開店のご挨拶2

■ペンネーム「エスプレッソ」さんからの投稿です。

 初めまして。先日訪問販売だと思われる人が やってきました。
 
 お昼時にインターホンが鳴ったので、インターホン越しに話したところ、
「お店を開いたので、その紹介に参りました。チラシだけでも、もらってください」
 とのこと。ポストに入れてくれれば良かったのにと思いながらも玄関を開けてしまいました。
 
 すると若いお兄さんが鞄を足元に二つも置いて立っていました。
 この時点で訪問販売だな。玄関を開けなきゃよかったと後悔しました。
 お兄さんは私を見て、顔を曇らせ尋ねてきました。
 
兄 「あの、お母さんはいるかな?」
私 「会社です。夜中になるまで帰ってきません」
 
 スッピンで、スポーティーな格好をしていたせいで、未成年だと思われたようです。でも、顔に出す時点でプロじゃないと思いました。
 
兄 「じゃ、お父さんは?」
私 「病院に行っています」
 本当は、父は昼寝中でしたが。
 
兄「ええと、ぼく達が扱っている商品をね・・・お父さん、お母さんにね」
私 「チラシはまだですか?」
兄 「商品の紹介をしたいんですよ」
私 「だから、チラシを渡すんでしょ?」
 
 この後、不審な動作を始めました。チラシを出すのか出さないのか、鞄に手をやったり、下ろしたり。あまりにもぐずぐずしているので、イラついてきた私。
 
私「今、料理中なんです。冷ましたくないんで、早くチラシ渡してください。無いんですか?」
兄 「え、ああうあ・・・」
 
 お兄さんが後ろに引いたので、思わず玄関の戸を閉めてしまいました。訪問販売に向いていないお兄さんだと思います。ちょっと気の毒だったかもしれませんね。

■なんで、そんなにチラシを渡したがらないんでしょうね。
 
1)うっかりどこかに忘れてきた
2)チラシを印刷するお金が無い
3)今時手書きのチラシなので恥ずかしい
4)紫外線にあてると消えてしまうインクで印刷されている
 
 どれも中々捨てがたい説ですが(ぉぃ)、ここはやはり
 
5)開店のご挨拶というのが嘘っぱちだから
 
 という説が有力な気がします。そもそも渡すべきチラシが存在しない、と。
 
「チラシはまだですか?」
「チラシを渡すんでしょ?」
「早くチラシ渡してください」
「無いんですか?」
・・・と、間断無い追求が素晴らしいです。
 
■この間、ウチにもスーツ姿に黒のアタッシュケース抱えた兄ちゃんが
「新しくお店を開いたので、そのご挨拶に・・・」
 とやってきました。
 
 丁度、今まさに子供が昼寝をする気になった、という最悪のタイミングだったので、仕方なく対決(笑)は諦めて、
「チラシ、ポストに入れといて下さい」
「あ、(ちょっと動揺)それで、ちょっとご挨拶を・・・」
「今、ものすごくたて込んでいるんで、チラシ入れといてください」
「あ、それが、あの、チラシは無いんですよ」
「お店の名前とか場所とか、チラシが無いと、聞いただけじゃすぐ忘れちゃいますよ」
「あ、そうですね、そうかもしれませんが、是非ご挨拶を・・・」
 
 そうかも、ってそれでいいのか。
 
 結局、忙しいので門前払いをかけてしまいましたが、いつか正体を暴いてみたいです。

(2005.6.24)