最近気になる 《 世の中の出来事・柔らかい話 》


芸能界女子フットサル

今、芸能界で女子フットサルが盛り上がっています。
先日「スフィアリーグ」なる組織が結成され、今後は年間6ステージの大会を催し、ポイント制で優勝チームや最優秀選手を決めるというのです。
従来は芸能人のスポーツイベントといえば、「芸能人大運動会」「芸能人水泳大会」などというように、一過性のお祭り的かつお遊び的なものばかりでした。
女性芸能人によるフットサル自体は、昨年から今年に掛けて「お台場カップ」「フジテレビ739カップ」「すかいらーくグループカップ」などが開催されそれなりに盛り上がっていましたが、今回のように独立したリーグを立ち上げ年間を通して本格的にスポーツイベントに取り組んでゆくというのは私の知る限り過去には無かった話です。

参加チームは11チームに及び、2強といわれる「ガッタス・ブリリャンチスHP(アップフロントエージェンシー)」「カレッツァ(サンズエンターテイメント)」をはじめ、「ザナドゥ・ラブズNHC(ホリプロ)」「ミスマガジン(講談社)」などが名を連ねます。
参加選手はバリバリの現役アイドルから売れないお笑いタレントまで多種多彩ですが、監督も「ガッタス」の「北澤豪(元Jリーガー)」や「ファンタジスタ」の「大竹奈美(元女子サッカー日本代表)」といった本格派から、「チャクチャクJb」の「袴田吉彦(俳優)」や「蹴竹G(松竹芸能)」の「安田大サーカス(お笑いグループ)」などのタレント陣、中には「カレッツァ」の「野田義治(サンズ社長)」や「チームドリーム」の「松浦勝人(エイベックスグループ代表取締役)」のように経営陣が自ら参加しているチームもあります。

ここで面白いのは、選手として参加している「ガッタス」の「是永美記」や「カレッツァ」の「小島くるみ」といった存在です。
彼女たちは現プロダクションに所属していたわけではなく、いわゆる「フットサル要員」として請われたのです。
是永はもともとは全くの一般人、中学時代にサッカーを経験し現役大学生として亜細亜大のセパタクロー部に所属、小島はラジオのアシスタントなどの経験はあったようですが、女子サッカーの本場アメリカで経験を積んできた本格派なのです。
もちろん「芸能人フットサルチーム」である以上、彼女たちも単なるフットサルプレイヤーとしてだけの存在であるわけには行かず、是永はモーニング娘。らのコンサートでバックダンサーを経験したり、小島に至ってはチームのイメージソングでメインボーカルを務めるなど芸能活動も行っています。
これは非常に興味深いことで、過去には芸能人が芸能人としてスポーツイベントに参加するとか、スポーツ選手がスポーツ選手として芸能活動をする・・・というような例はあっても、本来スポーツ選手であった者が芸能界のスポーツイベントに参加するために芸能活動をするというのはレアなケースと言えるのではないでしょうか?
基本的にスポーツ選手寄りの是永、ややタレント寄りの小島という違いはあるにせよ、まさに彼女たちはスポーツ界と芸能界のハイブリッド的な存在として注目に値します。

近年、女子スポーツ選手の中にはそれこそそのままタレントとして通用するような容姿の持ち主も少なくありません。
ただ、プロスポーツ選手としてやって行けるのはごく一握りに過ぎず、かといってタレントとして第一線で活躍するのもよほどの才能と容姿が無ければ難しいのです。
ところが今回のフットサルリーグの立ち上げにより、是永や小島のような「半スポーツ半芸能タレント」が新たに生み出されてゆくことが考えられます。
初期の芸能アイドルといえば正統派のいわゆる「歌謡アイドル」であったのですが、その後「バラドル」なるものが台頭してきました。
90年代後半には「鈴木あみ」「モーニング娘。」などの「歌謡アイドル」が復権を果たしましたが、今ではアイドルの主流といえば「グラビア系アイドル」です。
しかし、ここにきてエンターテイメントとしての「スポーツ系アイドル」という新たなるジャンルが確立される可能性が広がっているのです。
古くから格闘技の世界では純粋な競技スポーツではなく、魅せるための興行スポーツが商売として成り立っています。
今回の芸能界女子フットサルリーグの設立には、「日本サッカー協会」も全面的にバックアップする姿勢と聞いています。
協会にとってはサッカーファンの底辺拡大という思惑もあるでしょうし、もしかするとその先には「女子フットサルプロリーグ」が見えているのかもしれません。
とりあえずは芸能界における新たなるビジネスの展開とし、スフィアリーグに対する注目は大きなものとなることでしょう。
 (2005.11−記)