尿管結石症

 尿管結石は腎臓でできた結石が腎臓と膀胱を結ぶ尿管に落下し、激しい痛みを起こ
す病気です。この痛みは疝痛発作と呼ばれ、一般には結石が小さいほど痛みは強く、
「尿管結石は犬の遠吠えのごとく小さいものほどよく吠える」と例えられています。
肉眼的に血尿があれば診断は容易ですが、しばしば腹痛を訴えるため、尿所見がな
い場合は胃腸疾患と鑑別が必要となります。

原因:大部分は原因不明ですが、副甲状腺機能亢進症や高尿酸血症が原因となるこ
ともあります。

症状:激烈な腹痛及び背部痛が突然起こるのが特徴です。一般的には結石の落下に
伴い、痛みは背中側から下腹部に移動していきます。尿が赤〜褐色をしていること
もあります。

診断:尿検査で血尿を確認します。腹部単純レントゲン撮影で結石が写る場合もあ
ります。超音波検査では水腎症といって尿管が拡張した所見がみられます。静脈性
腎盂造影や腹部CTでも確認できます。

治療:結石が直径10mm以下ならば自然排石が可能とされています。水分を多めに
取り、適当な運動(縄跳び、ジョギングなど)を行って下さい。しかし結石が大き
い場合、痛みの発作を繰り返す場合、放置すると腎機能が低下する場合は、積極的
な治療法を選択することになります。以前は開腹手術が主流でしたが、現在では内
視鏡による手術や体外から衝撃波を与えて結石を砕く方法もあります。結石がなく
なってからも再発することが多いので、水分を多く取る、尿意を我慢しない、再発
防止の薬を飲む、副甲状腺機能亢進症や高尿酸血症が原因の方はこれらの治療を行
うことなどが大切です。