外貨預金のご案内

男 「もしもし、とおみさんのお宅でよろしかったでしょうか。
 わたくし、IBSと申しまして、外貨預金のご案内をと思いまして、お電話させてもらっています」
 
 外貨預金ネタは初めてなので、とりあえず神妙に話を聞いてみることにする。
 
男 「とおみさんは、銀行さんなどのほうで、外貨預金と言ったものを見ていらっしゃると思いますが」
 いいえ、見てません
男 「今、低金利時代ですよね。金利がもう少し高ければってお考えだと思うのですが」
 預けるお金があれば、思うかもね
男 「金利が十パーセントを超える、なんて、まるで夢みたいだと思いませんか?」
 為替差額がなかったらな
 
 そろそろツッコミを溜め込むのも限界なので(←早っ)、反撃することに。
 
私 「うち、余裕が無いんで、いりません 」
男 「銀行さんでは色々とサービスを付けてらっしゃったりしますけれど、結局のところ金利が全てだとは思いませんか?」
私 「いいえ。利息が沢山ついたところで、円に換算したら元本を割っていた、なんてのは嫌なんで、いりません」
男 「わが社が今お勧めしているのは、オーストラリアドルでして、このオーストラリアドルは、この先確実に上がる、といわれているのですが」
 
 何事も無かったかのように、話を続けるテレアポ氏。流石プロである。
 
私 「確実に上がるって、誰がそう言っているのですか?」
男 「あ・・・、え、一般にオーストラリアドルは上がる、と言われているのですが・・・聞かれたことございませんかー?」
 
 一瞬だけ動揺したものの、すぐに立ち直り、まるでこちらが無知で悪いかのような口調のテレアポ氏。流石プロである。
 
私 「無いです」
男 「そうですかー? そのオーストラリアドルは利率も12%と大変お高く、とてもお勧めなんですよ」
 
 で、結局質問には答えずに、自分の話を続けるテレアポ氏。流石プ(以下略)
 
私 「いや、だから、円としての価値が下がってしまったら意味無いんで・・・。
 前、うちの親が海外出張で余ったお金をそのまま預金してましたけど、「円に換算したら三分の二ぐらいに減ってしもた」って言うてましたし」
男 「アメリカドルは仕方ないですよー」
私 「アメリカドル以外に、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル、あ、イギリスポンドもあったかな」
男 「・・・そ、それは、小口の預金の場合ですね。わが社の・・・」
私 「小口でも大口でも、為替レートは変わりませんが。沢山預けたら利率が良くなるから、といわれても、それは別問題ですしね」
男 「で、ですから、オーストラリアドルは今から確実に上がるので」
私 「お金が余ってれば、為替相場下がっちゃったねーははは、って笑ってられますけどね。余裕が無いんで、リスクのあることはしたくないんです」
男 「そりゃ、絶対にリスクが無いとは申せませんが・・・でも、まず間違い無く・・・
私 「そうですよね、リスクが無いなんて言っちゃうと、出資法違反ですしね」
 
 一 瞬 の 間
 
男 「そうですね、それでは残念ですが、失礼いたします」

■「この先確実に上がる」だの「今から確実に上がる」だの「まず間違い無く」だの、ヤバイ台詞連発やん。(あ、最後のは未遂だったか)

(2004.4.20)

■ネットにこのページをアップしてから、ふと気がついたのですが、上の「出資法違反」はどっちかというと「特商法違反」の方が正しいような気がします・・・。
 投資モノの「元本保証!」とごっちゃにしていたような。
 今回、契約を取るためにリスクを隠して勧誘しているわけだから、特商法の「不実告知」にあたるんじゃないかしらん。ますますそんな気がしてきた。きっとそうだ。誰かに指摘されるまえに自分で訂正しておこう。そうしよう。
 
 そうなると、「キメ台詞!」とばかりに「出資法違反ですしね」なんて吹いた私は、かなり恥ずかしいヤツだな。
 でも、それでスゴスゴと引き下がってしまったテレアポ氏は、私のことを笑えない筈・・・って、書けば書くほど自分が情けなくなってしまうので、もう止めておこう・・・。

(2004.4.22)