りすのレオ
                               北小学校 5年2組 中島透

 ガラッと玄関の戸を開けると、花びんと並んだ、空色をしたかごの中に、りすのレオがい
る。ふさふさとしたしっぽと、ビロードのような毛を持っている。まっすぐにぼくを見つめな
がら、ポリポリ、カリカリと、えさを食べているレオのすがた。
ぼくはそれが大好きだった---。
 けれどもなかなか慣れてくれなかった。部屋を閉め切って静かにかごを開けると、びっく
りしたのか、巣のかげにかくれてしまった。だけれど少したつとチョコチョコ出てきた。
「レオ・・・」
ぼくが小さな声で名を呼ぶと、パッとすばやく、げた箱のすみの方へ逃げこんでしまった。
いっしょにいた弟が、かるくため息をついた。ぼくが、
「うちのレオ、なかなか慣れてくれないね」
と言うと、お母さんは、
「ええ、だけれど、そのうちに慣れるでしょう」
と言って、レオを空色のかごの中に戻した。

 しかしレオはぼくたちの期待どおりにはならなかった。
 ある日かごを開けて手を中に入れて、手のひらの上にのるかどうか試してみると、思いき
り、あのどんぐりの皮もやぶる歯でかまれてしまった。思わず
「いたい!」
と戸を開けたまま手をはなしてしまった。
するとレオは目にもとまらぬ早さで外へ飛び出していってしまった。
玄関は開いていたのだ。
 ぼくはだんだん顔が熱くなってきた。お母さんがいるところへとんでいって、
「お母さん、あのねえ・・・」
と言ったが、そのあとが言えないままでいた。
「どうしたの?」
と言ったお母さんの声が柔らかかったので、少し安心して、
「あのねえ、レオ・・・、にがしちゃったんだよ・・・」
と言ったとたんに、おおさわぎになった。
 レオの来そうな高いところに、ねずみ取りをしかけた。庭中みんなでさがしまわった。
その夜は心がどきどきして、なかなかねむれなかった。
 よく朝は空気がすばらしく透きとおった天気のよい日だった。ねずみ取りをしかけた場所
をさがし回ったが、レオはいなかった。
 ふと、向こうの木を見ると、小さな黒い物がスススーとのぼっていくのが見えた。
「レオー」
思いきり名を呼んだけれど、どこかへ行ってしまった。
 その日の夕方、ようやくレオがねずみ取りにかかった。思わずぼくはうれしくなった。
弟もうれしそうな顔をして、かけ回っていた。
 いつもどおりのレオとの生活がまた始まった。レオは少しずつぼくたちに慣れてきた。

 それから、何ヶ月かたった。
 いつものように玄関の戸を開けてかごの中を見たところ、レオが横になってたおれてい
た。冷たくなっている。死んでしまったのだ・・・。
 やがてつばきの木の下にレオは埋められた。体中が、カッカッしてきた。
---レオよ・・・、永遠に眠れ・・・
とぼくはいのり、弟は
---頭がよくなるように・・・
といのった。
 今もレオはつばきの木の下で、安らかにねむっていることでしょう。

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