WARNNING!
 
−−−警告−−−

 よっ! オレは藤田浩之、みんな「To Heart」は知ってるナ?
 このSSを書いたバカに代わって、警告するぜ。
「このSSはフィクションであり、Leaf/アクアプラス作品「To Heart」のキャラクターを使ったパロディギャグSSです。特にマルチ原理主義の方は、このSSを見ないほうが絶対に良いです。それでも見る方は……… 怒らないでください」
 じゃぁ、オレは警告したからな。見ても怒るなヨ。

 


Leaf Visual Novel Series Vol.3 "To Heart" Side Story  
たれ○○○ 
Tare"ooo" 

Written By Noboru MIYABI  


「うわぁ、かわいいです〜」
 学校の帰り道で、マルチと一緒に帰ることになった。
 来栖川エレクトロニクス行きのバスを待つ間、俺とマルチが時間潰しのために入ったのは、ファンシーショップだった。
 最近のはやりのアイテムが、所狭しとならんでいる店内のあちこちで、他の娘達と同じ様にはしゃいだりしているところを見てると、マジでマルチがメイドロボには見えない。ただのメイドロボのコスプレをした女の子って感じだ。
「あの、浩之さん。これってなんですか?この前、クラスの人や長岡さんがこのキャラクターグッツを持っていたのですが・・・」
 マルチが見せたものは、やけにデフォルメされたパンダの人形だった。
 最近のはやりで「たれぱ○だ」とかいうやつらしい。
 俺はうろ覚えのことをマルチに教えた。
「そうなんですかぁ。かわいいですねぇ」
 ま、まぁ前にあかりが買った「クマチュウ」よりかはまだマシだろうけどな。
「マルチがこれみたいになったら、どうなんだろうな」
 う、変なことを口走っちまった!慌ててマルチの方を見てみると、きょとんとした表情で。
「わたしがですが?えーっと、わたしはメイドロボですから、たれぱ○ださんみたいにたれられませんよ」
 たしかにそーだ。メイドロボのマルチが、あんな風にたれるなんて出来やしねえ………
「………」
「え? できますよ? ………って先輩!?」
 俺のすぐ後ろに、来栖川先輩が立っていた。どうやらお付きのセバスチャンはいないようだが、どうせどっかで見張ってるんだろう。
 でも先輩、お願いだからそーゆー登場のし方は怖いからやめてほしい。
「………」
「え? ちょっとまってください?マルチを呼んでもらえませんか?」
 こくんと俺の翻訳にうなづく先輩。
「ってことだマルチ、先輩が呼んでるぞ」
「なんでしょうか芹香様?」
 マルチを呼び寄せると、先輩はマルチを伴って店を出てしまった。
「あれ? 何処行くの先輩?」
 2人が出てしまったので、俺も慌てて2人の後を追うことにした。


 先輩御用達の古本屋の前で、先輩から「呼ぶまで入らないでください」と言われてしまったために、仕方なく待っていた。
 しかし先輩、なにをするんだか?などと考えながら待っていると………
 くいっくいっくいっ。
 俺の制服の袖を誰かが引っ張った。
 振り返ってみると、魔法使いモードの先輩が立っていた。
「どうしたんだ先輩? 終わったって?入ってもいいの?」
 俺の言葉にこくこく肯く先輩。
「………」
「え? うまく行ったんですが………?どうしたの先輩?」
 先輩の様子が尋常じゃないのは、芹香ウォッチャーの俺でなくとも、よく分かった。なんせ、あのポーカーフェイスの先輩の背後に、巨大な汗が見えていたんだから。
「……… (・_・;」
「………とにかく入ってみよう。話はそれからだ」
 俺達は、店の奥へと入っていった。

「う………ぐすっ、ふええ、ひろゆきさぁぁあぁああああん!!!!」
 店の奥にいくと、魔法陣のある部屋の中で、マルチがうつむいて泣いていた。
「い、一体どうしたんだ、何をやったんだ先輩?」
 俺はマルチの尋常もない様子から、慌てて先輩を問い詰めた。
「………」
 いつもの小さな声が、心なしか震えている。
「え? 術そのものは成功したのですが………」
 急かす俺に、自分に言い聞かせるように深呼吸をしてから、先輩が口を開く。
「………」
「え!?術がいつもより余計に多くききすぎた。だってぇ!?」
 コクコクコクコク。
 激しく首を縦に振る芹香先輩。
「ど、どおぢまじょお、ひどゆぎざぁぁん」
 泣き声のために、語尾そのものが震えているマルチ。顔は俯いたままなので、よくは分からないが………もしそれが真実なのであれば………
「ごんなになっぢゃいましたぁあああ!!!」


 藤田浩之17歳。この時ほど俺は後悔したことはなかった。
 これじゃまるで美術の教科書に出てきた絵そのものやんけぇえええ!!
「せ、せんぱいっ!なんとか元に戻せねえのか?」
「も、もしかして、もう元に戻らないのですかっぁぁぁ!!」
 あせりまくる俺とマルチ。先輩の言葉一つ次第では、俺達は絶望のどん底だろう。
「………」
「えぇ!? もどせる!? それも早急に!?うんうんそうだよなさすが戦犯………じゃない先輩!さぁ早くとっとと早急に元に戻さないと!」
「………はい」
 小声でそう答えると、さっきと同じ様に俺は「ぽいっ」と追い出されてしまった。
 先輩って、時々綾香や葵ちゃんよりも強くなるし………


「でもよかったよなー、元に戻ってさ」
「一時はどうなるかと思いました〜。やっぱり自然が一番なんですねぇ」
 それからすぐにマルチは元に戻された。さすがに先輩も、自分の軽率な行為を恥じてか、かなり強烈に落ち込んでたのだが、元どおりになったのだから元の鞘もなんとやらだ。
「じゃぁ、先輩もマルチもここでお別れだな」
 目の前は、来栖川エレクトロニクス行きのバス停だった。あんな騒ぎがあって、予定以上に時間を潰してしまったわけで、もう夕日が沈みかけていた。
「じゃぁ浩之さん。また明日学校で」
「あぁ、先輩もな」
「………」
「先輩、おわったことなんだからいいじゃないか」
 先輩の頭をなでなでしてあげながら、俺はやさしく言った。
「芹香様。わたしは大丈夫ですから、そんなに落ち込まないでください〜」
 マルチもいつもの笑顔で言う。
「そんなに沈んでちゃだめだよ先輩」
 その言葉に、先輩はようやく肯いてくれた。しばらくはちょっと沈んでるかもしれないな。
「それじゃマルチ、また明日」
 そう言って、いつものようにマルチの頭をなでてやった。すると………
「あうう〜、しあわせですぅ」
 そう言いつつ、マルチの表情がたれていた。
「………」
 今度は呪文が不完全でした………
 先輩がぽつりとつぶやいた。

おわり

 


あとがき

 えー、どもども。こんなアホなSS書いたバカこと、みやびんです。なんか唐突&突発的なSSですけど、お楽しみ頂けたでしょうか?
 このSS、最初にMASAさんの絵があってこそのSSなんですね。
 というのも、MASAさんの描いた「ダリのマルチ」絵に触発(爆)され、旅先の、しかもMASAさんのサークル(Team S.I.N)主催の即売会「S.I.N 7」の会場内でMASAさんを始め、某HPにて知り合いになった人達との歓談中に、唐突に作品の神様が降臨し、その場の勢いで我が愛機であるノートパソコン「Libletto 50」を立ち上げて、ひたすらキーボードに打ち込むこと3時間。で、内容のほとんどを書き上げてしまったというSSです。(笑)
 このおかげでMASAさんからは「さすらいのSS書き」という称号を頂いてしまいました。(^^;
 MASAさんには即売会以来、いろんな形でお世話になっていますが、少しばかり恩返しできたでしょうか? MASAさん、これからもよろしくです!
 まだSS書きとしては未熟なところがありますが、今後もどこかでみやびんの名前を見たら、応援よろしくお願いします。
 ではまた。



MASAよりのコメント

ども、みやびんさんこのたびは「濃ゆい」SSを有り難うございましたぁ(汗)。
イベント「SIN-SEVEN」においで下さった折りに会場にてまたたくうちにSSを書き上げてにこやかに
「こんなのどうですか?」と見せていただいたのがこのおはなしでした。
読ませていただいたとたん話中の芹香先輩ではありませんが背中に巨大な「汗」マークが出ておりました(^^;;)

この度、晴れてこのサイトにて皆様に公開できる事が嬉しいような恐いような(笑)...
と言うわけで、お楽しみ頂ければ幸いです。

わざわざHTML化して送付して下さったみやびんさんに感謝を込めて...「ありがとうございますぅ」

今後ともよろしく。      

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