電気の森 The Forest Of Electric + Electronic Technorogy by Otoshibumi Craft Lab [Official] [1999]

 

電気工事編 DKE-001

 硬質ビニル電線管(VE管)の特徴

Ver.2.2 (Preview Version)  2000/04/12版

to Denko


 このコンテンツでは、硬質ビニル電線管(VE管)の特徴についてまとめてみました。昔から、「合成樹脂管といえば、硬質ビニル電線管(VE管)。」です。合成樹脂管は、硬質ビニル電線管(VE管)のほかに、コンクリート埋込専用電線管(CD管)、合成樹脂製可とう電線管(PF管)がありますが、これらの電線管の特徴のベースになります。CD管、PF管については、別のコンテンツで紹介します。

 


 硬質ビニル電線管(VE管)の長所
 
   

 材質からいえること
 
     
材質が絶縁体(非導電体)であるために接地工事を必要としない。
 
 硬質ビニル電線管(VE管)の材料である塩化ビニルは絶縁体です。導電体である金属管のように電線管に接地を行う必要がありません。

 
 硬質ビニル電線管(VE管)に接続するボックス類も合成樹脂製のものを使うと、より、配線の絶縁性を保つことができます。
 金属製のボックスを用いると、使用電圧が300V以下の場合、D種接地工事が必要になります。(ただし、1、乾燥した場所に施設する場合、2、屋内配線の対地電圧が150V以下の場合において、人が容易にふれるおそれがないように施設する場合はD種接地工事は省略できます。)
 また、使用電圧が300Vを越える場合、C種接地工事が必要になります。(ただし、人がふれるおそれがないように施設する場合は、D種接地工事によることができます。)

[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−8 接地 第1項、第2項
[参考] [電気設備技術基準・解釈 H9 H10 H11]
                   第177条 合成樹脂管工事 第3項第四号、第五号


 
金属管のような腐食がない(酸化しない)。
 
 薬品や油などで腐食しないことを意味しています。この特性は、金属管にないもので、化学薬品工場や機械工場などで利用されています。

 
軽量である。
 
 金属に比べ軽い材質です。運搬がラク(特に、CD管やPF管)になり、工事の省力化ができます。

 
金属管につぎ、広い範囲の施工場所で利用できる。
 
 金属管工事は、あらゆる場所の施工ができます。合成樹脂管も施工場所が広い工事法の一つです。

 
 

 構造的な工夫からいえること
 
 
直線性がある。
 
 まっすぐな管であるということです。曲げやすいという意味で「可とう性」という用語があります。
 直線性の電線管であるために短所になることもあるのですが、直線性が必要なところもあるのです。可とう電線管との使い分けを考えてみてはどうでしょうか。

 
   

 

Photo.DKE-001-01

硬質ビニル電線管(VE管)

■ 写真は、硬質ビニル電線管(VE管)です。VE管といえば、灰色の管が普通だと思うのですが、ベージュ色の管を載せてみました。

未来工業:「硬質ビニル電線管(J管)ベージュ色」
 左から、VE-36J4、VE-28J4、VE-22J4、VE-16J4、VE-14J4

(2000/01撮影)

 


 硬質ビニル電線管(VE管)の短所
 
   

 材質からいえること
 
     
著しい機械的衝撃や重量物の圧力に弱い。
 
 硬質ビニル電線管(VE管)は、(金属管に対し)柔らかい材質であると認識をもって下さい。強度が弱いと思って下さい。

 
 この性質は、「合成樹脂管配線の施設場所の制限」として、法的な規制のもとになっています。詳しくは、以下のコンテンツを参考にしてください。

  DKE-003  硬質ビニル電線管(VE管)配線の施設場所

 
燃える(金属管は燃えない)。 
VE管は、電気用品の技術基準や日本工業規格の「耐燃性試験」に適合している。
 
 一度燃え始めるとずっと炎を出して燃えつづける物質と燃え始めてもしばらく時間がたつと消える物質があります。後者の性質を「自己消火性」、又は、「自消性」といいます。VE管は、「自己消火性」がある電線管です。「自己消火性」という用語は、合成樹脂製可とう電線管(PF管)やコンクリート埋込専用電線管(CD管)でよく用いられるもので、硬質ビニル電線管(VE管)の場合は、「難燃性」という用語が用いられています。

 
 合成樹脂製の電線管は、電気用品の技術基準や日本工業規格で「耐燃性試験」が実施されています。これは、「配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。」という電気設備技術基準・省令 第36条の「火災防止」を行うためのものです。VE管は、これらの「耐燃性試験」に適合した電線管なのです。

 
[参考]
 
[電気用品の技術基準 H10] 別表第二 1.電線管類
                  (3)合成樹脂製電線管 ホ、耐燃性

 
[日本工業規格 JIS C8430-1993] 硬質ビニル電線管 6.9 耐燃性試験
 [電気設備技術基準・省令 H9 H10 H11]  第36条 配線の感電又は火災の防止

  
 硬質ビニル電線管(VE管)は、難燃性の管であると法的に解釈されています。ですから、金属管配線に近い施設場所で利用できるのです。
 詳しくは、以下のコンテンツを参考にしてください。

  DKE-003  硬質ビニル電線管(VE管)配線の施設場所

 
 金属管は、燃えません。合成樹脂管は、熱に弱い性質を持っています。硬質ビニル電線管(VE管)は、約80℃で軟化しはじめます。

 
周囲温度によって、収縮がおこる。
 
 合成樹脂の特徴です。硬質ビニル管の場合は、熱による膨張係数が鉄の約6倍のもの(当然、技術的な改善が進んでいると思います。)もあるそうです。長い距離に管を使用する場合、伸縮を考慮した接続(たとえば、コンビネーションカップリングを使う)も必要になります。
 
[参考]
 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 @ 

 
 周囲温度が高くなると、たるみが生じます。ですから、管の支持点間の距離が金属管に比べ、短いのです。

 
[参考]
 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−6 管及び付属品の連結及び支持 第2項 
 [内線規程JEAC 8001-1995] 410−7 管及び付属品の連結及び支持 第3項 

 

 
経年変化がある。紫外線(太陽光)に長時間あたると、変質する。
 
 合成樹脂が何年も経つと、堅くなり割れやすくなる傾向があります。また、野ざらしにされた合成樹脂管(灰色の管)の表面が白くなってしまっているのを見たことがありませんか。

 
 

 構造的な工夫からいえること
 
 
管を曲げるのに熱処理が必要である。
 
 管を曲げる作業には、熱処理が必要です。技術的には非常に経験が必要になります。
 直角に曲げるには、ノーマルベンドを用いることもできますが、このほかの角度に曲げるには、トーチランプを用いた熱処理が欠かせません。金属管を曲げるパイプベンダを使う作業より、高度な作業です。作業の効率化ができません。

 
   

 


 Version情報

Ver.2.2 (Preview Version)  2000/04/12版
 CD管、PF管の特徴をまとめた後に修正しましたので、今まで以上に内容が膨らみました。私のオリジナル性もでてきて、ちょっと満足しています。新しいコンテンツを作り上げた感じです。CD管、PF管の特徴ともに、時間をおいてもう一度見直す必要がありそうです。
Ver.2.0 (Preview Version)  2000/03/08版
 タイトルを「合成樹脂管の特徴」から「硬質ビニル電線管(VE管)の特徴」に変更しました。内容を見直し、追加・修正をしました。コンテンツ全体をVer2.x仕様(図を入れ、見やすさを検討しました。)に変更しています。
Ver.1.4 (Preview Version)  2000/01/05版
Ver.1.2をさらに2つに分割しました。。No.0005「合成樹脂管の分類」を作成したため、「種類」についてのみ削除し、「合成樹脂管の特徴」としました。また本文に一部修正を加えました。「Virsion情報」の新規追加、「このコンテンツを利用される方へ」、「参考文献」を追加・修正しました。
Ver.1.2 (Preview Version)  1999/12/08版
Ver.1.0の内容が膨らんだため、コンテンツを3つに分割し、「合成樹脂管の種類と特徴」としました。
Ver.1.0 (Preview Version)  1999/12/01版 
「合成樹脂管工事の施工場所」として初up。 

 このコンテンツを利用される方へ

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  参考文献

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DKE-017 合成樹脂管を知るための参考文献


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電工師匠 M.Saito、松山哉@千葉、鈴木真樹、古川裕久(sanpow21号)@佐賀、鈴木通之


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