旅行業務取扱管理者商法の大嘘

■ペンネーム「うに」さんからの投稿です。

 資格商法・・で検索していて、こちらに当たりました。
 読んでいて、「これこれこれ!まさにこれ!」と言うのがあって、嬉しくなってしまいました(笑)
 
 電話勧誘での「旅行業務取扱管理者資格商法2」という投稿、私のところに数年前にかかってきたものと同じです。
 
 電話は休日家でボーっとしている時にかかってきて、何も考えずに出たところ、女性の声で「こんにちはあ!」と始まりました。
 
 そのテンションでまず「ああ、化粧品かしら、浄水器かしら、どっちもいらねえ。こんな貧乏してて米も買えないのに。」と思いつつ「はあ、」と返事をするとまくし立てるように『旅行業務取り扱い主任者』の資格を取るとあーだこーだと言う話を始めました。
 
 途中何度か「あ・・あの」「いや、はい、でもあの」と口を挟みましたがまったく聞いていないのか一方的に喋り続けるんです。
 
 そしてお決まりの「パンフレットを補充するだけで」になりました。
 
 思わず食いついてしまいました。
 
「それどういうことですか!?旅行会社に出向いて、そこの会社のパンフレットを補充するんですか!?それに資格がいるんですか!?それはどこの会社でするんですか!?」
 
 私の勢いに押されたのか「これはいける!」と思ったのか、お姉さんは、
 
「主にJTB、近畿日本ツーリスト、HISなどで・・・」
 
 と言い出しました。
 
「それっていつからやってるんですか?もうやってる人いるんですか?どこの支店でやってるんですか?」
 
 と聞くと、
 
「もちろんです。街中の大きな営業所とは大体契約してますよ〜。みなさん結構な額を稼いでいらっしゃいますよ〜」
 
 と。本心で、心から、
 
「そんな話があるわけないでしょうがー!」
 
 と思い、そのまま叫んでしまいました。
 
 むっとしたらしく、黙ってしまったので説明しました。
 
「じゃあですね言わせてもらいますけど私ね、旅行業務取り扱い主任者の資格、持ってるんです。そうするとお姉さんがおっしゃったような教材費とかは必要ないんですよね。お仕事だけ紹介して頂けますか?」
 
「・・・・・・・・・・えっ・・・。いや、えーとですね、うちの試験でもう一度取り直してもらう形に・・」
 
「取り直す?一度取った物をですか?それ受験する時にはじかれると思うんですけど?」
 
「ええと、資格の証書を破棄していただいて・・・。」
 
「破棄?放棄?そんな事が出来るんですか?」
 
「と言いますか、うちの資格は別物なので、」
 
「別物なんですか?別のものを取り直すって言い方、ヘンじゃないですか?」
 
「あ、ですから、全然違う独自の資格に・・・」
 
「それじゃ『旅行業務取り扱い主任者』の資格じゃないんじゃないですか?」
 
「・・・・・・・・・・(向こうで「ちっ」みたいな声が聞こえました)」
 
「あのですね、私もう7年旅行会社に勤めているんです。」
 
「・・・・・・・・・。」
 
「先ほどおっしゃった○○○に、パートナースタッフとしてフルタイムで勤めてるんです。」
 
「・・・・・ええと・・・。」
 
「パンフレットの補充は全て社員やスタッフの仕事です。市内で一番大きい○○支店です。」
 
「・・・・・・・。」
 
「旅行業務取り扱い主任者の資格、入って二年目に取りました。あんなもん、900円の本一冊で取れるんです。資格手当てが200円ついてます。(確か200円でした)でもあのクソ重いパンフレットの補充を毎日毎日しても手当てなんか一切出ません。そのせいで腰を傷めてももちろん労災も降りません。」
 
「・・・・・・・・・。」
 
「あなたね、旅行会社に勤めてる人がどのくらい貰っているかご存知ですか?正社員でさえ、月に20万ないんですよ?パートナースタッフの初任給いくらだと思います!?七万円ですよ!?毎日22時、23時まで残業しても残業手当はゼロ円で、フル出勤しても七年目の私でさえ13万ですよ!?そんなセコイ会社がたかがパンフレット補充でお金なんか出すわけないでしょうが!?」
 
 だんだん私情が混ざってきて、何でだか悔しくて涙が出ました。
 
 と言うのもこの時期私は本当に七年目の契約でありながら、資格を取ったからと言って昇進があるわけでもなく、毎晩日付が変わるまで働かされタクシー代は自分持ち、さらに手取りはスズメの涙の上、給料日前で何にも食べるものがなく非常に餓えて悲しい気持ちで一杯だったんです。
 
 後で思えばそれをこの人にぶつけてどうする事も出来ないのに、気の毒な事をしたと思います。
 
「あなたはこういう勧誘で今いくら貰ってるのかしらないけど、世の中早々上手い話なんかないの!私なんかねえ、もう3日もろくに食べてないのよ!お米もないし、冷蔵庫の中にはマヨネーズしかないの!先輩が買ってきたお土産のひよこ饅頭を一日一個ずつ食べてしのいでるの!旅行社の人間あんまりバカにしないでよー!!」
 
 転職もままならず(何しろ深夜まで働かされていて、休日は死んだように眠っているため職安にいく余裕もない)イライラしているところにいいサンドバックでした。
 
「どうなの!?ねえ、どうなの!?」
 
 酔っ払いが絡むみたいに、怒鳴り散らす私にお姉さんは、
 
「ごめんなさい・・。」
 
 と一言残して電話をそっと切ってしまいました。
 
 ハッと一瞬で冷静になり、物凄く恥ずかしくなりました。
 大抵そういう電話はだらだらと聞いてしまい、最後に、「すみません、これこれこういう事情でお金ないんです。ほんとに。ごめんなさい」と断っている私が、一番触れられたくない分野での勧誘で何かがキレたようでした。
 
 今は旅行会社に勤める夫と結婚しましたが、男性社員も似たような手取りです。
 ボーナスだって20万あるかないかです。
 生活できゃしません。
 
 一体どうして旅行会社が儲かるなんて思うのか不思議です。
 
 他人に旅行を斡旋しても、自分でいけることなんてほとんどありません。
 
 ちなみに私はこの手の資格商法のリストに引っかかるような資料請求はした事がありません。
 
 サンプル請求はしょっちゅうしてたんで、そこから名簿が回ったのかなーと思っていますが・・。
 
 長々すみませんでした。

■詳しいお話をありがとうございます。資格取得を勧める勧誘への切り返しもですが、旅行会社の具体的な体験談も、とても参考になりました。
 
 このページをお読みになった人は、きっと騙されずにすむことでしょう。本当にありがとうございました!

(2007.6.4)