時間差攻撃

■最初の電話が本当にアンケートだけだったので、会話を記録していませんでした。で、四日後の勧誘本番を受けて、慌てて記憶を掘り返した次第です。
 前半、細部があやふやですが、ご容赦下さいまし。
 
 土曜日。
 夕食を食べ始めた直後に、その電話はかかってきました。
 
女 「こんばんは、私どもは、Pリティと申します。
 簡単なアンケートをお願いしたいのですが。三項目しかないので、お時間は取らせません」
 
「さぁ、何の勧誘だろう」と身構えつつ、適当に質問に答える私。
 ところで、最初の質問の内容が全然思い出せないんですよ・・・。歳のせい?・・・○| ̄|_
 
女 「最近一年間で、どこかに旅行なさりましたか?」
私 「忙しくって、全然行ってません」
女 「美容に良い温泉と、体にいい温泉、どちらに入りたいですか?」
私 「体にいい方ですね。断然」
女 「最後に、お客様の年齢を、20代、30代というふうに大雑把で構わないのでお願いいたします」
私 「20代です」(←嘘か真かはおいといて:笑)
女 「回答ありがとうございました。頂いたデータはこちらで集計して、皆さんのご要望やニーズの分析に大切に使わせていただきます。
 それでは、またチラシが入りましたら、Pリティという名前を思い出していただけますか?
 ありがとうございました」
 
 勧誘が続く、と思っていたので、あまりにあっさり電話を切られてビックリしました・・・。
 引き際の鮮やかさに、「あー、まともなアンケートってのもあるんだ」なんてちょっと反省してみたり。
 まだまだ、修行が足りないようです・・・自分。
 
 さて、翌水曜日。
 
女 「私どもは、Pリティと申します。先日はアンケートにお答えいただいて、ありがとうございました。
 おかげさまで、とても良いチラシが出来上がりました。
 そこで、アンケートのお礼をしたいと思うんですが、私どものお店は、神戸の三宮にあるビューティースタジオなんです。
 とても体に優しくて安心な、超音波エステを提供させてもらっているんですけれど、二箇所六千円のところを、今回、お忙しい中にアンケートに答えてくださった感謝の気持ちをこめて、一箇所だけなんですけれど無料でさせていただこうと思うんです。
 超音波ってごぞんじですか? 妊婦さんがおなかの赤ちゃんを見るときに使ったりするんです。そんな、お腹にいっぱいあてても、お腹の赤ちゃんにも安心な超音波を使うんです。
 ウエストですと六センチの引き締めが期待できますよ! 超音波には美白効果もありますし、なにしろ、赤ちゃんにあてても大丈夫な、安心ですから、お肌のトラブルなんて絶対ありません。ぜひこの機会に、体験なさってみませんか?」
 
 妊婦さんのお腹は、検診のたびに引き締め&美白されているのか。知らんかった(笑)
 
女 「でも、三宮は遠いですよね。ですから、今回特別にお客様のご自宅でお伺いして、ホームエステをと思っているんです。
 神戸の○○区と○○区を今だけキャンペーンで廻らせてもらっているので、お客様も、是非この機会にいかがですか。アンケートのお礼に、一箇所無料でお手入れをさせていただきます。お客様は、どこか体で気になるところってございますか?
 ああ、お若い方ですから、そんなに無いでしょうけど、強いて、強いて!言ったらどこでしょう? よくウエストやヒップライン、あと・・・」
私 「あの、チラシを見てから決めさせてください。アンケートの結果が載っているんですか?」
女 「ええ、そうなんです。おかげさまで良いチラシが出来上がりました。そのお礼に・・・」
私 「ええと、だからチラシが入ってから、それを見て検討させてください」
 
女 「あのー、実はですね、私どもはこの電話を順番にかけて電話させてもらってるんですね。お客様の電話番号は(n)ですよね。次は(n+1)。
 そういったふうに順番にかけさせてもらっているので、お客様のお名前もご住所もわからないんですよ。ですから、チラシをお送りさせていただくのに、差し支えなければ住所のほうを教えていただけませんか」
私 「え? 新聞の折込じゃないんですか?」
女 「ええ、まあ、そうなんです。その、チラシは教えていただいた住所に直接お送りいたしますので、ご住所はどちらでしょうか」
私 「えーそれはちょっと・・・。個人情報とか最近色々言われてるから・・・」
女 「そうですよね、こうやって私どもが電話をしていると、どこからリストを手に入れたのか、電話帳にも載せていないのに、と言われることがよくあるんですけれども、私どもは、一から電話番号を順番にかけさせてもらっているので、どこかからリストを購入したり、なんてことはしておりません。
 教えていただいた住所も、チラシをお送りする以外には決して使いませんし、電話も、一度だけ、いかがですか、とお尋ねする以外に、しつこく何かを勧誘したりなんてことはいたしませんし。
 お忙しい中、とても丁寧にアンケートに答えてくださったとメモにありますし、お礼に、ぜひ無料のホームエステを体験していただきたいので、差し支えなければで結構ですので、住所を教えていただけませんか?」
 
 そんなに丁寧に応対した覚えないけどさ?
 
私 「いや、だからー、住所は言いたくないです」
女 「そうですよね、教えていただいた住所は、チラシを送らせてもらう以外には絶対使うことはないですし、本当に、チラシを送るだけなんですよ。差し支えなければで結構ですから、住所のほうを教えていただけませんか?」
 
 だから、差支えがあるって言っておろうが。
 
私 「いや、でも、チラシ貰うためだけに住所教えるのって、ちょっと・・・」
女 「そうですよね。本当に、こうやって忙しい中、お話を聞いていただけるそのお礼がしたくって、無料のホームエステのチラシをお送りしたいのですよ。差し支えなければ・・・」
 
 人の話を聞けー!
 あああ、このループからどうやって抜け出そう・・・。さっさと断って電話を切ってしまおうかなあ・・・そうだ!
 
私 「そうだ。チラシ、ファックスで送ってもらえません?」
女 「は?」
私 「電番とファックス番号同じなんで、ファックスで流してもらえません?」
女 「え、あのー、え、あ、それが、チラシはカラー印刷なので・・・」
 
 どうやらツボを突いてしまったようです(笑)。
 
私 「白黒でも、字が読めればいいから、送ってもらえません? アンケートの結果が載ってるんですよね? 是非読んでみたいんでー」
女 「え、ああ、ちょっと、その、チラシは今手元にございませんので・・・差し支えなければで結構ですので、ご住所のほうを教えていただけませんか?」
私 「郵送するんだったら、ファックスの方が手間もお金もかからないって思うんですけどー?」
女 「いえ、申しわけありませんが、今回は郵送と決まっておりまして・・・私はお電話で案内をするだけですので・・・」
 
 逃げたな。
 
私 「・・・それだったら、もういいです」
女 「(うって変わって早口に)そうですかー。残念ですが、それではまたの機会にどうぞよろしくお願いします」

■果たして、本当にチラシは存在するのか?
 チラシが存在するとして、そこに本当にアンケートの結果が載っているのか?
 
 いや、そんな瑣末な問題よりも、一番大切なのはコレですよ。
 「ホームエステの時に、何を売ろうとしているのか」
 
 アンケートに答えた人にお礼をしたい、というのが本当だとすれば、それは何に対する「お礼」なのか。
 良いチラシが出来た、と。つまりは「良い宣伝が打てる」ということなら、しっかり宣伝してもらわないと。いちいち住所を聞きまわって、郵送するぐらいなら、折込チラシを入れたほうが、手間もコストもかかりませんって。
 あくまでも、「皆さんのご要望やニーズの分析」が目的だというなら、もっとエステに関係あるアンケートにしてもらわないと。
 
 三千円分の出張エステをプレゼントするに値する利益が、何処から出てくるのか・・・。気になるところです。

(2005.8.4)