在宅の仕事・パソコン系

 ある日、郵便受けに一通の封筒が入っていた。中にはチラシが2枚と返信用の葉書が1枚。
 1枚めのチラシには「在宅であなたも収入を得よう」という見出しが踊っている。「例えばワープロ入力でこんだけ儲かる」なんて例が色々書いてあるが、それ以上の情報はない。
 2枚めのチラシには「パソコン検定に合格する為の教材販売」の話。返信用の葉書は、この教材を申し込む為のものだ。
 そして、「パソコン検定に合格したら、こーんな色々な仕事が出来る能力が付くよ〜ん」と書いてあるが、ここで大事なのは「パソコン検定に合格したら、こーんな色々な仕事を紹介する」なんて一言も書いてないことだ。えらく前振りが長くなったが、以下を読めばその理由がわかるだろう。
 
女 「お送りした資料は、もう読んでくださいましたか?」
私 「・・・あの、これは教材販売の案内なんですよね。私には必要無いので」
女 「いえ、違いますよ! 当社は色んな中小企業からデータ入力やホームページ作成の仕事を請け負っているのですが、この度、その仕事を<在宅で>(やけに強調する)していただける方を捜しているのです」
私 「求人なんて、一っ言も書いてないですけど?」
女 「(私の言うことを無視して)パソコン検定の資格を取っていただくと、企業の方も安心して仕事を発注できるというわけです」
私 「はあ。でもどこにもそんなこと書いてないんですけど。それに、私もう資格持ってます(嘘)。んじゃ、すぐに仕事をさせていただけるんですか?」
女 「えっ?あっ?えー、(少しうろたえていたが、また立て板に水な口調に戻る)じゃあ、打ち込みなんかお出来になるんですね。」
私 「打ち込みって、ただ打ち込むだけですか?(ちょっと水をむけてみる)」
女 「ええ、誰でも出来る簡単な仕事なんです。1日たったの2時間ぐらいでOKなんですよ。今、限定20名様に特別にこうやってお電話さしあげているんですが、もうすぐにでも定員が埋まってしまいそうなんです」
私 「だから、私は資格も持ってるし、HTML言語もpealもマスターしてますから(結構嘘)すぐに仕事が出来るというわけですよね」
女 「え、いえ、あの、我々が仕事を安心して発注できるように、この教材で・・・」
私 「最初に聞いた時に「教材販売じゃなくって求人だ」って言いませんでしたっけ?」
女 「ええ、ですから、仕事をしていただく為にも、パソコン検定を・・・」
私 「だから、もう資格は持ってますってば」
女 「そうですか、残念です」
私 「残念?」・・・私が聞き返すのと殆ど同時に電話は切れた。

 大体、その教材って、確か(チラシは捨ててしまったので、うろ覚え)30万円は下らなかった。しかもパソコン付き。パソコンを持っている場合は割り引きでもしてくれるのだろうか。
 それにしても「在宅」で「一日たったの2時間」の「誰でも出来る簡単な仕事」をさせる人間を手間暇かけて育成しようって、なんて胡散臭いんだ。しかも「20名様限定」。ここまでステロタイプな資格商法は初めてだわ。ふふふ。

(2000.6.11)