−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 平成11(1999)年2/13掲載 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3話その2・砂漠の星屑(中)前半 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− S砂漠のはるか東,  N川のほとりに設営されたキャンプの一角・・  テム博士 「この周波数と同じ反応を持つ物体をキャンプに設置してあるレーダーにかけて  分析した結果,・・アジア地方のタクラマカン砂漠にあることがわかった!!」  BS高嶋 「と言うことは,T研の人達は恐らくそこに避難したのですね・・きっと.」  ”チーム・ゴリラ”のテム博士とBS高嶋達一行は, 度重なる危機にさらされているD中尉に”Vアクセラレータ”を渡すべく, ”合体型VR・バーチャリオン”を受け取ろうと月を飛び立とうとするO准尉達よりも 一足先に地上に降り立ち,S砂漠の都阿留研究所のあった場所で壊れた通信機を発見, 修理してキャンプに持ち帰ることに.  しかしそれをメビウスが現れ阻もうとした!  S-AI(※1)を持つ白いグリスボック・嵐紅蓮(ラングレン)に搭載された”Vアクセラレータ”による 装甲車形態への変形で  どうにか難を免(なんをまぬが)れた二人は無事キャンプに戻る.  そして通信機を分析した結果を頼りに,アジア地方のタクラマカン砂漠へと赴(おもむ)くのであった・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−   第4話  「砂漠に落ちた星くずを求めて」        (中編) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  一行は”RNA中華人民共和国満州支部・マンシュウ・ロード流通ステーション”で 砂漠専用トラックから水陸両用中型トレーラーに乗り換えた.  少々危険は伴うがごく短時間で目的地を目指す為,テム博士の提案で 長江(海のように大きな川です)をさかのぼり,上流半(なか)ばで一旦上陸.  山々に挟まれた丘を道なりに抜けて, 遊牧民でおなじみの草原を越えてタクラマカン砂漠へ向かうルートを通ることになった.  (世界地図が手元に有れば良いんですけど・・ないのでその辺の突っ込みは後でお願いね☆^^;;;;)  川岸からかなり離れ周囲を殆ど水平線に囲まれようとした辺りで流れが急に・・いや!! 大きな渦が前方一千数百の距離で発生し徐々にその大きさと深さを増している・・!?  やがて中心深くから,かつて一度砂嵐の中から現れた時のそれと全く同じ影が渦がおさまるとともに その姿を現した. ・・・・ メ ビ ウ ス だ!!  メビウス 「フハハハハ・・!!待ち構えていたぞ,今度は前のようにはいかんぞ・・見るが良い! ゴリラゴリラ,ゴリラ〜〜〜!!!!」  するとメビウスは少々ぎこちないながらもホバークラフトの様な姿に変形した!  まさに嵐紅蓮の見よう見まね,と言った所である.  テム博士 「何て奴だ,変形まで見ただけで覚えたというのか!?」  BS高嶋 「・・まるで青魔・・ゲフゲフん,取りあえず振り切るしか!全速で逃げましょう」  メビウス 「なっ!?こっコラ!・・ちょっと待て,まだ話が・・えぇい落ちるが良い!」  ミサイル弾,魚雷,ビームバルカンが次々と乱射され,一行を襲う!  BS高嶋はすかさず嵐紅蓮に乗り込み,トレーラー後上部ハッチを開いて迎撃体制に入った.  BS高嶋 「え〜っとぉ・・あれとあれとこれね・・やらせはしないわ,撃ち落とす!」  嵐紅蓮 「高嶋様頑張るデシ,オリも精一杯サポートするデシュ!」  しかしグリスボックタイプVRである嵐紅蓮に搭載された,連射性に優れるマシンガンや 何故か水面上でも燃え進むナパームの爆風,さらに嵐紅蓮の両肩からのミサイルの弾幕で これらをどうにか相殺しきる.  メビウス 「おっおのれぇ〜これはどうだぁぁ!」  ホバークラフト(?)の両舷から光が収束され, レーザーが一行のトレーラーめがけて今まさに発射されようとしている!  危うしテム博士達!!  BS高嶋 「・・くっ・・来る!・・ナパームは・・ダメ,・・ミサイルもまだ不十分・・右ランチャーの マイクロミサイルだけじゃ・・まだなの!?(カチカチとトリガを連打(?)している)」  嵐紅蓮 「(ビーッビーッ・・)まだチャージ中デスぅぅ〜(脂汗)」  ・・しかしメビウスの様子が急におかしくなった・・  全身がケイレンして動きが止まり,変形までも解除してしまったのだ.  メビウス 「・・・・・うぐぅぅ!!ぐ・ググ・・・体が・・・おのれミラめぇぇ・・・今頃になってまた拒絶が始まるとは・・・ 肉体だけでもこのザマとはな・・精神を切り離してフェイに押し込めて正解だった・・・  どうやら”憎しみ”をかなり使い果たしたようだ・・・足りぬ・・・もっと”憎しみ”を補わねば・・・  ヤツには勝てぬ・・・うっ!グハァァ」  その巨体はやがてのたうち回りながら少しずつ川底に沈んでいった・・.  テム博士 「何だか知らんが助かった.今のうちに急いで河を登り切るんだ」 −−タクラマカン砂漠−−  テム博士 「こんな所に大型輸送艦が・・”3番艦”・・?」  それにしても周囲の警護が無さすぎである.  物陰で誰かが待ち伏せている様子もない・・近づいても特にこれと言った心配は無さそうだ.  テム博士 「これより私達二人で船内に入る. トレーラー及び嵐紅蓮は何かあったらすぐここを離脱できるようハッチのすぐ側で待機, 何かの時はこちらから追って連絡する.よし高嶋君,行くぞ!」  BS高嶋 「はい.」  輸送班 「博士,お気をつけて・・」  テム博士 「うむ」 −−3番艦内部−−  3番艦の中は恐ろしいほどの静寂で満たされていた.  BS高嶋 「誰もいない・・って事はない・・ですよね・・?」  テム博士 「妙だな・・お!ここだ.」  ・・そこは艦内の集中端末室であった.ここならばD中尉の居場所,もしくは足取りだけでも 掴めるかも知れないと踏んだのである.  ・・・・可能な限りの情報をあさり分析した結果, D中尉はこの周辺には居らず,S砂漠を出発した時点でしばらくの間行方不明になった後, 関東地方の昔のライデン研究所の所へ向かっているとの最新情報がつかめたことは 非情に幸運であったと言えよう.  更にこの艦には”合体型VR・バーチャリオン”なるものが格納されている事まで判明する.  外で待機中の輸送班と通信で相談の結果,確かO准尉達が そのうち引き取るとか言っていたのでついでであるからそれを運び出そうという事になった・・・・.  通路の片隅にあるコンソールを操作して格納デッキの扉を開くと, 本来VR専用ハンガーで整然と固定され,いつでも引き渡しの出来るようそれなりの 保守管理が成されているはずのバーチャリオンは荒々しく解体されていて,パーツのいくつかが (テム,ライ,サイ,グリ,BT,エンジェ・・って,殆どやん(爆))既に無くなっていた・・  テム博士 「これは一体・・これが”バーチャリオン”・・なのか.」  二人がさらに足を進め,後ろ倒しになったハンガーの辺りまで近付いたとき, DNAのものでもRNAのものでもない,見慣れないデザインの軍服姿の男がひょっこりと姿を表した. ANA兵 「待てっ,お前達は何者だ?不審な通信を探知したと思えばコレだ・・これより先は立入禁止だぞ!」  口笛の合図と共に,何処からともなく数人の兵士が物陰から現れ二人の前方を阻む・・ BS高嶋 「ちょ・・ちょっと,そんなお出迎えってアリ!?これ一体どういうことなの?説明して下さいっ.」 ANA兵 「何処ぞの馬の骨に説明する事など無い,帰れ帰れ.」 テム博士 「ま・まちなさい.私は依頼人に代わってこのバーチャリオンを引き取りに来た者だ.(※2) こちらへの連絡や断りもなく勝手に分解処分とはいささか勝手が過ぎると思うのだがねぇ, ・・理由を説明願いたいものだな」 ANA兵 「今行っている作業のことか?そんな事はお前達が知らなくても良いことだ. 手荒なマネはこちらも望んではいない,さぁ,帰った,帰った」 テム博士 「君じゃ話にならないようだな,都阿留研究所の担当技術者に会わせもらおうか?」 ANA兵 「残念ながら都阿留研究所は既にこの艦を放棄したので,我々ANAが代わってここを管轄している. このバーチャリオンも大変危険な代物であるから”NEO TOWERS”に横流・・げっふげふげふん. とにかくだ,しかるべき方法にて分解調査,データが取れ次第安全に処分することが決定している. 何度も言わないぞ・・大人しく引き下がるんだ,さもないと・・(懐から小銃を取り出し二人に向ける)」  テム博士 「やれやれ・・話の分からない人だな・・これだから一般兵卒は・・ おっと,口が過ぎたな.すまんすまん」  ANA兵 「うるさい黙れ!!」 ズギャァァン!!  BS高嶋 「きゃぁぁぁ!!」 ・・・・非情にも,勢いの余りとは言え,引き金は引かれてしまったのである・・・・ CMの後,後半へ続く・・・・. −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ※1:S-AI  ・・通常使用されているAIを介してVRと人とをより身近に出来ないだろうかと言う, 現在完全消滅(?)している「AP計画」とは一線を画すコンセプトの元で開発された.  簡単に言えば物言わぬVRの自立(自律?)意識の代弁者・・と言うべきだろうか(笑) VRパイロットから脳波をコピーして作ったAIにVコンバータから生じる自律意思を M.S.B.S.を介して不完全ながらもリアルタイムで読み込み表現させるもので, 基本的には搭載されたVRとパイロットの相性を飛躍的(←かなり誇張表現)に高めてくれる.  それ故(ゆえ),見事なまでに人とVRとの二人三脚をより可能に近づけているのだが,当然ながら 表面上のコミュニケーションはともかく,実際の操縦時における高い同調は,”チーム・ゴリラ”開発陣いわく 「波長が合わないのか,もしくは意思の疎通がスムーズに行かないのか,ともかく相性が悪い」とかで S-AIの元となったパイロット本人もしくはそれとごく親しい間柄の人物ぐらいでしかあまり得られないのが 難点であるゆえ,  今の開発段階では量産のメドはあまり立っていないようである.  当然,嵐紅蓮のそれはBS高嶋の脳波からコピーしたものと言う事になる.  ・・・・誰も元ネタがス■ングルだって気が付いてくれないし(悲).  ライデンだったらもっと容姿的にシックリ行くのだけれど,それ系のはすでにブレン(謎)が居るから(核爆) ※2:  むろん,その場をスムーズにやり過ごす為の  ”大人特有”の大嘘である(爆) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−=======================