18.科学と体外離脱


「秘密は明かされた:リモートヴューイング(体外離脱)は存在し、実際に機能する。この現象はテストの上に証明され、そして20年以上の間、諜報部によって利用されてきた。 最近の(合衆国)政府がサイキック戦争を行っていることを告白した事実は、私が述べたことが真実であることを保証する、決定的で論破できない証拠となります・・・」
デイビッド・モアハウス少佐


ヴィ:近来の心霊調査において最もよく知られているトピックに、OBEの略語で知られる体外離脱の研究があります。

O:「よく知られた」って言ってもな〜。さっきから、リモートヴューイングとか体外離脱とかわけのわからん言葉に辟易しとるんだが。

ヴィ:では教授、幽体離脱という言葉なら聞いたことはありますか。

O:ああ、それならわかる。魂が体から出てさまよい歩くというやつだろう。

ヴィ:意識が体から離れてしまう現象は伝統的に幽体離脱と呼ばれてきました。しかし、近年になりこの現象が科学的検証の対象となり得ることがわかってから、幽体の語に付随するオカルト的印象をぬぐい去るために「体外離脱体験(Out of Body Experience = OBE)」という言葉が生まれました。

 体外離脱は、我々が身体の死から生き残るという強力な、そして一貫した論拠となります。 OBEは特に、心が不滅で、脳とは関係のない独立したものであることを示す豊富な証拠を生み続けているのです。OBEを考察するときは必ず、他界の存在を示す他の証拠と共に考えられなければなりません。

 OBEが起きると、しばしばアストラル体、またはエーテル体と呼ばれる、肉体と同じ見えない体が、はっきりした意識の中で物質の体を離れ、動き回ることができます。たいていの人々にとって、OBEの間は全くコントロールが効きません−それはただ起きるだけなのです。OBEを経験する人は、病気や瀕死の状態でなくても構いません。通常、体外離脱体験を持つ人は、我々が物理的な死を超えて生き残る事を受け入れます。彼等は、見えない複体と肉体とが、まだ銀の紐で結びついていたので、自分達は体に戻れたのだと知ります。銀の紐が完全に切れてしまっても、見えない体(物質の目に)は他界で生き残り続けます。

O:ヴィクター。体外離脱だか、幽体離脱だか、どちらでもいいが、とにかくそういう現象は確かにあるよ。

ヴィ:おや、教授。テレパシーを認めたら、他の超常現象も認めだしたのですか。素晴らしい!

O:そう、確かにある。私だって体を抜けて空を飛ぶ夢を見たことがあるからな。

ヴィ:本物のOBEは夢と違います!

 これは歴史的に裏付けられる現象であり、20世紀以上の間、世界中のすべてから報告されています。初めに、いくつか歴史的OBEについて手短かに触れましょう:


O:ちょっと待った。そんなことをいくら並べても、体を抜け出す夢が太古から不変のものだと言っているのとなんら変わらんよ。

ヴィ:ここまでの事柄についても、実際に原典を見ていただければ、その中でOBEが単なる夢の話として扱われているのではないとわかっていただけると思いますが、そう、例えばこんなのはどうでしょう。


O:どうもマイルという単位はわからない。キロで話してくれないか。

ヴィ:1マイルは約1.6キロメートルです。

O:初期の宣教師がアフリカに・・・。アフリカを欧米人たちが盛んに探検していたのは1800年代だよな。だから初期の宣教師が入ってきたのは、ほとんど20世紀、つまり1900年代になってからのはずだ。となるともうすでに自動車が発明されている。ということは、そうした文明の利器を利用した探検家たちが、土着の民族に周辺情報を教えてから、宣教師たちがはいってきたんじゃないか。

ヴィ:じゃあ、アメリカはどうです。こちらは1600年代の始め頃の話ですよ。

O:それ以前にスペイン人たちが馬に乗ってさんざん走り回っていただろう。そこから周辺地域の情報は流れただけだと思うがね。

ヴィ:なるほど。しかし、教授がどう反論しようとOBEは起こり続け、今世紀になってからOBEに関する記録がかなり公にでてきています。


 体外離脱に関する情報を書いた文献は、相当な冊数になります。

O:ヴィクター。私は体外離脱を否定しないよ。だがそれは単に、夢、幻、白昼夢の類でしかない。君がさっきから述べていることは、この脳内現象が人類の歴史において不変のものであるということだけだ。もう少し、実のある話をしてくれんか。

ヴィ:もちろん、これからOBEが単なる脳内現象ではないことを述べていきます。体外離脱を経験した者たちは、自分の意識、複製された体が肉体から離れ、その肉体からは見聞きすることができないはずの情報を得てくると言われます。もしこれが本当だとしたら、最高のスパイができあがると思いませんか。

O:そんなことが本当にできたら、プライバシーも何もあったもんじゃないな。

ヴィ:では教授、ここで質問です。実際にこういったことは可能なのでしょうか?

O:可能なはずはないじゃないか。

ヴィ:残念ながらその解答は間違っています。肉体はここにいながら遠方の事柄の情報を得るリモートヴューイングの研究に対して、合衆国は年間7千万ドルの予算を費やし、そしてこれは実際に軍事利用されたのです。次の証拠類は、軍の非常に地位の高い将校たちによって行われたOBEの科学的実験に関する報告と、彼らがOBEの実在性について述べた、とても価値の高い証言からとられたものです。下に引用された事例の多くが、客観的に実証されました。

 20年以上の間、合衆国軍は「リモートヴューイング」−体外離脱の軍事利用−に最も比重を置いたサイキック研究のために、年間7千万ドルの予算を費やしてきました。リモートヴューイングとは、幽体離脱能力に恵まれたものが肉体から離れ、ある特定の地域へと飛んで対象を観察し、肉体に戻った後に見たものについて報告することです。

 心霊現象に明るくない人々には衝撃的に聞こえるかもしれませんが、これ以上の事柄が合衆国、ロシア、そして中国で行われ、今でもそれは続いているのです。フランスはリモートヴューイングについて沈黙していますが、この現象を実践し、より進んだ知識を得ている人々が確かにいます。

O:各国がサイキック現象を軍事利用しようとしているうわさはよく聞くが、これはあくまでうわさに過ぎんよ。

ヴィ:そんな教授にはエドムンド・R・トンプソン少将の言葉を送りたいですね。彼はこう言っています;

「私は決して懐疑論者との討論に加わろうとは思わなかった。なぜなら、リモートヴューイングが実在しないという人は、単に宿題をやっていないからそう考えているだけなのだ。」
― エドムンド・R・トンプソン少将 合衆国陸軍情報部次席補佐官(1977-81) 国防情報局管理運営次長(1982-84)


O:ほー、いったいどんな宿題をやればそんなものが実在すると思えるのかね。

ヴィ:その「宿題」をこれから一緒にやっていきましょう。

 ジム・シュナーベルは彼の最も興味深い本「Remote Viewers - The Secret History of America's Psychic Spies(リモートヴューワー―アメリカサイキックスパイの秘史)- 1997」において、軍事目的に応用された体外離脱の現実性について、アメリカ大統領を含む非常に信頼の置ける情報源をたくさん引用しています。トンプソン少将の言葉もこの本からとったものです。ここにあげる驚嘆すべき証言は、心霊現象の歴史の中で、すでに確固たる地位を占めています:

「少しでも関わったなら、ここには何かがあるということを絶対に確信するはずだ。」
―ノーム・J 以前にリモートヴューワーたちを指揮していたCIA高官

「我々の得た情報は非常に恐ろしく、それに基づいて爆弾を投下したくなったことが何度もあります。」
―ハル・プソッフ博士、リモートヴューイング計画の以前の管理者

「彼女は昏睡状態に入った。その昏睡状態のまま、彼女は我々にある緯度と経度を与えた。我々がそのポイントに衛星カメラの焦点を合わせたとき、そこには失われた飛行機があったのだ。」
―以前の大統領、ジミー・カーター。1978年のリモートヴューイング作戦を思い出して。


 初期の独特な実験は、ほとんど合衆国のスタンフォード研究所で行われました。物理学者ハル・プソッフはそこで、リモートヴューイングプログラムの指揮をしていた人です。シュナーベルが1997年に書いた本によれば、下記のような軍事関係者たちが、この軍事幽体離脱、つまりリモートヴューイングに関係しています;


 パトリック・プライスはとても優れたサイキックで、インゴ・スワンとは無関係でしたが、二人のリモートヴューイングはとても整合性がありました。プライスはリモートヴューイングを通じて「・・・シュガー森、ウェストバージニア村の丘陵にある国防省の秘密施設」の細部について正確に描写しました。そのとき述べられた秘密機能として、大陸間の電話通信の傍受、合衆国スパイ衛星の制御などがあげられます。プライスはまた、遥か北方のウラル山脈のナロジャナ山にあるロシアの軍事基地について、恐ろしいほど正確なリモートヴューイングをしました。CIAはプライスのリモートヴューイング能力について確信しています。

O:ヴィクター、例えばこういうのはどうだ。

ヴィ:はい?

O:彼らはこの年間7千万ドルの予算を使って、何か全く別の軍事研究をしていたのだろう。大統領にすら明かせないほどの。その隠れみのとして使われたのがリモートヴューイングなどという途方もない考えだ。リモートヴューイングはとても突飛なアイデアだが成功すれば、まあ、するはずはないが、軍事的価値は計り知れない。だから予算獲得のためのお題目としてはふさわしいと言える。そうして獲得した研究費でもって、実際にはもっと実用的なことをしていたのだろう。

ヴィ:だとすると、研究成果として挙げられている色々な情報はどうなるのですか。

O:もちろん、ねつ造だよ。こうした架空の研究成果を情報として流していかないと、予算を毎年獲得できないだろう。

ヴィ:大統領の目の前で、リモートヴューワーが墜落した飛行機を見つけた件はどう説明します?

O:そんなもの、あらかじめ見つけて緯度と経度を出しておくのだよ。それから大統領の前で公開実験のようなことをするわけだ。大統領は感心し、また何年分かの予算が確保できる。こうした図式だ。

ヴィ:教授のその考えはすぐに消え去るでしょう。これから述べることを聞けば。

 ルエリンの編集スタッフが書いた本の中で、1991年に出版された「The Truth About Astral Projection(幽体離脱の真実)」に、体外離脱による宇宙探索について最も面白い事例が載っています。著者によれば、最も記憶に残る実験が1973年4月27日にカリフォルニアのスタンフォード研究所で起こなわれました。アメリカを代表する二人の体外離脱者インゴ・スワンとハロルド・シャーマンに対して、木星の周りを探査する仕事が科せられたのです。これは合衆国が宇宙船パイオニア10号を、12月に木星に送るための準備でした。

 スワンとシャーマンは、木星は濃密な磁気嵐に覆われていると報告しています。彼らは、大気が非常に荒れているのでラジオ探査は役に立たず、計画通りにパイオニア10号を着陸させるのは無理だろうと予測しました。このすべてと、その他の情報は、後に確認されました。

O:いったい何を言い出すのかと思えば。そんな想像上の宇宙旅行なら私にもできるぞ。「おお、土星の周りに輪が見える」とか言いながらな。

ヴィ:しかし、彼らの伝える内容が、単なる想像や既存の事実を元にした推測ではないことは次の事例で明らかです。

 1974年3月17日、スワンとシャーマンは再び外宇宙に彼ら自身を投げ出すように頼まれました。今回彼らは別々に実験を求められ、互いに相手が同じ実験に関わっていることを知りません。目標は水星で、マリナー10号の水星着陸を前に情報を得るためでした。再び、非常に驚いたことに、二人は同一の情報を報告し、しかもそれは地球上の科学者が水星について信じていることに相反していたのです。後にマリナー10号から送信されてきた情報は、スワンとシャーマンが正しかったことを示しました。

 21世紀には、これ以上に劇的な体外旅行が報告されるであろうことに疑いはありません。

 デイビッド・A・モアハウス少佐はとても価値のある勲章を受けた米国陸軍士官で、1987年から1991年まで、合衆国陸軍の諜報保安部隊と国防情報局の最高機密にアクセスするプログラムに従事していました。彼の本「Psychic Warrior - The True Story of the CIA's Paranormal Espionage Program(サイキック戦士−CIA超常スパイ活動計画の真実)- 1996」において、彼はこの計画の重要点を次のように述べています:

「秘密は明かされた:リモートヴューイングは存在し、実際に機能する。この現象はテストの上に証明され、そして20年以上の間、諜報部によって利用されてきた。最近の政府がサイキック戦争を行っていることを告白した事実は、私が述べたことが真実であることを保証する、決定的で論破できない証拠となります。地球上で最も強力な国の政府が、人間は時空を超えて、遠方の人々や場所、物、出来事を見ることができ、その情報を持ち帰ることができる事実を知っていることを認めたのです。私はあなた方が、この情報の重要性とその意義を理解することを望みます。」


 モアハウスはまた、彼と他のリモートヴューアーたちが、他界の存在たちと定期的に連絡をとっていたと主張しています。

 さて、教授、これらの事実をどう見ますか?

O:これらの事実をどう見るかと言われてもな・・・。信じられないと言うしかないな。

ヴィ:しかし、リモートヴューイングは事実なのです。

O:それだよ、信じられないのは。こんなことが事実であるはずがない。

ヴィ:教授のように事実を受け入れられない人々がどんなに抵抗しようと、事実は事実なのです。

 私はこの秘密のOBEプロジェクト、リモートヴューイングがいったいどうやって、唯物論者、慣例化した宗教、そして原理主義者の痛烈な反対を受けずに、合衆国軍の中で長期間に渡って続いてきたのかを思うと、本当にびっくりします。軍と諜報機関は明らかに、体外離脱は主観的な宗教的信念に基づく反論を全く受け付けない、そのような次元をはるかに超えた、客観的に証明された事実であることを受け入れました。体を抜け出して動くことができる事実は、アストラルもしくはエーテル体、肉体の複製である別の体の存在を証明するものです。

O:ヴィクター、ちょっと結論が飛躍し過ぎてはいないか。もし仮にリモートヴューイングが事実だったとしても、それは、人間には遠くの物事を知ることができる未知の能力があるかもしれないことを示すだけで、第二の体とかいうわけの分からない話はまた別だろう。

ヴィ:ここまでの話ではそうですが、これから、このリモートヴューイングが確かに体外離脱であることを説明していきます。

 まず、このOBEが普遍的な現象であることを改めて示しましょう。

 ディーン・シールズ博士は、西洋に属さない70種類の文明におけるOBE研究を、1,000件以上分析しました。OBEにはかなりの地域差があると思われていたのですが、彼の得た結果は、この現象に絶対的な一貫性があることを決定的に示しました。シールズ博士は、これだけ普遍的な結果が得られると言うことは、現象は本物でなければならないと主張しています。

 20世紀の文豪―アーネスト・ヘミングウェイ、トルストイ、ドストエフスキー、テニスン、エドガー・アラン・ポー、DHローレンス、バージニア・ウルフを含む偉大な作家の多くが、OBEを経験したことを公に述べています。

 最も信用できる科学者、ロバート・クルッコール博士は700以上のOBE報告を分析しました。彼は経験者の81%が、この個人的な体験によって死後の生を完全に確信していることに気付きました。極めて慎重な科学者クルッコールは、世界中のあらゆる地域から来るOBEや臨死体験の報告、能力の高い霊媒が伝える交信、これらが皆矛盾なく一貫していることにショックを受けたのです。

O:うーん、OBEの夢はもしかしたら人類全体の夢なのかもしれんな。

ヴィ:どういう意味です?

O:OBEは夢だ。それ以外の何物でもない。だが、複数の人が見るその夢に一貫性があるということは、人類という種のDNAに「体を抜け出す夢」の情報が刻印されているのかもしれない。

ヴィ:OBEが夢でないことは、次の二点をはっきりさせれば証明できます。ひとつはOBE状態の人が他の人によって観察されること、もうひとつはOBEによって得られた情報が正しいことです。

 SPRはOBEの事例をかなりたくさん記録しています。その中でも特に興味深いのは、体外離脱状態にあった人が、まるで生身の体を持っているように他の人に見えた事例でしょう;

 ランドー氏は1955年に、彼の妻となるべき人が体外離脱をしたと彼に訴えた件を報告しています。それを確かめるためにある晩彼は、彼女に自分の日記を与え、次のOBEのときにそれを彼の部屋まで動かすように頼みました。翌朝早く彼は、彼女の幻影が自分の部屋から出てきて、彼女の部屋に向かう踊り場を歩いているのを目撃しました。その幻像がベッドで寝ている彼女の体の中に消失するまで、彼は見守り続けていました。彼は自分の部屋に戻ったとき、彼女のベッドの横にあるたんすの上にあったはずのゴム製の犬のおもちゃが、彼のベッドの横にあるのを見つけました。それについて尋ねられた彼女は、子供のときから決して他人の手紙と日記には触らないように言われていたので、日記を持って動かすことはやりたくなかったのだと述べました。

O:また心霊かぶれ集団SPRがでてくるのか。そんな荒唐無稽な調査報告が、信じられるわけないだろう。

ヴィ:合衆国ではカーリス・オシスとボニータ・ペルスカリが優秀なOBE被験者、アレックス・タナウスと一緒に科学的な研究を数年続け、とても重要な結果を成し遂げました。ある印象的なテストにおいて、タナウスは何キロも離れた特定のオフィスに体外離脱状態で行き、テーブルの上に何が置いてあったかを報告しました。このときタナウスは、そのオフィスに超能力者クリスティーン・ホワイティングがいて、誰かが訪問してくるのを見ることができるかどうか、待っていた事実を知りませんでした。予想したとおり、この霊媒は自身の透視能力で、タナウスがオフィスに入って来るのを見たのです。彼女はタナウスがいた場所を詳しく、彼が袖をまくったシャツとコーデュロイのパンツを履いてどこに浮かんでいたかを描写しました。この実験記録は、OBE状態のタナウスが確かに存在し、確認された事実を示しています。

O:それは、タナウスとホワイティングがぐるになって研究者を騙したんだな。

ヴィ:そうですかね。

 最も傑出した英国軍人であったオリバー・オイストン卿は、ボーア戦争のときに腸チフスで病院に入り、症状がおもわしくない中でOBEを経験したことを記録しています。オリバー卿のアストラル体は正常な意識のまま、周りが正しく理解できる状況で壁を通り抜け、ある若い「腸チフスに苦しんで死にかけている軍医」を見つけました。次の日、オリバー卿は意識が戻ると、医療スタッフに何が起きたかを言いました。スタッフは後に、オリバー卿が述べたことは正しかったことを認めています。

 ワシントン大学のキンバリー・クラーク教授は、入院している女性患者が心拍停止で苦しんでいる間にOBEをした、現在では国際的に知られている症例を報告しています。彼女の複製された見えない体は、病院の上の階を、明らかに一度も行ったことがないはずの貯蔵室に至るまで体外旅行しました。彼女は窓枠が張り出しているところに古いテニスシューズがあるのを見ました。体に戻って意識が回復すると、彼女は教授にその体験を話したのです。教授は仰天し、早速彼女の物語を確かめ始めました。その結果、テニスシューズのメーカーに至るまですべての情報が正しかったのです!

 エリザベス・キュブラー=ロス博士は、盲目の患者がOBEの間にある種の出来事を見ることができた事例に行き当たり、これは事実であることが確認されたと述べています。

 さあ、これでもOBEが夢だと言い続けますか?

O:うーむ。でもな、こんな風に偶発事例ばかり並べられても、単にうそつきがたくさんいるとしか思えないんだが。人類の誰でもが経験する可能性のあるOBEの夢。これが実際の体験であって欲しいという願いは、民間信仰のようなものだ。そうした思いが、これだけの嘘の報告を生んでいるんじゃないか。

ヴィ:カーリス・オシスとボニータ・ペルスカリは、管理された状況で実験に挑んでいます。その他にも、しっかりと管理された状況でOBEの実験を行い、確かな結果を得た研究者たちはたくさんいます。有能なOBE経験者が何人か協力してくれたため、この現象は科学の領域に入ってきました。


 教授、ここまで来てもまだOBEが夢だと言うのは、分からず屋の子供の言い分と変わりませんよ!

O:私には、君がそう言い切れるだけの証拠を提示したとは思えないんだけどね。まあ、もし夢でなかったとしても、脳の可能性から考えたいな。例えば、他の場所にいる人が見たものをテレパシーで読みとれば、あたかも体外離脱したような結果が出るだろう。

ヴィ:離脱した姿が目撃されている件はどう見ますか。

O:ヴィクターが言った目撃例では、すべて事前に体外離脱の実験をするとわかっていた。だから幻覚を見たんだな。

ヴィ:幻覚ですって! 教授はこんなタイミングの良い幻覚を認めるのですか?

O:単なる幻覚とは言っていない。体外離脱をする人と、それを観察する人の精神が互いに相互作用して、結果的に幻覚を見たのだろう。

ヴィ:他の惑星の情報をもってきた件はどうなるのでしょう。

O:そんなのは作り話に決まってる。

ヴィ:そうですか。ではここで、教授のようにすべてを脳の働きから考えようとする人たちに述べたい事柄があります。若干の心理学者を含む、多くの人々が、脳と心が同じだと間違って信じています。

 合衆国における心霊現象の素晴らしい開拓者ジョージ・ミークは、彼の素晴らしい本「From Seance to Science(交霊会から科学まで)- 1973」の中で、これまでの研究結果は、心が脳とは違うものであることを疑いを超えて指し示していると述べています。我々の考え、記憶と印象がどこにどのようにしまわれるのか、科学はその答を知らない、と彼は論じています。


 もし、一部の科学者が主張するように、我々の記憶が脳細胞に記録されるのなら、なぜそれを維持できるのでしょう? ジョージ・ミークはこう尋ねています;

「我々の思考・記憶・印象が、脳細胞という小さくて素敵な書類棚にしまわれるのだとしたら、まさにその脳細胞が24時間中何百万も溶かされて排水口に流し出されている状況で、いったいどうやって書類を保ち続けているのだろう?」


 もしどこかの懐疑論者が「ああ、それは非常に単純なことで・・・DNA分子の機能です。」と言ったとしても、科学者たちはこの答えがまったく適切ではないということに同意してくれます。教授はそんな無茶なことは言いませんよね。

O:記憶が脳細胞に記録されるのではないことは、私も理解できる。それに関してこの前、おもしろい記事を読んだな。

ヴィ:どんな記事です?

O:学研のムーの2000年11月号に載ってたんだが、

ヴィ:教授でもムーなんて読むんですか!

O:普通は読まんのだが、11月号は、この本の著者の一人が力をしぼった記事を書いたとかで、無理矢理買わされたんだよ。

ヴィ:なるほど。そういえばあのスコールグループ(12章参照)に関する巻末特集はどうでした。

O:うむ。あの記事は、実はまだあまり読んでいなくてな。だいたい「驚愕!!『死後の世界』の映像をとらえた!」なんてうさんくさいタイトルから始まると読む気もしない。それよりは「21世紀サイエンスの常識?非常識!?超常識!!」というタイトルに惹かれたな。その記事からちょっと引用させてもらおうか。

「記憶とは、脳の神経細胞のつながった回路のネットワークである。そのネットワークのなかで、情報のインパルスがやりとりされる。それが記憶そのものである、と脳科学ではいう。だが、ここでいう記憶とは、暗記とか記憶力とかいうときの、せまい意味での記憶でしかない。機械的記憶である。本来の記憶は、もっとゆたかなものである。脳科学では、そこまではとらえていない。脳科学は、電子顕微鏡で見える範囲までしかあつかえないからだ。だから記憶を霊界にもとめる人さえいる。霊界にホ□グラム方式で記録されるのだという。」


ヴィ:正にその通りです。記憶は霊界のある一定階層に保存され、

O:わけのわからない話で邪魔せんでくれ! 引用を続ける。

「電子顕微鏡を超えた、超ミク□の量子レベル。そこでこそ、記憶に関係する、なんらかの仕事がおこなわれているのだ。こうして量子場脳理論なる学説がようやく登場することになる。それはすでに1970年代、カナダの物理学者、梅沢博臣・高橋康によって開拓されていた。だが量子レベルのミク□の眼で見た脳は、われわれのよく知っているイメージとはまるで違っている。だからこの学説は、長らく日の目を見ることができなかった。
 
 その眼で透視されたミク□の脳世界。そこは細長いタンパク質の糸が、網の目状にはりめぐらされた小宇宙だ。その糸を伝って、電気性の波や衝撃が音楽のように行ったり来たりしている。超伝導のとても不思議な世界である。また、その周りには、たくさんの水のかたまりがとりかこむように結合している。水といっても、この水はふつうの水とはまるでちがう性質をもっている。それは液体ではない。なかば結晶した固体のようである。やわらかい氷といってもいい。
 
 そしてそれを構成する水の分子は、集団で秩序ある運動をしている。網の目を、波や衝撃が通過していく。そのたびに、水分子の集団運動にそのパターンが刻みこまれる。またそのパターンが波や衝撃に影響をあたえる。ここに記憶の秘密の一端が隠されていた。そう、水だったのだ。この踊る結合水に刻み重ねられるパターンこそ、エングラム(記憶痕跡)の場所であった。」


と、こんな風に、記憶の在処がわかってきている。さらにその結合水から出た光子の集団が心ではないかとも言われているようだ。

ヴィ:つまり教授は心と脳は分離できると言いたいのですか。私が言いたいことも正にそれなのですが。

O:いや。心は脳があって初めて生まれ、そして作動している。心が、いわば形のない、光の集団からできているとしても、脳があっての心だということなのだよ。だから完全な分離はできない。

ヴィ:面白いですね。では、体外離脱はその光の集合体が五感と共に体を抜け出し、それでもまだ元の脳とつながっている状態だともいえるわけですね。教授、ではなぜ、その心が死後も残らないと言えるのでしょう。

O:そんなのは当たり前だろう。脳が停止したら、心を形作る光子も生まれない。まあ、この説を完全に認めるわけではないが、君の死後生存仮説よりはずっとましな説だ。とにかく、心が何らかの粒子に還元できるとしても、それは人間が死んだ後、霧散してしまうだろう。

ヴィ:はたしてそうでしょうか。次は臨死体験について考えてみましょう。

弁護士の論じる死後の世界


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