貯水タンク



 近年はダムの整備や、淡水化プラントの稼働により、かなり解消されているようですが、数年前までの沖縄は毎年のように水不足に苦しんでいました。
 水不足による給水制限のための「夜間断水」や、深刻な年には「隔日給水」などという事もあったと聞いています。
 私自身、沖縄にやって来た年、遊びに行った石垣島でいきなり「夜間断水」の洗礼を浴び、遅い時間にはシャワーも浴びられないという不便な思いをしました。
 また、昨年の平成14年にも、小雨によりダムの貯水率が大幅に減少、沖縄本島でも給水制限も止むなしという一歩手前までいきました。

 このような事情から、沖縄の各家庭には必ずと言ってよいほど「貯水タンク」が設置されています。
 ほとんどは屋上や屋根の上に設置され、各家々の上にタンクが並んでいる様は、初めて沖縄を訪れた方には、ちょっと新鮮な光景かもしれません。
 沖縄の家庭にはシャワーのみで浴槽の無い家も少なくありませんので、そもそも大量の生活水を確保する場所が無いという事情もありますし、こうすれば給水制限がある度に生活水の確保をする手間が掛からない上に、生活水・飲み水などの区別することなく貯水もできるわけで、ほとんどの家庭に普及していると言って良いでしょう。
 この給水タンクのおかげで、夏季の水道水はお湯のように熱くなっていることがあって、冷たい水がほしいときには閉口してしまうことも少なくありません。
 さて、以前はFRP製のものが多かったようですが、最近は衛生上の問題や、丈夫で腐食に強いという点で、ステンレス製のものが一般的になりつつあるようです。
 また、外観上の点から、屋上に塔のようなものをつくり、そのなかに給水タンクを設置し、周囲からは見えにくいようにしたものや、中には屋内に設置してしまい、給水タンク自体が見えない家も増えつつあります。




 最近よく見られるステンレス製の貯水タンク。
 丈夫で大型化も可能で、遮光性にも優れていており、新たに設置されるのはほとんどがこのタイプ。

 最近の新築の建物では、屋上の水タンクが直接見えないように、花ブロックなどで囲いをつくり、景観に考慮したものも増えている。




 FRP製の釣り鐘形の貯水タンク。
 軽量で比較的丈夫だが、太陽光線を透過するため、内部が汚れやすく、最近では少なくなっている。

 FRP製の球形の貯水タンク。
 小型のものが多く、最近ではあまり見られなくなっている。



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