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98.07.28

今性のあるお話

 前回の話は「ボッカッチョ」だったわけですが、もっとこぅ、今性のある話はないもんかな。
 今性、今性……。おや、このことばはだれかが使っていたぞ。そう、NHK「スタジオパークからこんにちは」の堀尾正明アナだ。
 1998.07.08 13:05の放送で作家の大江健三郎氏がゲスト出演したとき、執筆中の「宙返り」という小説の話になりました。なんでも、宗教団体に入っていた若者が行き詰まって、宗教を捨て、その後どのように生きて行こうとするかを描く作品だそうです。それを聞いて堀尾アナが

すごく今性のあるお話ですよね。楽しみにしたいと思います。

と受け答えをしたのだ。
 これ、最初聞いて分からなかったですね。「イマセー」という音連続だけでは、ぴんと来なかった。10秒ぐらい考えて「ああ、『今性』か、しかし珍しいことばを使うなあ」と思ったことでした。
 僕はこういうときには「今日性(こんにちせい)」を使います。「今日性」はふつうに使われることばだと思いますが、いかが。
 堀尾アナは「今日性」では難しいと思って、「今日」ではなく「今」を使おうとしたんでしょうね。でも、前半部はそれでいいとして、後半の「〜性」のほうは、ちょっとやさしく言い換えにくかった。そこで「今性」ということばが出来たのだと思う。
 この「今性」は臨時的な単語ではないようで、堀尾アナが他の日にも使っているのを耳にしました。彼の語彙の中にはあるのだろう。もしかしたら、他の人々もすでに使っていることばかもしれないと思い、僕の「初聞き」を記録する次第です(注、「初聞き」は僕の造語かもしれません。「初耳」とは違って動詞性を持たせたことば)
 さて、明日は、「今性」のない話をしようと思います。

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