そういう事は最初に言ってくれよな

■ペンネーム「三匹の子持ち」さんからの投稿です。

 昨年の暮れ12月17日に私のところにもリフォーム目当ての業者が来ましたので、顛末をご報告させていただきます。
 
 午後2時くらいでしたが、玄関のチャイムがなって出てみると作業着を着た業者が2人立っていました。(以降 業)
 
(業1) 「ご主人ですか?」
(私) 「はあ・・・。(もしかしてリフォームのお勧め?)」
(業1) 「実はこの先で工事を行っている○○ホームズという工事会社なんですが、通りがかってこちらの屋根が傷んでいるみたいなので調査させてください」
 
(しばらく家の周りをごそごそする2人)
 
(業1) 「こちらに住まわれて何年になりますか」
(私) 「12年くらいですが・・・」
(業1) 「その間リフォームとかは?」
(私) 「別に何も・・・」
(業1) 「屋根の一部に腐食が発生していますね。このままほおっておくと腐食が進んで屋根に穴が開きかねないですよ」(なんとなくタケシの医療の番組みたい)
(私) 「どうすればいいでしょう?」
(業1) 「応急手当としては腐食の進行を止めるために塗装をすることも良いのですが、根本的に直すのならば屋根を葺きなおすことをお勧めします」
(業2) 「われわれもこの先の現場に行く途中でこちらに立ち寄って工事をしますので、格安で施工しますが」
(業1) 「今屋根を葺きかえればまた10年から15年メンテナンスフリーになりますから、決して高い買い物にはならないと思いますが」
 
(5分間くらい2人で屋根の材料や防水性能、保証の期間などの説明。7割は本当のことだが、3割は嘘又はハッタリ
 
(私) 「話は変わりますが、隣の家に行ってみました?」
 
(ポカンとする2人。そして1人が)
 
(業1) 「ああ、お隣さんは設計事務所ですね。でも設計士さんに相談すると結構設計料やらでお金がかかりますよ」
(業2) 「こういったリフォームは設計してもらわなくても我々のような業者で十分対応できますから」
(私) 「私も建設業者に結構知り合いがいるんで、たとえばO林さんとかT中さんとか・・・」
(業1) 「(笑)そういった大手の建設業者がこういった小規模な工事に手を出すわけがないですよ」
(私) 「だからそれらに下請けの業者を紹介してもらって・・・」
(業1) 「さっきから言ってるように、我々ならばこの先に仕事に来る途中で立ち寄れるから余計な費用を省いて格安で施工をすると言ってるんです!(結構イラついてきているような様子)」
 
(そろそろ良いかな? とどめを刺しちゃおうかな?
 
(私) 「だけどさあ、少なくとも私はあんたたちより建物をというか、建築を知っていると思うよ」
 
(顔を合わせる2人)
 
(私) 「あれ、最初に言わなかったっけ?私、都内のN設計事務所(結構大手)に勤めているんだよね。資格も一級建築士を持っているしさあ。それに隣の家の設計士って私の親父なんだよね」
(業1) 「またまたぁ・・・」
(私) 「社員証みる?」
 
(完全にやる気を失った2人。)
 
(業1) 「そういう事は最初に言ってくれよな」
(私) 「お疲れ様でした」
 
 ほとんどコントのようなやり取りですが、実話です。
 
 暮れの忙しい時期でしたが、私としては楽しんでしまった30分でした。

■いただいた投稿文を読み進めていて、
 
>7割は本当のことだが、3割は嘘又はハッタリ
 
 のくだりで「あれ?」と不思議に思ったんですよ。まさかこういうオチが待っていようとは!
 おおっ、と思わず感嘆の声を上げてしまいましたよ。完敗です。
 
 それにしても、「そういう事は最初に言ってくれよな」って・・・(苦笑)
 専門家相手と素人相手で、セールスのトークや方法が変わってくるということなのでしょうね・・・。素人を舐めている、と。
 いや、もしかして、専門家相手には商売しないということだったりしたらどうしよう・・・。素人を舐めているどころかバカにしている、ということに・・・。くわばら、くわばら。

(2006.3.2)