9.ホジソン 敗北した懐疑論者?

「・・・不条理で非論理的な懐疑論者の集団SPR は、事実を隠蔽する協会になってしまった。詐欺行為の汚名を大量に着せ、霊感のある人間を落胆させ、人類を光と知識の領域に導くはずの意外な新事実のすべてを拒絶している。」
アルフレッド・ラッセル・ウォレス卿

ヴィ:ホジソンが死後の世界を受け入れた後で、さらに驚くべき事件が続きました。ある日、スポーツをした直後に突然の死を迎えたホジソンは、そのときまだ50歳でした。その後間もなく、彼はジョージ・ペルーからパイパー夫人の支配霊の座を引き継いだのです。彼は死後の世界について、さらにたくさんの情報を伝えてきましたが、自分のことをホジソンだと認めないものが何人かいるのに気づいて驚きました。ジェイムズ教授はこう言っています;

「そう、この情報を送ってきているのは多分ホジソンなのだろうが、私にはあまり確信がない・・・」


 ホジソンは、生きていたときと同様に論理的に事を運ぶことができず、ただ欲求不満のあまり感情を破裂させるだけでした;

「もし私がリチャード・ホジソンでないなら、リチャード・ホジソンという人間はいなかったということだ!」


O:あはは。話としては面白い。調査している方が調査される側にまわって、認められなかったということか。ヴィクター、心霊研究なんてやめてその手の小説でも書いたらどうかね。

ヴィ:馬鹿にしていますね。

O:いやいや、そんなことない。十分面白い話だよ。たとえ事実でなくてもな。

ヴィ:今ここで、山のような資料のコピーを持ってきましょうか?

O:資料がたくさんあるから本当というわけでもないだろう。

ヴィ:でも、クレオパトラが実在したことは信じるのですよね。資料がたくさんあるから。

O:君はそこのところをいつも勘違いしている。いいか。クレオパトラの資料は単独であるわけではない。彼女のようなタイプの女性がいた証拠がたくさんあり、その生きていた時代に関する証拠がたくさんあり、その前後の歴史があり、その上でクレオパトラ実在の証拠が成り立っているんだ。

ヴィ:それは単に証拠がたくさんあるから信じているということですよ。しかも私は、死後の世界を指し示す証拠をたくさんの分野から持ってきて論じようとしているのです。

O:たくさん? 私には全部同一の分野のように思えるな。

ヴィ:ここに至るまでだけでもEVP・ITC・エネルギーに関する新しい考え・霊を写真に撮ったり計測した実験・厳密に調べられた霊媒・反証しようのない偉大な霊媒の歴史など、多様な分野を扱っているではありませんか。

O:ふん。みんな似非科学という共通の分野だろう。

ヴィ:教授は科学者ですよね。

O:いかにも。

ヴィ:私には教授が似非科学者に見えてきたのですが。

(ヴィクターとO教授は、しばらく互いに顔を見合わせたままでいた・・・)

ヴィ:まあ、黙っていても仕方がありませんので話を続けましょう。

 イギリスサイキック調査協会の指導者層にとってリチャード・ホジソンの死は非常に大きな出来事でした。何百万もの人々に繰り返し死後の世界が実在することを伝え続け、自分が他界の存在と何度も交信をし、そこから得られた情報は完璧に首尾一貫していて、信じられないほど正確であったことを証明したリチャード・ホジソンは、SPRの指導者層を大いに当惑させていたのです。彼は死ぬ前に、パイパー夫人を通して来る情報がとても正確なのは他界の知的存在が関わっているからだという結論に至ったことを告白する報告書をSPRに提出しています。この結論は重要で、後々まで大きな影響を及ぼしました。このホジソンが最後にした告白は必然的に、彼がパイパー夫人について最初にSPRに提出した、死後の世界を否定する報告が、当然間違っていて修正されるべきものであることを示しています。彼が得てきた情報は、一番初めの交霊会のときから非常に正確だったのですが、その情報を正しく処理しようとしなかった態度が次の言葉に現れています;

「・・・本当であるはずはない。なぜなら、私はこんなものを信じないし、その嘘を暴くためにここに来たのだから。」


 ホジソンは初期の調査において、世界的に名の知られた二人の霊媒、ブラヴァッキー夫人とユーザピア・パラディーノを偽物と主張しています。ホジソンが詐欺師と決めつけたこの二人の霊媒たちに対しても、パイパー夫人に使ったのと同じ時間を費やして調査したなら、彼らもまた本物であるという結論に到達しただろうことに疑いの余地はありません−単に十分な時間をかければよかっただけなのです!

 ホジソンがブラヴァッキー夫人に関する否定的な報告を作成したとき、その主な情報源となったのは夫人が率いる神智学協会の本部を解雇された家政婦、クーロン夫妻です。彼らはブラヴァッキー夫人を貶めたいと願う人々に買収され、解雇された恨みとともに、すべてをトリックとする暴露文書をインドのキリスト教系新聞に掲載しました。法廷においては、この夫妻のような主張は全く無効であり、証拠としては取り扱われ…

O:ヴィクター、私は、いや、おそらくみんな、そのブラヴァッキーとかパラディーノが何者なのか知らないから、そんな説明を一生懸命されても意味がないよ。

ヴィ:そうですか、残念です。この二人の業績を説明するととても長くなるので、ここではただ、二人とも本物だったとだけ言っておきましょう。

O:私にはどっちでもいいことだな。何しろ、そんな人が存在したかどうかも知らんのだから。

弁護士の論じる死後の世界


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