ボウリングと映画 Part 2

「パーフェクト・ボウル 運命を賭けたピン」という2016年の韓国映画

かつては名プロボウラーとして名を馳せたチョルジョンは、交通事故で右脚を怪我してからは表舞台を退き、地下の非合法賭けボウリングで日銭を稼ぐ日々を送っていた。

その賭けを手配するのは女ブローカーのヒジンで、借金のかたに父から譲り受けた古いボウリング場を取り上げられそうになっていて、必死に資金を集めていた。

落伍者の生活に甘んじていた二人はある日偶然、町のボウリング場で天才的なボウリングセンスを持った発達障害の少年ヨンフンに出会う。

彼の才能に目をつけたチョルジョンは、賭けボウリングの仲間に引き入れる。

他人とは一切交わらないヨンフンも、なぜかチョルジョンだけには心を許す(この理由は終盤で明かされる)。

こうして3人が組んだチームは、賭けボウリングで連勝していく。

そんな時大きな賞金のかかったゲームの機会がやってくるが、それは裏社会の危険な輩との賭けボウリングでもあった。

数々の危機に瀕しながらも3人が迎えるそれぞれの結末とは・・・



視聴後の雑感

・男二人と女1人が組んだ賭けボウリングのお話。この構成はPart 1で紹介した「キングピン〜ストライクへの道」と同じだが、テイストは全く違う。お気楽な要素はないし、お色気はないし、もちろんギャグもない。そこにあるのは、あくまでも命を削るような真剣勝負とバイオレンス。また、3人がそれぞれに抱える過去も物語に重くのしかかってきて、画面全体に暗い影が漂う。アメリカと韓国の国民性の違いなのか。でもラストシーンでは、ストーリーが綿密に練られた韓国映画の素晴らしさを味わえて、心がじんわりと温かくなる。

・ボウリングのギャンブル性は、この映画でもいやというほど見せつけられる。物語を構成するうえで仕方ないのかもしれないが、ボウリングをスポーツとして楽しんでいる自分としては、もう少しピュアな側面からボウリングを扱ってもらいたいものだと思ってしまう。

・韓国では今やボウリング人気が高くなっている。2019年の世界ボウリング選手権女子大会では、シングルス、ダブルス、トリオの各部門で韓国はベスト3に入っている。ちなみに韓国のボウリング場には、クラブ風のブラックライトのもと、ボールやシューズが蛍光を発し、ダンスミュージックが流れる中で投げられる所もあるそうだ。ラウンドワンの「ムーンライト・ストライクゲーム」の時みたいなのかな。

・ヒジン役のイ・ジョンヒョンは、韓国ドラマ「美しき日々」に歌手を目指すキム・セナ役で出演していた。このドラマは、韓流ブームを引き起こした「冬のソナタ」に続いて、2003年〜2004年にNHK衛星第2で放送されていた。当時は韓流ドラマにハマっていて、夢中で見ていたものだ。懐かしいなぁ。

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