上腸管膜動脈塞栓症

 腸の栄養血管である上腸管膜動脈に、血液の塊がつまって血流が遮断されたため
に、腸が腐ってしまう病気を上腸管膜動脈塞栓症といいます。心房細動(心臓の脈
拍が一定でない病気)をもっている人に起こることが多い病気です。

 原因:心房細動があると心臓に血液の塊ができやすくなります。そしてその塊が
血流に乗って運ばれて動脈につまってしまうのが病因です。

 症状:持続性の激烈で鎮痛剤が無効の腹痛が起こります。ときに血液を含んだ便
が出ることもあります。診断が遅れるとショック状態になり命の危険もあります。

 診断:なかなか診断は困難な病気ですが、目安としては心房細動がある人が腹痛
などの自覚症状が激しい割に、他覚的な腹部所見が乏しければ、上腸管膜動脈血栓
症を念頭に入れる必要があります。上腸管膜動脈造影という検査を行い、血管に造
影剤を入れて閉塞部をレントゲン撮影でつきとめることができれば診断は確定しま
す。

 治療:閉塞部が動脈の比較的末梢にある場合や、症状が切迫していないときは、
動脈内にウロキナーゼという血液の塊を溶かす薬を流して血流を再開させる方法が
あります。しかし動脈の中枢本幹に閉塞があるときや、発見が遅れて腸が腐りかけ
ているときは、手術をして腐った腸を切除します。