老満客 

風情旧上海・老満客のある石庫門(洋風の建物)


清朝末期から民国初頭にかけて、江蘇省靖江に老笆神仙湯(笆は父の下に巴です)で名声を博していたレストランがあります。 この料理を食べるために毎日沢山の人たちがおしかけたので、この店は「老満客」と呼ばれるようになったそうです。 現在、上海にある老満客の老板はこの店の三代目に当たる方だそうです。

今回は、合計2回ここで食事をしましたが、まず最初は12月29日の夜になります。 この日食したものは野山燻鴨 30元(半只)、揚州煮干絲 16元、薺菜冬笋 ?元、竹筒糯米鶏 35元、招牌肴蹄膀 52元、老笆神仙湯 88元、酒醸圓子 12元、蘿蔔絲酥餅 7元、子夜猪油菜飯 3元といったところです。

薺菜冬笋は冬笋とナズナの炒め物で、冬の上海の代表的な野菜料理です。

竹筒糯米鶏は鶏肉のおこわといったところですが、かなり濃厚な味がいたします。 人によっては好みが分かれるかもしれません。

招牌肴蹄膀は豚すね肉の塩漬です。 硝石を入れるので独特の風味が出て色も綺麗になります。 あまり入れ過ぎると体に悪いそうですが、それほど赤くなっていないので分量は控えめになっているようです。 すね肉を醤油で煮こんだりするものは結構あるようですが、この手のものは手間がかかるせいかあまりお目にかかりません。 この日のメニューでは文句無しにこれがベストです。

ここの特色菜・老笆神仙湯は鶏と里芋のスープです。 結構さっぱりした味で私は気に入りましたが、一緒に食事をした上海人は鶏の味が薄いと文句をいっておりました。 着いたその夜から、かなり重い中華を食べつづけていたので、軽めの味にほっとしたといったところでしょうか。

酒醸圓子は甘酒に似た酒醸に白玉団子を浮かべたものです。 白玉団子には餡は入っておりませんが汁のほうに卵を割り溶いています。 お酒の後にももたれないさっぱりとした甘さが嬉しいです。

子夜猪油菜飯はラード入りの炊きこみ御飯です。 本来はもっと素朴な味のものだと思うのですが、結構豪華な味の料理になっておりました。



二回目は元旦のお昼になります。 この日食したものは、手撕風鰻 28元、鹹蛋黄素巻 18元、塔菜 ?元、長江回魚(紅焼) 88元/500g、竜骨[火畏]黄豆湯 28元、蟹粉獅子頭 32元、梅黄豆蒸[魚昌]魚 48元といったところです。

手撕風鰻は鱧を風にさらして作る冷菜です。 ちょっと、日本の干物を思い出させる味で日本人の口にもなじんできます。 代表的な寧波菜の一つです。

鹹蛋黄素巻これもいいですね。 質のよい蛋黄の中に香腸が巻いてあります。

塔菜(ターツァイ)は小白菜の変種で、冬場が旬だそうです。 小姐に蔬菜は何が良いかを聞いたらこれをすすめてきました。

長江回魚はギギ科の魚で、一時は絶滅の危機に瀕していたため値段が高騰していましたが、養殖に成功してからは大分値段が下がったようです。 中国では魚を鱗の有る魚と無い魚に分類しますが、回魚は鱗の無い魚に分類されます。 小骨の無いやわらかい肉質で、とても美味しい魚なので珍重されています。 一説によると、河豚と鮃の味を併せ持つとも言われています。

竜骨[火畏]黄豆湯(写真無し)は竜骨で出汁をとった黄豆湯です。 黄豆は大豆の醗酵食品で豆味噌のような感じのものです。 ある人にこれを食べさせたら、納豆汁と表現していましたが、どちらかと言うと豆の原型を残した味噌と言ったほうが近いかと思っています。 ところで、竜骨とは何でしょうか。 蛇の骨かとも考えたのですが、聞いてみたら豚の背骨のことなんだそうです。

蟹粉獅子頭は塩味の肉団子スープです。 見たところ、あまり蟹味噌が使われていなさそうですが団子の中にかなりの分量がすり込まれているようで、噛み締めるとじんわりと蟹味噌の味が染み出してくるところが嬉しいです。

梅黄豆蒸[魚昌]魚は大豆の醗酵食品梅黄豆をマナガツオにのせて蒸した料理です。 以前の上海であればこのての料理はほとんど見かけることはありませんでしたが、最近ではこういった伝統的とも言える調理法が復活してきているところは喜ばしいことだと思います。



左手前から時計回りに薺菜冬笋、揚州煮干絲、野山燻鴨(左)、竹筒糯米鶏(右)

招牌肴蹄膀(左)、老笆神仙湯(右)

酒醸圓子(左)、蘿蔔絲酥餅(右)

子夜猪油菜飯



手撕風鰻(左)、鹹蛋黄素巻と塔菜

長江回魚(紅焼)

蟹粉獅子頭(左)、梅黄豆蒸[魚昌]魚(右)


基礎データ
住所延安西路1599号
電話6213−7988,9288
営業時間10:30〜22:00
お勧め料理竹筒糯米鶏、招牌肴蹄膀、老笆神仙湯、手撕風鰻、鹹蛋黄素巻、長江回魚(紅焼)、蟹粉獅子頭、梅黄豆蒸[魚昌]魚、酒醸圓子、蘿蔔絲酥餅など
取材日時2000年12月29日、2001年1月1日




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