いろいろなストレス解消法

 ストレスというとすべて悪いと考えられがちですが、
もしもまったくストレスがなかったら、我々の生活はどうなってしまうでしょう。
ぼーとして腑抜けになってしまうかもしれません。
そうなんです、適度な刺激は神経を活性化し、
生活をいきいきとさせるという良い面も持ち合わせているのです。
ストレスは人生のスパイスである」とも言われる所以です。

 しかしストレスも過剰になったり、慢性的に長く続いたりすれば、
害になります。したがってストレスが溜まり過ぎないように適当に発散させて、
コントロールしていくことが重要になります。
でもストレスの解消の仕方には個人差があり、ある人にとって効果のあるものが、
別の人にそのまま当てはまるとは限りません。
各々に合った適切な方法を、本人が積極的に努力して
見つけ出していかなくてはならないのです。

 そこで以下に典型的なストレス解消法の例を挙げますが、
覚えやすいようにSTRESSという文字を
アルファベットに分解して覚えてみたらいかがでしょう。

 S: sport 運動法
 T: travel 気分転換法
 R: recreation 趣味・娯楽法
 E: eating 食事法
 S: sleeping 休息法
 S: singing, speaking 交流法

運動法:勝負にこだわらないスポーツで、軽く汗をかく程度の有酸素運動
(散歩、水泳、サイクリングなど)がお勧めですが、
とりあえず運動を長続きさせるためには、
手軽に行えるもので好きな運動をすることです。
一緒にできる仲間がいれば、励ましあえるのでベストです。
ストレッチングや軽い筋トレなども加えられれば、
健康維持にも役立って理想的です。ジムに通うのもいいでしょう。

気分転換法:いやな気分を別のことをして切り替える方法で、
旅行、部屋の模様変え、ショッピング、ヘアースタイルの変更、
ドライブ、温泉入浴などがあります。何も遠くまで出かけていかなくても、
近くの知らない町を歩いてみるのも、新しい発見などがあったりして、
リフレッシュできるかもしれません。

趣味・娯楽法:絵を画く、音楽を演奏する、家庭菜園や庭いじりをする、
料理をつくる、日曜大工をするなど、趣味を持つのはいいことです。
映画・コンサート・美術工芸品などの鑑賞や、パチンコ、ゲーム、
インターネット、ギャンブルを楽しむなどもあります。
でも、あまり夢中になりすぎると、トラブルを生じることにもなりかねませんので、
ほどほどに楽しむことが必要です。

食事法:酒を飲む、おいしいものを食べるなどして、満足する方法ですが、
健康のために食べ過ぎ・飲みすぎには気をつけてください。
「おいしいものを少しだけ」が合言葉です。

休息法:休養をとる、リラックスする、眠るといったような、
気分を鎮めて心身の疲れを癒そうとする方法です。
リラックスするには、ぬるま湯に浸かる、好きな音楽を聴く、
海や山に遊ぶ、好きな香を嗅ぐ、夜空の星を眺めるなどはいかがですか。
ヨガ、太極拳、禅、瞑想法などもトライしてみてください。

交流法:ストレスに悩んだときに、話を聞いてくれたり
相談に乗ってくれたりする相手がいれば、どんなにか心強いことでしょう。
家族の団欒、友人とのおしゃべり、カラオケをする、お茶やお酒を飲む、
ボランティアに参加するなど、いろいろな交流を持つことで、
ストレスに負けないようにしましょう。

 好きな仕事をしているからストレスがないというのならば、
そりゃあもう理想的ですが、どんなに好きなことでも生業としている以上、
つらいことも多少は伴っているはずです。
大多数の人はストレスを抱え込んで、それでも生活をしていくために
一所懸命働いているというのが実情だと思います。

 水瓶に溜まるストレスをご想像ください。
ストレスが溜まって一杯一杯になってしまえば溢れ出して、
すなわち心と体は破綻してしまいます。自由時間を大事にして、
自分のライフスタイルに合った方法で、毎日少しずつでもいいから
こつこつとストレスを減らして、水瓶の縁からこぼれないようにしましょう。
要はどんな些細なことでも、ストレス解消に役立てていくという、
柔軟で貪欲な考え方をしていくことが、なによりも大切だと思います。
 
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