急性虫垂炎
 右下腹部で小腸は大腸に移るのですが、その初めの大腸部分を盲腸といいます。 ここから延びる7〜8cmのひも状部を虫垂と呼びます。この虫垂が何らかの原因 でつまってしまい、細菌感染を引き起こした状態が虫垂炎です。一般には「盲腸で 手術した」とか言われていますが、本当は虫垂炎が正確な言い方なのです。 症状  右の下腹部の痛みが特徴で、歩くとひびくために前かがみでそろりそろりと歩い て医院に来ることが多いようです。右下腹部痛に先立ち、みぞおちに不快感や痛み がある場合もあります。病状が進行していくと発熱、吐き気なども現れ、ひどくな ると虫垂に穴があいて中身がお腹の中にこぼれ、腹膜炎を起こしてしまいます。こ うなるとお腹全体に痛みが広がり、緊急手術の適応になってしまいます。 診断  虫垂炎の診断に絶対的なものはありません。実は経験のある医師による触診が一 番の決め手になります。右下腹部を押して痛みがあるかをみたり、押した手を急に 離したときに痛みが悪化したりすることが指標です。また血液検査で白血球が増え ていたり、超音波検査で腫大した虫垂がみられたりすれば診断の助けになります。 治療  初期の虫垂炎では、まず抗生物質の投与を行うことで、炎症を沈静化できること もあります。よく「盲腸を薬で散らした」とか言うのはこのことです。しかし炎症 が治まらないときは、手術療法となります。子供は全身麻酔ですが、大人は背骨か ら注射をして下半身をしびれさせる腰椎麻酔をかけます。そして右下腹部を数cm 切って虫垂を切除します。普通は1週間以内に退院となりますが、腹膜炎を起こし ていたケースでは退院が長引いてしまいます。