【コラム・16】 ホッケのウキ釣り


 春のハイシーズンがやって来た。
 この時期の北海道は磯や港からのカレイ類やホッケといったところがメインで、休日ともなればどこの釣り場も満員御礼の状態である。
 先日もウキ釣りでホッケを狙ってきたのだが、大きな群れが入っていれば三桁釣りも可能なホッケのウキ釣りはビギナーにも楽しめる比較的簡単な釣りである。
 餌に対し貪欲で活性が上がっていればほぼ丸飲み、アワセを入れなくとも気が付けば食っているという状態、ホッケは針を飲まれても強く引けば簡単に外せるので手返しもよく、食べても美味しいとあって人気の魚なのである。
 さて、ホッケは従来投げ釣りで狙う魚であったが、近年ではウキ釣りが主流になりつつある。
 もともとは本州からの転勤族などが持ち込んだのであろうが、昔に比べれば魚影が少なくなったことも影響してか、コマセで寄せて釣るこの釣法が広く普及してきている。
 もっとも、その認知度はまだまだ低く、釣具店などで売っているウキ釣りセット仕掛けをそのまま使っている釣り師も少なくないが、この「ホッケのウキ釣りセット」と称するものが、意外とクセモノである。
 本州方面でチヌ・グレを狙う繊細な仕掛けにはほど遠く、かなり大雑把な仕掛けであるため、仕掛けをしっかりと選択し自分で作るだけでも釣果は変わってきそうなものである。
 前述したようにホッケは餌を丸飲み状態で食ってしまうため、仕掛けを流していれば簡単に釣れるのだが意外なことに魚信が微妙である。
 チヌ(クロダイ)などでいう「居食い」の状態で、食った後でも勢いよくウキが消し込んだり走ったりすることがほとんど無いのだ。
 比較的ハッキリ出る場合でも、ウキがゆっくりと沈んでゆくか、じわりじわりとウキが流れるくらいの感じであり、こういう魚信が出たときにはすでに丸飲み状態の場合が多い。
 時には円錐ウキが半分沈むかどうか・・・という微妙なこともあり、こういう魚信でアワセを入れた場合には口に掛かっていることが多いが、少しでもアワセが早いとすっぽ抜けてくることもあるので、タイミングが重要である。
 20年近い本州暮らしでチヌやグレ(メジナ)といった魚を相手にしていた身にとっては、きちんと魚信が取れて、的確なアワセを入れ、ちゃんと口に掛かって上がってきたときは、数釣り以上になんとも嬉しいものである。
 (2006年5月−記)



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