What's The legend of ZELDA for SFC?


 「ゼルダの伝説〜神々のトライフォース」はファミコンからスーパーファミコンにハードウェアをうつして再生された「ゼルダの伝説」である。アクションロールプレイングとしての基本的な操作や、アイテムの選択方法、レベルアップの方法などのゲームシステムは初代「ゼルダの伝説」そのままに、ハードウェアスペックの向上にあわせて画面や音楽の美しさを格段に向上させ、ストーリーの奥の深さもスケールアップした。
 このSFC版「ゼルダ」を「ゼルダ」シリーズで最も好きだというプレイヤーの声も多い。SFC版「ゼルダ」から入ったプレイヤーには特にその傾向が顕著なようだ。確かに、このSFC版「ゼルダ」、よく練られている。ゲームを始めたばかりの初心者にもとっつきやすくなっているし、ダンジョンの仕掛けも時間をかければ必ず解けるようなものが多く、それでいてプレイヤーを飽きさせないだけのストーリーと奥の深さを持っている。
 ただ、この「ゼルダの伝説〜神々のトライフォース」という作品は、「ゼルダの伝説」という名を冠しているにもかかわらず、僕のイメージの中では、どうしても初代「ゼルダの伝説」とぴったりと重ならない。コミカルになって親しみやすくなったキャラクターや音楽、黒フチやグラデーションによって存在感を増したビジュアルは、「ゼルダの伝説」をより映画的な作品にしたと言えるが、「ゼルダの伝説」での、いやおうにも想像力をかきたてた圧倒的な世界観は逆にその分失われのではないかという気がする。

P.S. ドラクエにしても、マリオブラザーズにしても、古き良きファミリーコンピューターの時代を懐かしむのは安っぽい懐古主義と言われるかも知れない。しかし、当時の52色のキャラクターやPSG音源は今から振り返ればお世辞にもいいものとは言えないかも知れないけれども、それでもその限られたスペックやメモリの中で極限までいいゲームを作ろうという熱意が感じられた。CD一枚の中に650MBもの情報を詰め込めるようになった今、深刻な容量不足はもはや存在することがなくなったが、却って、その余った容量を意味のないコンテンツで埋める作業が必要になったのは悲しい結果だと、僕は思っている。