浄水機 その1

 どこから名簿が回っているのか、「小さなお子さんのいる家に」とそのセールスマンは話しはじめた。
 
男 「ダイオキシンや、環境ホルモン、水道水は危ないですよ。沸騰させたぐらいじゃ毒素は取れませんからね。ミネラルウォーターを買っていてはお金がかかりますし」
私 「浄水機ならもうあります」
男 「ああ、でも駄目ですよ、安いやつはやっぱり安物。値段の相応にしか役に立ちません」
私 「いえ、あの、とっても立派な浄水機なんですが」
男 「え? 蛇口の先にちょっと付いているタイプのやつじゃないんですか?」
私 「ええ、シンクの傍にどっかりと置いてあります」
男 「あ、でも、当社の浄水機は・・・(と説明を始める)」
私 「あのう、」
男 「はい?」
私 「うちの浄水機、主人の両親に買って貰った物なんです」
男 「?」
私 「他の物に替えてしまったら・・・(オドオドと)あの、人間関係を壊したくないので・・・」
男 「は、人間関係。はい、そうですか。では」
 戸惑いつつ電話を切るセールスマン。もしかしたら彼は「嫁姑」の板挟みな人だったのかもしれない。

 念のために補足するが、ダンナのご両親と私との人間関係は、いたって良好である。
 更に付け加えると、我が家の浄水機(シーガルフォー)は、親戚をはじめとする沢山の方からいただいた、娘の出産祝いで買ったもの。その節はありがとうございました。

(2000.6.11)