胸やけの原因と治療


原因
 胸やけの原因で最も多いのは逆流性食道炎です。これは胃と食道の境目で逆流
防止機構として働いている下部食道括約帯(LES)がゆるむことで、胃酸や消化酵
素を含む胃内容物が逆流するために、食道粘膜が障害されて症状を起こすもので
す。しかし時には食道癌の初期症状のこともあるので、まずはレントゲンや内視鏡に
よる食道の検査を受けて下さい。

治療
 食べ過ぎに注意:胃の中に食物が大量にあると、どうしても胃内圧が上昇して逆流
しやすくなります。腹8分目くらいをいつも心がけましょう。

 食後すぐに横にならない:起きていれば重力の影響で逆流の程度は軽くすむと考
えられます。食べた後は少なくとも2時間は起きていましょう。夜食の習慣のある人
はやめるようにしてください。

 上体を高くして寝る:寝る時にはどうしても逆流しやすくなるので、できれば上体を
20〜30度くらい起こす姿勢(ファーラー位)をとって横になるといいでしょう。毛布を
まるめて上半身を高くするだけで結構です。

 肥満に注意:お腹が出ていると、ベルトなどの圧迫により腹圧が高くなりがちです。
標準体重をめざしてダイエットをしましょう。軽い運動を毎日することも減量だけでな
く、胃腸の働きを活発にして、食物の胃内停滞時間を少なくすることができます。

 薬物療法:以上のような日常生活の注意を守っても、なかなか胸やけがおさまらな
い人もいます。その場合は薬を飲むことも必要です。代表的な薬は制酸剤で、プロ
トンポンプ阻害薬やH2ブロッカーなどがあり、効果をあげています。また胃内容物
の排出を促す作用を持つ、ドンペリドンやシサプリドなどの消化管運動促進剤も有
効です。