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ホオズキ ●ホウセンカ

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ホオズキ(酸漿)

 お品は身体の快復するまで凝然として蒲団にくるまって居ればよかったかもしれぬ。

十幾年前には一切を死んだお袋が処理してくれたのであったが、今度は勘次も居ないしでお品は生計の心配もしなくては居られなかった。

一つにはそれを世間に隠蔽しようという念慮から知らぬ容子を粧う為に強いても其の身を動かしたのであった。

然しながら其の身を殺した黴菌がどうして侵入したであったろうか。お品は卵膜を破る手術に他人を煩わさなかった。そうして其挿入した酸漿の根が知覚のないまでに軽微な創傷を与えて其處に黴菌を移植したのであろうか、それとも毎日煙りの如く浴せ掛けた埃から来たのであったろうか、それを明らめることは不可能でなければならぬ。然し孰れにしても病毒は土が齎したのでなければならなかった。

長塚節 『土』

山菜とまちがえて食べると幻覚症状をおこし、走りまわることからこの名がついた。

毒・害

薬・効

<根
ヒストニン。

症状:子宮緊縮作用。ホオズキは有毒植物に入らないのかもしれないが、昔からその根っこが自然堕胎を促すのに使用され、かつての悲惨な事情をほうふつとさせる悲しい一面をもつ植物である。

キャプション
鎮咳、解熱、冷え性に乾燥した全草を煎じて飲む。
ホオズキの中には実が食用になるのもある(管理人ただ今栽培中)

   

 ホウセンカ(ツリフネソウ、インパチェンス属)


ホウセンカ


おなじみの種


ツリフネソウ

てぃんさぐぬ花や 爪先(ちみさち)に染(す)みてぃ
親(うや)ぬゆし言(ぐとぅ)や 肝(ちむ)にすみり

〔ホウセンカの花は 爪先に染め
〔親の教訓は 心に染めろ

夜走(ゆるは)らす船(ふに)や にぬふぁ星(ぶし)目当(みあ)てぃ
我(わ)ん生(な)ちぇる親(うや)や 我(わ)んどぅ目当(みあ)てぃ

〔夜に航行する船は 北極星を目当てにして
〔私を生んだ親は 子供の私を目当てにしている

天(てぃん)ぬぶり星(ぶし)や ゆみばゆまりゆい
親(うや)ぬゆし言(ぐとぅ)や ゆみんならん

〔空にたくさんある星は 数えれば数え挙げることができるが、
〔親の教訓は 《多すぎて》数え上げることができない

(以下略)


「てぃんさぐぬ花」
(てぃんさぐぬ花は沖縄でほうせんかのこと)



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やホウセンカやツリフネソウの属名Impatientは、『こらえきれない』という意味で、熟した果実にさわると種子がはじけとぶことからきている。

毒・害

薬・効
<生の全草>
パリナル酸など

症状:誤って食べると大変苦く吐き気を催す。多色すると胃腸障害をおこす。新芽はとてもみずみずしく、ツリフネソウは山菜摘みの際に、またほうせんかは子供の色水遊びのときに誤食しやすい。

・種子を煎じた液は魚にあたったとき(*魚中毒)に飲むとよいとされている。
また魚の骨を溶かすのでのどに骨が刺さったときも有効だとか。それゆえに人間の歯も溶かしてしまうので要注意、とある。
・ほうせんかを日干しにして煎じたものを内服し風邪に。また外用して腫れ物に。

*魚中毒について*
サンゴ表面に生育する植物プランクトンが“シガトキシン”という物質をつくり出す。このプランクトンを食べた魚は体内に毒を含むようになり、その魚を人が食べると、数カ月〜1年間にわたり、下痢、腹痛知覚障害など神経系の症状が起きる。沖縄では年間10件程度の発生例があるという。
2001年にこのシガトキシンの化学合成に東北大のグループが成功したため、ホウセンカに頼らず(笑)、魚中毒(シガトキシン中毒)予防のワクチンや毒の検出キットの開発が可能になるだろう。