BON VOYAGE!

「哀愁のヨーロッパ」
SPECIAL 1999-2000

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第14話:リコンファームは散歩のついでに。

さて、と。まずは"TimeOut"を買う。水曜の今日が発売日だ。

ブルームズベリー界隈はすっかり変わってしまった。あるいは、私の記憶が変質したのか。

Oxford St.を西へ。歩きながら、目的を忘れた。「え〜と、何をめざしていたんだっけ?」

思い出せないまま、そうか、全日空のオフィスに行ってリコンファームしちゃおう、ということに決定する。バスで行けばいいものを、またしても散歩である。

George St.はショッピング街というよりは、オフィス街だった。番地を知らなければ見過ごすようなところに全日空はあった。

リコンファームなんてえのは電話で、帰国日3日前以前にしちゃえばいいのだが、直接オフィスに出向くのも乙なものである。ちゃんとエアコンが利いていて、いちおうお客さまだから快適なのだ。これでコーヒーか紅茶でも出してくれるということないのだが、もちろんそんなことをしてくれた航空会社にはいまだかつて出会ったことはない。

オフィスには一般客はいない。そういう機能は持たせていないのだろう。受付に来意を伝えると、上に行け、という。なにやら込み入った話の最中ではあったが、リコンファームしたいのだが、というと席をあけてくれた。

「すみませんね、デスクの上が汚くって。航空券はお持ちですか?」
「No, I don't have it now. Flight no. NH202, sixth on January, next year.」

たたみかけるようにしてフライトナンバーにつづけて名前を伝える。

「昨日着いたんですね?」
「Yeah.」

リコンファーム自体はなんの問題もなく済んだ。フライトのプリントアウトも出してくれ、ターミナルは3、チェックインは2時間前。

ここで、気になっていたことを聞くチャンスかもしれない。アイルランドに渡るフェリーについての情報の入手、あるいはチケットの手配がどこでできるのか?  あ、忘れていた目的はこれだった。

彼女は、ここではできないが、いくつかのsuggetionはできる、と3つほどアドレスと電話番号をくれた。旅行会社2社と船会社。

「Thank you so much. It's very kind of you.」

やっぱり、直接リコンファームするというのはいいものだ。なぜか全日空ロンドンにはひとりの日本人の姿も見えなかったけれど。

(第14話:リコンファームは散歩のついでに。 了)

text by Takashi Kaneyama 1999

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