ハウスクリーニング その1

 以前にも、同じような「お試しハウスクリーニングを」という電話を受けたことがあった。「必要無いです」と簡潔に断ったら、「キレイになるのが嫌だなんて信じられない」なんてなじられ、かなりムッとした憶えがある。
 という訳で、今度はちょっとキャラを作って頑張ってみました。
 
女 「只今、キャンペーン中で千円でお台所のクリーニングを受けたまわっているんですけれども」
私 「すみません、私、趣味が掃除って言うぐらい、お掃除が好きなんですよー」
女 「ええっ?!」
私 「(絶句しなくてもいいやん。そりゃ嘘やけどさ・・・)だから、お掃除になんか来てもらう必要ないんでー」
女 「・・・じゃあ、コンロ周りも換気扇もピッカピカなんですか?」
私 「ええ。キレイにするのって楽しいですよねー。台所なんて特に自分の城ってカンジだし、ついついがんばっちゃうんですよー」
 
 さて、そろそろ電話をきりあげようかな、と思ったら、敵もさるもの。
 
女 「ああ、でも洗剤を使ってのお掃除だと、化学物質が残って後々汚れがつきやすくなるんですよ。それに環境にもやさしくありませんしね。わが社は洗剤は使わずに、スチームを使って汚れを剥がし取る方法で・・・」
 
 ・・・と、化学物質だの環境だの、イイ感じで煙に巻こうとしてくださる。
 
私 「あー、でも、ウチで使ってる洗剤は大丈夫ですよ。なんでも、オレンジの皮から抽出した成分でできてるらしくって、環境にもバッチリですもん」
女 「オレンジ・・・ですか?」
私 「ほら、ミカンの皮で汚れを落とすって聞いたこと無いですか? 要はあれと同じことで、すっごくキレイになるんですよー」
女 「そうなんですか。あ、でもそんな洗剤、なかなか手に入りにくいんじゃ?」
私 「通販生活っていう通販の雑誌で買えますよ」
女 「・・・・。」
私 「(勝利を確信しつつ)だから、うちは特にお掃除に来てもらう必要ないんで・・・」
女 「でもっ! そんなきれい好きな貴方のような方にこそ、うちのサービスを使っていただきたくって」
私 「・・・え? いや、だから、掃除してもらう所が無いわけなんですけど」
女 「いいえ、わが社のサービスは、まさに貴方の為にあるんです」
 
 もしもーし。人の話聞いてますか?
 
女 「お客様には今回は特別に、無料でお試しということで結構ですよ。きれい好きの方には是非わが社の仕事ぶりを体験してもらって・・・」
 
 ああ。「きれい好き」ってキーワードが一人歩きしている・・・。
 わかった。わかりました。私の負けです。作戦を間違えました。
 
私 「すみません、必要無いんで」
女 「どうしてですか? タダなんですよ?」
私 「いや、だからとにかく必要無いんで」
女 「別に、何かを売りつけたりするわけじゃないんですよ。お掃除の値段表だけお渡ししたいんです」
私 「すみません、値段表をいただいても、多分というか絶対利用しないと思うんで」
女 「そうですか」
私 「ええ、すみません」

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 無料、と聞いて一瞬心が揺れた私ですが、そうなると「ピッカピカの台所」という嘘がばれてしまうので(笑)なんとかお芝居を続行いたしました。

(2001.8.31)

 ペンネーム「コバ」さんからの情報です。

「私も、同じような電話を受けました。値段表をもらうだけならいいかな、タダだしって思い、OKしました。
 そしたら、実際には、スチームなんたらを売りつけられそうになったんですよ!
 会社名がわからないから、もしかしたら、違うところかもしれないけれど。。。
 タダより高いものはなしって、言いますもんね。お互い、ひっかからないで良かったですね!」

 ううむ。会社名を聞かないままに電話が終わってしまったので、真偽の程を調べようがないんですが、そうかもしれませんね・・・。
 そうか、値段表云々だけなら、特別割引クーポンでも付けた値段表をポスティングすればいいんですよね。

(2001.9.5)