眠りが生活習慣病に与える影響

 糖尿病や高血圧症などの生活習慣病をお持ちの方は、普段から体重を増やさないようにしたり、食べ過ぎないようにしたり、毎日軽い運動をしたりと、いろいろと気をつけていることと思います。しかし、睡眠に対してはあまり気にしていないのではないでしょうか。実は最近の研究によって睡眠時間の少ないことが、糖尿病や高血圧症を悪化させているということが分かりました。

 眠りと糖尿病:睡眠時間と空腹時血糖値、HbA1c、インスリン感受性などとの関係を調べたところ、6〜8時間の睡眠を取っている人は6時間以下の人に比べて、明らかによい数値が得られたと報告されています。糖尿病のある人は、規則正しい睡眠を取るように心がけましょう。
 
 眠りと食欲:睡眠時間が短いと、満腹ホルモンのレプチンが減少し、空腹ホルモンのグレリンが増加することが分かりました。このことは夜遅くまで起きているとお腹がすいて、つい何かを食べてしまう(よくありますよね!)ことを裏付けています。体重が全然減らないと嘆いている方は、夜更かしを止めて早寝早起きに努めるとよいでしょう。
 
 眠りと血圧:血圧の調整には交感神経が関係しています。日中は交感神経の働きで血圧が一定の高さに保たれて活動しやすいようになっています。一方夜眠っているときには交感神経は活動を休んでいて、血圧は低くなるようになっています。しかし睡眠時間が少ないと交感神経が高ぶったままになり、夜の血圧だけでなく翌日の血圧まで高い状態が続いてしまいます。そのうえ睡眠不足はストレスも招き、それがまた血圧上昇を引き起こします。
 
 対策:規則正しい生活をすることが大事。宵っ張りの生活が続くと睡眠のリズムが乱れ、寝つきが悪くなってしまいます。酒は短時間の睡眠効果しかなく、様々なアルコール性疾患になる恐れもあるので、睡眠薬代わりに飲むのはお勧めできません。もしも不眠症ならば医師の指導の下で、睡眠薬を適切に使用するほうがよっぽど安全です。

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