ボウリングことはじめ

 高崎市医師会にはボウリング部が、また群馬県には全日本医師ボウリング連合の支部もあり、それぞれ月に1回ずつ月例会が開かれている。 私は平成7年に開業してから両方に所属してボウリングを始めたので、かれこれ20年以上投げていることになる。飽きずに続けてこられたのも、一見シンプルに見えるボウリングは本格的にやってみるとなかなか奥が深く、追求すればするほど次なる課題が現れてきたからだ。

 実はそれまでボウリングをしたことはあまりなかったので、最初のうちは諸先輩に混ざって訳も分からず適当に投げていた。しかし助走とスイングのタイミングがうまく合わせられず、ぎくしゃくとした投球になっていたため、スコアも100から120くらいだった。そこで何事も基礎が大事と、ボウリング場が開催していた初心者ボウリング教室に入って、基本ステップから習うことにした。ついでにマイボールにマイシューズも揃えた。助走の基本は4歩、スイングは肩を中心とした振り子運動、投球の目標はピンではなくてスパットということなども徐々に身についた。1年くらいすると、フォームが少し安定したせいでコントロールがまずまずとなり、スペアもある程度取れるようになった結果、アベレージは140から150ほどになった。

 だがアベレージの向上のためには次なる段階として、ダブルやターキーなどの連続ストライクを出すことが必要不可欠となってきた。そのためにはフックボールを体得する必要があった。理由は二つあり、一つはピンへの入射角度。真っすぐのボールでポケットに当てるときよりも、約3〜6度の角度で斜めから当てるときのほうがストライクの確立は2~3倍になる。この角度を得るためにはどうしてもボールを曲げなければならない。もう一つは回転力。実はボウリングでストライクが出たときには、すべてのピンにボールが当たっているわけではない。実際に当たっているピンは4本くらいで、残りのピンはボールにはじかれたピンが他のピンに当たることによって、ドミノ倒しのように倒れているのだ。ボールが回転していれば、当たったピンが横倒しになりやすく、縦に飛ばすよりも多くのピンを倒すことができる。しかしボールに速い回転をつけるためには、リリースのときに中指と薬指でボールをリフトして回していくという微妙で難しい技がいる。これを納得できるまでマスターするために、実はいまだに四苦八苦している状態なのである。

 でもまあ曲がりなりにも、少しはテクニックも身につき、平成28年の群馬県医師会親善ボウリング大会において個人戦で初優勝することができた。長年続けてきたことに対するボウリングの神様のご褒美だったのかもしれない。というわけでマイペースではあるが、今後もボウリングを究めていきたいと思っている。

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