アイスクリーム・シャーベットのめんどうな理屈
1.はじめに
どんびえをもってしても、タネづくりが重要なことは言うまでもありません。売っている瓶入りのオレンジジュースをそのままどんびえしても、決して美味しいシャーベットは出来ません。
シャーベット・アイスクリームのタネは、なめて美味しいことはもちろん、特有の算数的問題があります。別段難しくはないので、下をご一読の上、家で作られるときの参考にして下さい。
と思って、書き始めましたが、なかなかうまく説明できず、読んでおもしろくもありません。出来るだけ早く書き直したいと思います。しばらくご容赦下さい。
2.なめらかさと甘さ
シャーベット、アイスクリームは、なんとしても、舌の上で何の抵抗もなく、そして、そこに存在した事実自体が幻であったかのように、なめらかに溶けていくものでなくてはなりません。
このなめらかさを決定するのは、タネの中の固形物の割合です。この割合が、30%前後(どの程度まで許容されるかは、後述)であるとき、この上質のなめらかさが得られます。固形物が多いと、何となく乾いたような、カサカサとした舌触りになり、固形物が少ないと、水っぽく、ジャリジャリした舌触りとなります。
ところが、果物を絞ったジュースなんかだと、固形物は5〜10%ですし、果肉ごとピューレにした物でも、15〜20%ぐらいです。果物のシャーベットのタネは、果物のジュース・ピューレに、水と砂糖、リキュールぐらいしか加えませんから、固形物の割合は、砂糖の量で調節するよりありません。当然ながら、砂糖を入れすぎると過剰に甘くなってしまい、全部が台無しです。(ほら、コースメニューの途中に挟まれる冷菓は、甘さを減らす必要があるため、なめらかなシャーベットではなくシャリシャリしたグラニテが出されるではないですか!)
砂糖を入れて固形物割合を増やしたい、しかし、入れちゃうと甘くなる。そこで、固形物の量と甘さ、そのバランスが重要なポイントとなります。
3.エージング
「シャーベットは出来立てに限る」この永遠の真理には、異論を挟みうる余地など全くありません。しかし、この「出来立て」とは、まさに、凍ってすぐ、ソルベチュール・どんびえから出したばかりの状態をいうのはもちろん、そこから、氷温(パーシャル室ですね)で少し寝かしてエージングさせた状態をも含めて考えなければなりません。
前者は、各素材が独立して個性を主張し、とげとげしくも刺激的な旨さに優れ、後者は、各材料がなじみ、調和から生まれる「まったりとした」旨さに優れます。どちらがより旨いかをあえて決する必要はなく、気分によって、どちらも愉しめばよいことなのです。
ただ、エージングを行う場合には、上の固形物の割合をきちんと合わせることが重要となります。固形物が足りない場合、エージングによって、あっと言う間にジャリジャリとした水っぽいかき氷に変じてしまいます。
一方、本当に、固まってすぐを食べる場合、固形物がかなり少なくても大丈夫です。10%ぐらいの固形物でも、さすがになめらかさは少し後退しますが、まあ、許される程度の仕上がりが得られます。
先に紹介したいくつかの例は、甘さ控えめな私の好みに従い、おおむね固形物の分量が不足気味です。これは、本当に凍ってすぐを食べることを前提として成り立つことです。
(エージングの用語は、正しくはアイスクリームづくりの別の工程をさす用語かもしれません。すいませんが、確認できませんでした。)
3.例題
- それでは、イチゴのシャーベットを例に、材料の配合を考えていきましょう。ちゃんと計算して、それをいかに崩していくかという過程の実践です。材料のイチゴによって甘さが異なるので、砂糖の量は実験のための一応の目安です。本当に作るときには、味を見て加減することがどうしても必要となります。凍らせてから食べるのですから、ちょっときつめの味に整えなければなりません。
- イチゴだけをミキサーにかけて、ジュースを400cc作ります。全く水を入れないとミキサーが回りにくいですが、実験ですから、箸でつついてがんばって作ります。イチゴの固形物は多くても15%以下ですから、60gほどの固形物があることになります。これに、砂糖85g(340÷0.7−400)を加えれば、確かに、固形物の割合は揃います。タネを味見すると、明らかに甘すぎるので、レモン汁を加えてバランスをとります。酸味が加わると急激に甘さを感じなくなるので、バランスはとれるはずです。しかし、これをそのままどんびえすると、甘酸っぱさだけが先に立ち、イチゴの風味はあまり感じられません。また、繊維質が多いからでしょうか、すこし、なめらかというよりもっちゃりした仕上がりとなってしまいます。
- では、はじめに水を200cc加えて、ジュースを作ってみましょう。ジュースの仕上がりは600ccになります。砂糖は、計算するとなんと170g。味見してレモン汁で味を調えて、どんびえすると、なぜかどぎつい甘酸っぱさは多少押さえられましたが、イチゴの風味はまだまだ希薄です。イチゴの風味強化のため、イチゴのリキュールをたっぷり、ジュースの5%、30ccほど加えます。リキュールの固形物に期待して、砂糖も100gまで減らしましょう。レモン汁も砂糖に合わせて減らします。これをどんびえすると、なかなか結構な味です。なめらかさも、十分です。これで満足してもいいのですが、どことなく「高級な市販品」という雰囲気があって、もっと素直にイチゴを楽しみたいです。
- そこで、水の量を100ccまで減らします。砂糖は、思い切って60gでレモン汁とともに味を見ながら加減、リキュールは20cc・・・・とこれでご紹介した分量になりました。ちょっとさっぱり目の仕上がりですが、デザートにならちょうどいいでしょう。一つの例が出来ました。
- 最初に帰って、水を全然加えないで作ったジュースに、味を見ながら、今度は味を調える上で最小限の砂糖とレモン汁と、これまた少々のリキュールで作ればどうでしょう。これがまた、いけます。イチゴの自然な風味が一番生きています。砂糖を減らしたので、最初の例で感じたもっちゃり感はなくなりました。独立したお菓子としては、むしろこちらがいいかもしれません。水全然なしだとジュースにしにくいので、ジューサーが回る最小限の水と、味の上で最小限の砂糖と、レモン汁と、リキュール。この組み合わせも一つの例となるでしょう。
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