモデルの追加設定だが、マイチェンを行ったばかりのセダンにも4WDの設定がないため、追加設定はないと思われる。同じクラスのワゴンで4WDが欲しいとなると、マーク2・クオリスやカムリ・グラシアを選択せざるを得ない。
[日産車ラインナップ内での位置づけ]
セフィーロ・ワゴンは、3ナンバーボディで2リッターから3リッターまでの排気量を用意している。つまり「Lクラス」ということになる。すると日産で同じクラスにいるのは、スカイライン・ベースのステージアとなる。しかし、格という点ではステージアのほうが上。そしてセフィーロ・セダンの下にくるのは2リッター・ターボエンジンを搭載するアベニール・サリューとなる。ちなみにサリューは5ナンバー枠のボディで排気量2リッターまでなので「Mクラス」。
[ステージアとの違い]
ステージアはFRベース。セフィーロ・ワゴンはFFベース。何より駆動方式が大きく違う。駆動方式の違いは操縦性や車内空間確保という面で違いが出る。操縦性ではエンジンとミッションが縦置き、そしてリア・タイヤで駆動するステージアのほうが本来、素性はいい。またFFはFRに比べて荷室空間確保に有利。つまりセフィーロのほうが有利ということになる。ただし、スタイリングを見るとステージアのテールゲートの角度は垂直に近く、セフィーロ・ワゴンのほうはかなり寝ている。つまりFFであるセフィーロ・ワゴンは荷室すスペースの面で有利だったのだが、デザインでその分を削ってしまっているというわけ。
[車格からみた競合車]
国産車:トヨタ・マーク2ワゴン、カムリ・グラシア、日産ステージア、スバル・レガシィ、アコードワゴン、三菱レグナム、外車:フォード・モンデオワゴン、プジョー・406ブレーク、VWパサートバリアント、アウディA6アバント、オペル・ベクトラワゴン。
[価格を考慮した実質的な競合車]
トヨタ・マーク2ワゴン、クオリス、スバル・レガシィ、ホンダ・アコードワゴン、三菱レグナム、オペル・ベクトラワゴン。
[ライバル達との根本的な違い]
実質的な競合車達の多くは、セダンとワゴンをほぼ同時に開発し始めている。しかし、セフィーロワゴンは、セダンが発売されてから開発が始まった。セダンを作り始めて約4年後にワゴンを作り始めたというわけだ。つまり、セフィーロ・セダンを作り始める時にはワゴンのことを全〜然、念頭に置いてなかったのである。そんな部分は、かなり張り出したリア・タイヤハウスや、リクライニングしないセカンド・シートなどに現れている。なにしろクルマのドライブトレイン系、サスペンション、フロアパネルというのはコストのかかる部品である。セダンのことしかし考えないで作ったものと、ワゴンのことも前提に置いて作ったものとでは、出来上がるものは全く異なる。つまり、そういうことだ。
[リアまわりのデザインについて]
セフィーロ・ワゴンは約15カ月という超短期で開発されたクルマ(フツー、48カ月はかける)。で、15カ月前を考えてみる。FFベースのワゴンでは、アコード・ワゴンが売れまくっていた時期である。そしてセフィーロ・ワゴンのリアまわりを眺めてみる。Cピラーを強調し、3次曲面ガラスを使って荷室部分に一体感を演出、テールゲートの傾斜を強くしてファッション性を演出し、そしてテールランプは横長ではなく左右離ればなれにドカンと配置する。そう、あきれたことに、構成パターンはアコードワゴンとまったく同じなのである。
[CFから分かること]
クルマを必要とする家庭は多い。しかし、ダンナがクルマ好きではなく、一体、どの車種にすればいいのか分からないという人も多い。あるいは乗りたいクルマはあるのだけれど、恐妻家という場合もある。さて、その場合、クルマ選択の決定権者は奥さんということになる。奥さんが「これいいわ!」と言えば、素直に従ってしまう。ということで、セフィーロは女性に向けた広告展開をしている。たとえば、ほとんど男性が登場しないカタログなどを見ても、その戦略を伺い知ることができる。セフィーロに乗っている人の多くは、基本的にクルマに興味のない人、クルマのことを知らない人と判断できる。
[結論]
セフィーロ・セダンは、今年マイチェンした。あと2年すると新型車が出るというスケジュールだ。そして既にLクラス・ワゴンの市場というものが、しっかり顕在化していることは日産は認識している。ということで、今度出る新型セフィーロは、セダンとワゴンを同時開発しているはずだ。ワゴンを前提にする以上、間違いなく、もっとしっかりしたワゴンに仕上がってくる。そして、仮にセダンの発売から1年遅れで次のセフィーロ・ワゴンが登場したとしても、このセフィーロ・ワゴンの登板イニングは、たったの3年となる可能性が大きい。 |