2月16日(水)


(1)托鉢とわんこそば


有名な朝の托鉢風景を見逃すわけには行かない。
家族皆で、昨日から、「早起き」体制を整えていた。

ニワトリは、今朝もウンザリするほど元気だ。
おまけに二羽のニワトリが、違う鳴き方をする、ときている。
全く賑々しい。

起きてすぐ、娘の部屋をノックしておく。
娘の部屋ばかりではなく、ほかの部屋からも
ガサゴソ身じまいを整えているらしい気配がする。
やっぱりね、と思う。


6時ちょっと過ぎ、皆で外に出ると、さすがにまだ空気がひんやりと
している。どこで待機するといいのだろう、
・・・・と
思う間もなく、、その辺りで、
待ち構えていたらしいカオニャオ(もち米を煮たもの)売りの
女性たちが、どっと押し寄せてくる。

うわぁー、こういうことになるんだ。
心の準備もないままに、迫られる。
しかも、ここでは珍しい強引な女性につかまってしまったらしい。(左ピンク)



とにかく考える間もなく娘と私は、差し出させるままに
笹にくるんだチマキ?のようなのを一組ずつと、
お花を買うことに。
それぞれ一組K5000(¥50)だっただろうか・・・


観光客を待ち構えるたくさんのカオニァオ売りの人たち




そのうち観光バスも・・・

「きっと、ここがいいポイントだからだろう。」と主人が言う。


観光客の人たちも自分達なりに場所を決めて待つ。




押し売りされて、買った花。




遠くにお坊さん達が見えてくる。
「このチマキみたいなの、丸ごとあげないで、分けてあげていいらしいョ。」
吟遊さんのお友達S木さんのところで読んだ場面を思い出して、
娘に言う。急ぎ、チマキの爪楊枝をはずして
開けておく。ちまきは、三つ。
笹にくるまれた中には、二個ずつのチマキが入っている。
「お父さん、男の人は、立ったままでいいらしいよっ。」と主人に言い。
「女の人は、座るんだって。」と、娘を促す。


地面に座ろうとしたら、
地元の女性が、自分の敷きものを指してどうぞ、と言ってくれる。
ありがたくそこに座らせていただく。
地元の人は、自分の家で、炊いたご飯を専用のかごに
入れて、持ってきている。

と、もうお坊さんが、すぐそこに。



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でも・・・いざチマキを差し出そうと、
お坊さんの器の中を見たら、
チマキはみな笹に包まれたまま入っている!。
観光客の人のだろうとは思ったけれど、
目の前の現実にすぐ負ける私。焦ってアタフタと、
自分の解いたチマキを包み直す。
その間、お坊さんが、じいっと立ち止まって
待っていてくれて、慌てる・・・^^;

結局、
包みを元に戻して、そのままあげてしまったので、あっという間だ。

手に残ったのは、お花だけ。
どうしよう、と迷っていると、敷物に座らせてくれた
女性が、それも入れるといいですよ、みたいに促してくれたので、
年配のお坊さんの器に・・・。
お坊さんは、黙って器の蓋を開けて、お花を受け取って閉めて、
普通に通り過ぎて行った。

急いでよける。



お坊さんは、後から後から、どんどん続いている。
地元の人は、籠からご飯を手際よく一握りづつ、
お坊さんの器に入れている。


感心して眺めていると、
主人は、カオニャオの方を買ったらしく、それを私にくれる。


*喜捨用にカオニャオを買う時に入っている籠は、
↓この位の大きさで、こんな感じ。

本当は、籠が欲しくて、カオニャオを買ったらしいのだけれど、
籠は、もらえなかったため、別に買ったとのこと。


よし、今度こそ、要領よく・・・
又、さっきのところに座らせてもらって、
真似をして一握りずつのご飯を器にいれる。

でも、次々と来るお坊さんに間に合うようにするのは、結構大変だ。
気が急いて、ご飯を落としてしまったりする。
立ち止まらずにすっと通り過ぎてくれると、ほっとする。

ふうっ。ご飯が全部なくなって、何だか
一仕事終わったような気持だった。





バンコクから同じ飛行機で来た尼僧の方も・・・。

お供の人がお代わりのご飯をボールに入れて
届けて、喜捨を続けられていた。



観光客がいても、いなくても、日々繰り返されてきたし、
これからも続いていく毎朝の風景。
托鉢は、お坊さんの修行の一つで、この修行から一日が
始まるのだそうだ。町中のあちこちで、きっとこんな光景が
見られるのだろう。

仏教徒ではなく、ただの観光客にすぎなくても
その場にいて、穏やかな気持になれる空気がそこにはあった。

形だけになってしまっていると思える日本の仏教とは違って、
自然に人々の日常の生活の中にあるということが、
もたらしてくれる安心感なのかもしれない。


わんこそば?


どこで、離れてしまったのか、そのうち娘が遠くから
「負けた」という表情?で、戻ってくる。
「あ〜あ、まるでわんこそば状態、だった!」

娘が持っていたのも、ちまきとお花だけ。
ちまきは、もちろんすぐ終わってしまった。ところが、
横に、すっと女の子がきて、籠のカオニャオをすっと手渡してくれたそうだ。
あれ、なんて親切な、と思ってそのまま受け取って、見よう見まねで、喜捨。
ところが、それがなくなると、タイミングよく次が。
そして、
無くなると、又・・・又、あれ、あれっ?と思う間にずん、ずん、ずん。
お坊さんは、どんどん来るし、どこで、断ったらいいのか?
「止める間もなくなんだもん。」やっと断ったものの
その時すでに遅し。カオニャオのかご10個分位?・・(@_@)
「負けたよ。」と娘。「やられたね。」と、笑いながら主人と私。


そして、お花については、
「小坊主さんに鼻で笑われたんだよぉー。」と、嘆く。
ちまきがなくなったところで、
ちょうどやってきた小坊主さんの器に、ちょっと迷いつつお花を入れたら、
小坊主さんが、「フフン」と笑った、というのだ。
「ちびっこにサぁー、参ったョ。」と、苦笑いする。


托鉢のご飯は、
お坊さん達の食事になるとのことなので、
よく考えると、確かに、お花をもらってもねぇーというところなのだろうか。
小坊主さんだけにきっと正直な反応だったに違いない。


ともあれ、
「わんこそば」は、確かに言い得ていて、おかしいし、
「フン」と、思わず笑った小坊主さんも多分、正直なところ・・・
そんなあれこれがありつつも
逃すわけには行かなかった今回の旅の大きな目的は、達成した。



朝食を取ってから、メコン川の船着き場に向かう。

レストランの中から見た通りの様子。
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