老上海(海崙賓館海玉蘭閣)

Take a trip back to old Shanghai


この日は榮順館という、昔ながらの上海料理を食べさせるという店に向かおうと思っていたのですが、南京路で地下鉄を降りてぶらぶらしていると「老上海」という看板が目にとまりました。 そこには、国家級厨師が再現された「老上海風情菜」に腕を振るういったことが書いてありました。 ホテルのレストランなので老上海風情菜といっても、ずいぶんと垢抜けたものとなっていますが、烏蛋蒸臭干、毛蟹糯米圓等等なかなか楽しめました。 ただし、これは連休(中国も日本と同じ時期に連休を設定しています)を挟んでの特別企画なので、それ以外の時期に行っても、同じものあるいは同じものがあっても同レベルのものが楽しめるとは限りませんのであしからず。

店内では旧上海のどことなくけだるい老唱片がながれており、気分はもう“Take a trip back to old Shanghai.”でありました。 居心地が良いので、お昼は毎日ここに通ってしまいましたが、それにしても4回は行き過ぎかなー。



今回は、合計4回ここで食事をしましたが、まず最初は4月30日の昼になります。 この日食したものは上海素八鮮 18元、毛蟹糯米圓 58元(特別価格)、烏蛋蒸臭干 38元、時筍[月奄]篤鮮 28元、蘿蔔絲酥餅 10元、酒醸小圓子 10元といったところです。

毛蟹糯米圓はどんな料理かと思ったのですが、写真を見るとわかるように毛蟹炒年[米羔]のことでした。 まずこの料理で不思議なことは、ソースの絡み具合からして最初に蟹を切ってから料理したはずなのに、まるで調理後に切ったように見えることです。 おそらく、切った蟹を綺麗に並べてその形を崩さないように鍋をあおったということなのでしょう。 このあたりのテクニックが国家級ということなのでしょうか。 もちろん、味のほうも今まで食べたものの内ではベストでした。 なお、特別価格とあるのは日変わりのサービス品で、約6割引ぐらいの値段に設定されていました。

烏蛋蒸臭干は臭豆腐にイカの卵を載せて蒸したものです。 イカの卵の料理と言えば山東料理の烏魚蛋湯が有名ですが、この食べ方もなかなかいいですね。 この店で食べたものの内では一番のお気に入りです。

時筍[月奄]篤鮮は鹹肉と新鮮な筍を使ったスープで、上海の家庭料理の定番です。 ここのものはちょっと高級に蒸して作っているようですが、ちょっとむれたような味になっているところは残念です。 中国飯店や酔仙楼でも宴会の時に出していただいたことがありますがやはり中国飯店のものが一番良かったですね。 この料理は年中作れますが、一番良いのは新鮮な春筍を使ったものだそうです。 筍は時間を争う素材なので、タイミングによって出来不出来が大きく分かれるようです。

酒醸小圓子は餡無しの団子を甘酒に浮かべたデザートです。 ほのかな甘味が嬉しいです。 日本のものは甘すぎるものが多いのでちょっとということが多いのですが・・・。

上海素八鮮は野菜の湯引き、蘿蔔絲酥餅は私の好物の大根パイです。



二回目は5月1日の昼になりますが、この日食したものは 時令鴛鴦筍 18元、富貴桂魚絲 128元、細滷[火会]明骨 68元(特別価格)、七彩燉豆腐 40元、陽春麺 ?元 といったところです。

時令鴛鴦筍は筍と萵筍(チシャトウ)の前菜です。 チシャトウはレタスの茎用種で葉ではなく茎を食べます。

富貴桂魚絲はマンダリンフィッシュ(桂魚)の絲きり炒めです。 10年ほど前錦江飯店で桂魚の清蒸を食したことがありますが、形は綺麗なのにまるで美味しくありませんでした。 おそらく冷凍ものだったのでしょう。 その後、揚州で新鮮な桂魚を食してこの魚の真価をしることとなったのですが、ここのものも悪くないですね。 良い材料をつかっています。

細滷[火会]明骨はサメの骨の料理です。 小ぶりの角砂糖ぐらいのものが沢山入っていたのですが、食感がざらざらしてちょっとなじめませんでした。

七彩燉豆腐はプレーンの茶碗蒸の上に五目豆腐の餡をかけたものです。 陽春麺は具無しのシンプルな麺です。 やはり色々と食した後にはこういったものが良いようです。



三回目は5月2日のお昼になりますが、この日食したものは 江南迷イ尓垪(手偏です) 52元、回鍋肉挟餅 48元、鹹蛋黄蝦球 68元(特別価格)、鶏毛菜 ?元といったところです。

江南迷イ尓垪は前菜の盛り合わせですが、なかなか綺麗に盛りつけられていますね。

回鍋肉挟餅は回鍋肉を北京ダックのように餅で巻いて食べる料理です。 紅糟のような強烈な味がするので、小姐に聞いてみたらチリソースだとのこと。 色もそうは見えないし、酒糟の類の調味料が使われているはずだと思うのですが、面倒なのであまり深くは追求しませんでした。

鹹蛋黄蝦球は蝦に塩卵の黄身をまぶして料理したものです。 河蝦を期待したのですが、残念ながら海の蝦でした。 今回は河蝦を食しませんでしたが、今が旬だけに残念なことをしたと思っています。

鶏毛菜は小ぶりのチンゲンサイのような野菜で、上海人はこれが好きな人が多いです。



最後は5月3日のお昼です。 この日食したものは蒜泥白切肉 28元、汾酒滷牛展 38元、米見(草冠) ?元、麻辣鶏鴨血 10元、傳統焼回魚 58元(特別価格)、葱油拌麺 ?元 といったところです。

汾酒滷牛展は牛のすね肉を汾酒を使って料理したものです。 以前上海の中国飯店で食したものが素晴らしかったのを思い出して注文したのですが、ちょっと期待はずれでありました。 なお、蒜泥白切肉はゆで豚肉の薄きりにニンニクソースをかけたものです。

米見(草冠)はひゆですが、なぜか豆の香がするので、小姐に聞いてみたところやはりひゆだとのこと。 ちょっと不思議な気がするのですが、味の方は充分に満足できるものでした。

麻辣鶏鴨血は鶏の血を麻辣の味付けでで調理したものです。 こういった血のたぐいにはこの調理法は実によくあいます。 本場四川の家庭では鶏の血を麻婆豆腐の味付けで調理して、食すそうです。 なお、上海人の話しでは名前が「鶏鴨血」でも家鴨の血が使われることはまれで、一般的には鶏の血が使われるとのことでした。

傳統焼回魚は鮃と河豚の味を持つといわれる高級魚回魚の紅焼です。 この魚の存在は戦前でも日本の食通のあいだでは知られていたようで、「美味求真」の中に、本当に鮃と河豚の味がするかどうかを確認するため、上海から缶詰を取り寄せて、味を確認するくだりが出てきます。

葱油拌麺はこがし葱のあえそばです。 野菜のスープがつくところが嬉しいです。



上海素八鮮

毛蟹糯米圓(左)、烏蛋蒸臭干(右)

時筍[月奄]篤鮮

蘿蔔絲酥餅(左)、酒醸小圓子(右)



時令鴛鴦筍

富貴桂魚絲(左)、七彩燉豆腐(右)

細滷[火会]明骨

陽春麺



江南迷イ尓垪

回鍋肉挟餅(左)、鹹蛋黄蝦球(右)

鶏毛菜



蒜泥白切肉(左)、汾酒滷牛展(右)

米見(草冠)

麻辣鶏鴨血(左)、傳統焼回魚(右)

葱油拌麺


老上海のとある街角にて?


基礎データ
住所上海市南京東路505号3楼 海玉蘭閣
電話 
営業時間 
お勧め料理烏蛋蒸臭干、毛蟹糯米圓、時筍[月奄]篤鮮、富貴桂魚絲、回鍋肉挟餅、時令鴛鴦筍、麻辣鶏鴨血、傳統焼回魚、葱油拌麺、蘿蔔絲酥餅、酒醸小圓子など
取材日時2001年4月30日、2001年5月1,2,3日




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