◆ CM考 ◆
コマーシャル(CM)は、基本的には、その商品を宣伝し、より多く商品を売り、
より多くの利益を得ることを目的とするものだろう。
それには、商品の効果を客観的に示すことが大事。
しかし、TVは、絵と音しか伝送できないのが限界だ。
(人間は、視覚と聴覚で多くの情報を得る、ということに合わせて
TVが作られているのだが。)
味、匂い、乗り心地、触感などはTVで表現できない。でもそれを宣伝したい。
どうするか?
ひとつの方法は、それを「体験した人の表情を映す」こと。
実際は多くの場合、その「人の表情」というのは、俳優の演技によって
作られている。これは信用できるだろうか? ノー。
別のアプローチは、
- 商品の効果とは別に、良いイメージを商品と結び付けて示す
- 良くも悪くも商品を印象づける
という方法。
最近は、これらの方法が多いようだ。
商品間で大きな効果の差がなくなってきているせいかもしれない。
メリットの差よりも、知名度が売り上げに効いてくるのだろう。
これらは、人間の感覚が
という性質があることを利用している。
さわやか若者のスポーツの映像と、コカコーラを一緒にしたCMを見ると、
スポーツの後、コカコーラを想起してしまい、さわやかすっきりする
ような期待をもつので、それを買う頻度が増える、というわけ。
あるいは、美人モデルが化粧品のCMに出ると、その化粧品を使うことで
自分も彼女くらいに美しくなるような気がして、買ってしまう。
あまりフェアな感じはしない。
なぜなら、そこで見せられているイメージの連結には、時には嘘がある。
商品の効果とまったく関係ないイメージを提示していることもある。
見栄えはいいが内容のないスローガンのみ掲げていることもある。
ちょっと考えるだけで5つくらいは思いつく。
- Marlboro を吸っているからといって、あなたはカウボーイになって
野山を走り回るタフガイではないし、
- KENT を吸ったからといって、やたらさわやかな景色の場所に
テレポートするわけでもない。
どちらも、煙草の乾燥葉っぱを燃やして煙を吸ってるだけなのだ。
タバコ関係はこういうのが多い(こんなTV CMが流れるのは
日本くらいだが)。
- 「イルカが好き!」が流行ると、イルカと商品が結びつけられる。
- 環境問題が話題になると、「…は地球について考えています。」
(考えるのは当然として)それがビールとどう関係あるんじゃ!
こういうのをどんどん列挙していくと面白いかもしれない。
追加。「非現実的な場所を非常識な速度で走る車のCM」、多いねぇ。
1995/06/10 T.Minewaki
2003/01/05 last modified T.Minewaki
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