キャプ---え---ション

●エゴノキ ●エニシダ ●エンレイソウ

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 エゴノキ(チシャの木、シャボンの木)

武蔵野ではお馴染みの木

日増しに緑が濃くなっていく。武蔵野の雑木林はすっかり“木の下闇”となって、もう五月の陽を透(とお)そうとしない。つい先日までさまざまな濃淡を見せていた林が、油えのぐの緑一色になってしまった。

梅雨入り前のひとときは、たぶん日本列島が一年でいちばん美しい季節といっていいだろう。初夏の雑木林では、どういうわけか白い花をつける樹が多いようだ。その林の中でもくもくと“白い雨”を降らしつづけたエゴノキの花も、あらかた散り終わった。

エゴノキは欧米にはない。英国に輸入されたエゴノキは「日本のスノーベル(雪の鈴)」と呼んで親しまれているという。

『山萵苣(やまぢさ=エゴノキ)の 白露重み うらぶれて 心も深く 吾が恋やまず』

(万葉集 巻11 2469)

産経抄 1999年5月24日付

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エゴノキの実には脂が多いことから、ヤマガラが好んでついばむが、果実の表面には有毒のサポニンを含んでいることを知っているらしく、皮をむいてその中味だけを食べる習性がある。

毒・害

薬・効

<果皮
10%という多量のエゴサポニンを含む。

症状:喉や胃の粘膜をおかす。溶血作用。
口にすると喉を刺激してえぐいので「エゴノキ」の名がついた。万葉集の時代には『山萵苣』と呼ばれる。

キャプション
昔からサポニンを含む植物は魚毒として使用された。果実を集めて袋につめたたき、その汁を川に流すと魚は呼吸ができなくなり浮いてくる。(現在はこの方法で魚を捕ることは禁止されている)

果実をたたいたり、花をもんだりすると泡立つのでこれを石鹸がわりに。私が小さい時はこれでよく手を洗いました。

・加工材としてもすぐれており、玩具やステッキなどに使用される。


 エニシダ(エニスダ、ブルーム)

庭先の花

空を飛ぶ魔女のほうき(broom)はこのエニシダで作られる。
元来『ほうき』は子孫繁栄、増産、魔よけの意味があり、キリスト教の侵略をうけるまで、魔女(witch)というのは、薬草の知識をたくさん持っている賢い女性(wise women)と同義語であった。

『私の医学の知識はみんな魔女に教えてもらった』

パラケルススの言葉
パラケルスス:16世紀ごろのドイツの医師であり化学者。その当時の医学(瀉血による治療等)を否定し、病気は体外の病原体がおこすものであり、化学物質で撃退できると主張した。

毒・害

薬・効

<葉・茎
アルカロイドのスパルティン、サロタミン、ゲニステイン。有毒なので家庭での食べたりのんだりの使用は厳禁。

症状:(不明)
名前はオランダ語のgenistaをそのまま読んだもの。シダの仲間ではない。

キャプション
・強心剤をつくる。
・ホップが知られるようになるまでビールの苦みや香りづけに利用
・妖精の草であり、まじないにつかわれる。
川沿い等地盤の弱いところに植えると土砂崩れを防ぐ。庭木として有用。


 エンレイソウ(シロバナエンレイソウ、オオバナエンレイソウ)



牧場の若草陽炎燃えて 森には桂の新緑萌し
雲ゆく雲雀に延齢草の 真白の花影さゆらぎて立つ
今こそ溢れぬ清和の陽光 小河の潯をさまよひゆけば
うつくしからずや咲く水芭蕉
春の日の この北の国幸多し

『北海道大学 寮歌:都ぞ弥生第4番』

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北大の校章で有名だが、歌詞を見るとこれは「シロバナエンレイソウ」のようだ。

毒・害

薬・効

<根茎
トリリン、サポニン他

症状:嘔吐、心臓麻痺。ショック死をおこすことがあるが口にいれると苦く、嘔吐してしまうので死にいたらしめる程の毒ではない。
芽生えが葉を巻いた棒状で現れるので、食用になるギボウシと間違えることがある。
熱することにより毒が消えることから、葛根の代用として用いられることもあったそうだ。

・根を陰干しにして刻み、水で煎じて食あたりの薬にする。
(食あたりによい、というのはサポニンによる嘔吐作用によって食べた物を吐き出させるという緊急薬としての役割があるということと思われる)

・よく熟した実は食べると甘く、滋養強壮にいいらしい(ただし食べ過ぎると良くない)