(c) TAMURA SHIGERU
本の表紙はまっ黄っ黄。でも中身は違います。
すこぅしだけ色がついて、ざらついた灰色のイラスト。
日食時の日射しの中で見るような、暗いけどコントラストの強い、
一種非日常を感じる光景。
見開き2ページに1話ずつ、1枚のイラストと書き添えられた物語が
全部で 26 話。
日常から少し外れた、いつか目覚め際の夢で見たかもしれない、
おかしくて・悲しくて・情けなくて・残酷で…
そんないろいろな気分にさせてくれます。
たむら氏の想像力に連れられて、空想世界の旅を楽しむ本です。
たむら氏といえば、鮮やかな色使いが印象に残るのですが、
この本はほとんど色がなく、最初にページを開いた時はあれ? という
感じでした。でも読み進むうち、この幻想世界を表現するためには
この色調がぴったりだなぁと思うに至った。
先立つものはやはり想像力(すごいなぁ)。そしてそれを伝えるために
表現手法が選ばれている。さすがだ。