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●カイソウ ●カラバル豆

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 ▼カイソウ(シーオニオン、ホワイト/レッドスクウィル)

図鑑の写真を
スケッチしてみました
どわわわー。

カイソウの皮をはいで紐に吊し、強力な酸を入れた大きな壷の中に、壷の壁に触らないように吊して入れ、石膏で密封して日の当たる瓦の下に48日間置く。夏至の前に行うとよい。酸だけでも視力を強くするし、胃や横腹の痛いときには二日の間絶食して飲むと効果がある。飲みすぎると死んだようになる。カイソウを戸口に掛けておくと悪魔払になる。

プリニウス『中世薬物書』

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球根部分の色によって、ホワイトスクウィル/レッドスクウィルと区別する。この球根部分は人間の頭ぐらいの大きさにもなり、極少量を古くから媚薬として使用してきた。媚薬としてはレッドの方を用いたようである。

毒・害

薬・効

<りん茎
強心配糖体スキラリン(ジキタリスと同様の強心作用をもつ)、スキロサイド、シニストリン、プロストキラリジン、スキリシアノサイド、

症状:催淫効果。大量の使用は延髄に直接作用して血圧上昇や嘔吐をまねき、死にいたる。軽々に扱ってはいけない。

・新鮮なりん茎で男性局所をこする

・去痰剤、利尿剤として。

・レッドのほうはネコイラズとして使用される。


 ▼カラバル豆

図鑑から転載

カラバル豆は、西アフリカにあるジュール川河口のカラバル地方に産する、フジに似た潅木の豆である。古来、“裁きの豆”ともいわれ、原住民は“エゼール”とよぶ毒豆である。

原住民の法廷ではカラバル豆を二、三十個そのまま食べさせるか、あるいは煎じて服用させ、主として夫婦間の不貞を試す「試罪法」に使われた。試罪法とは毒豆や毒液を飲ませ、死ねば有罪、生き残った者は無罪とする方法である。アフリカ各地では、各種の試罪法が行われたため、一つの部族が絶滅しかかったことさえあるそうである。

 さて、カラバル豆の場合、無実な者は、恐れることなく一気に飲み下すので胃が刺激され、豆を吐き出して助かるが、心やましい者は、恐る恐る、少しずつ飲むので、毒が徐々に吸収され、死んでしまうといわれる。

大木幸介『アフリカの裁きの豆』

毒・害

薬・効

<豆(種子)>
フィゾスチグミン、エゼリン

症状:この物質は非常に毒性が強く、0.75mgで致死量。悪心、激しい嘔吐、腹痛、下痢、言語意識障害など。
19世紀の半ば、西アフリカにいた宣教師で医師でもあったダニエル神父がこの豆をロンドンに送り、この物質が単離された。

フィゾスチグミンが眼圧を下げる効果があることから緑内障の特効薬となった。

・また、ストリキニーネ、アトロピンなどによる中毒の解毒剤として利用されるのはなかなかに面白い。