「基本の解説」

- ロジカル・シンキングとは文字通り物事を論理的に考えたり、論理的に説明したりするための方法論。
- ラテラル・シンキングとは革新的な発想を生み出すための考え方。
- ラテラル・シンキングは、今から40年ほど前に「水平思考」という言葉で日本に紹介され、新たな考え方として一大ブームを巻き起こした。が、高度成長による大量生産、規模の拡大を求められる時代が続いたことで、効率性アップと相性の良いロジカル・シンキングが重宝にされた。
- 近年の情報の爆発的な増大、多種多様な製品の存在、商品寿命の短期化などで、企業の課題である売上増・利益増が難しい時代になった。ロジカル・シンキングだけでは独創的な発想が生まれにくいとして、それをカバーする思考法であるラテラル・シンキングが、再び脚光を浴び始めている。
- 「ラテラルな革命を起こした任天堂」と「ロジカルな進化を選んだソニー」
- 「駐車場の列に並ぶのがロジカル」「並ばないで済む方法を考えるのがラテラル」
- ロジカル・シンキングは「垂直(論理)思考」と呼ばれるように、考えを深めていく思考法。
- ラテラル・シンキングは「水平思考」と呼ばれるように、思考を水平に移動させる考え方。ロジカル・シンキングのように同じ観点で掘り続けるのではなく、違った観点、違う側面からの思考法。
「ラテラル・シンキング3つの基本」

(1)ラテラル・シンキングは、あらゆるチャンスを広げる
- ラテラル・シンキングでは、ロジカル・シンキングでは思いつかないような大胆な発想を生み出すことができる。
- ラテラル・シンキングをうまく使うことができれば、絶体絶命の状況でも被害を最小に押さえることができる。
- ラテラル・シンキングを活用すれば、メッセージの出し方を工夫することで相手の思考を変えるよう働きかけることもできる。
- ラテラル・シンキングによって今までは想像もできなかった、新たな市場を生み出すこともできる。
- 人は自分たちでも気づかないうちにラテラル・シンキングをしている。
<例>
「渋滞の上り坂で前の車が下がってきたら、どうすればよいのか?」
「低い橋げたにトラックの荷台がハマったらどうするか?」
「爆撃機の帰還率を上げるために米軍がしたこと」
「出にくいケチャップという悪評をひっくり返せ!」
「ラテラル・シンキングで生活を向上させる」
(2)ロジカルでは解決できない問題を突破するラテラル・シンキング
- ラテラル・シンキングでは、もともとの制約から離れて考えることで、さまざまなアイデアを生み出せる。
- ラテラル・シンキングは、新しいアイデア開発に関心がある人であれば、誰もが利用できる思考法である。
- ロジカル・シンキングは、順序立てて考えることで、誰もが同じ判断や結論を導き出すことができる。
- 「批判的に、そして懐疑的」に思考するクリティカル・シンキングは、ラテラル・シンキングにおいても重要な思考法。
- 物事を完璧にロジカルに考えることができる人はいない。
(3)枯れた技術をラテラル・シンキングする
- 新しくはないが、安定した技術のことを「枯れた技術」と呼び、ラテラル・シンキングの大切な要素のひとつとされている。
- すでに確立された「枯れた技術」を流用することで、開発期間は短縮され、開発費や生産コストも抑えられる。
- 「枯れた技術」と「ロジカル・シンキング」との組み合わせでの開発は容易だが、模倣されやすく、価格競争に陥りやすい。
- 「新しい技術」と「ロジカル・シンキング」の
- 組み合わせでも、大半は「すでにある商品の改良」となり、規格争いなどに巻き込まれる。
- 「枯れた技術」と「ラテラル・シンキング」の組み合わせで、イノベーションが生まれる。
「実践」
(1)思考を邪魔するものを取り除く
- 「思い込み」「集団の常識」「情報の伝え方」が、個人の心理や意思決定に影響を及ぼしている。
- 人々が物事を判断するよりどころにしているのが、経験則や感情を手がかりとするヒューリスティックスやバイアスである。
- ヒューリスティックスは判断の精度や速度を上げることを助けるが、ときにとんでもない間違いを引き起こすことがある。
- ヒューリスティックスやバイアスなどを逆に利用することで、さまざまな場面で新たな可能性が広がる。
(2)視点を変えてみる
- ラテラル・シンキングにおいては、「ものの見方を変える」ことが重要。
- 視点の切り替えとして有効なものの1つが、「鳥の目(マクロ)」「蟻の目(ミクロ)」「魚の目(トレンド)」。
- 自分と相手、そして第三者の立ち位置を変えることで、新たな発想ができる。
- 多様な視点を持つことで、固定観念に縛られた判断や的外れな発想を避けられる。
(3)思考パターンを変えてみる
- 「いろいろな視点」と「いろいろな思考」を組み合わせることで、ラテラル・シンキング力はより高まる。
- 人間の決断プロセスは、仕組み化する「男性型」と共感を求める「女性型」に分けられる。
- MBTIでは、思考、情報収集、決断、行動の各プロセスで人間は2つの相反する性質に従うとしている。
- 「交流分析法」では、人間の自我状態は「ペアレント」「チャイルド」「アダルト」の3つに分けられる。
(4)前提を疑う
- ラテラル・シンキングをするときに最初のポイントとなる部分が、「前提を疑う」こと。
- 前提を疑うことで、新しい解決方法を見つけたり、課題そのものを変えたり、課題を消滅させたりできる。
- ラテラル・シンキングどは、「制約条件」だけでなく「どういう状態が目標を達成したと言えるのか」をも疑う。
- 前提を疑うのが得意な人の口癖は、「そもそも」「どうして」。
(5)前提を変化させる
- 「前提を疑う」を応用したのが、「前提を変化させる」。
- ネガティブな問題を逆さから見ることで、ポジティブな印象に生まれ変わらせることができる。
- 知らず知らずのうちの思い込みや固定観念は、「○○の日だから」と理由づけることで解放できる。
- 範囲や時間を拡大・縮小したり、ずらしたりすることで、前提条件を変えることができる。
- ポジショニングマップで考えることで評価軸を変え、前提のフレームを変化させることも可能。
(6)組み合わせる
- コトラーは、ラテラル・シンキングをベースにしたマーケティングでアイデアを商品・サービスに落とし込む方法を提案している。
- ステップ-1は、考える対象を「市場レベル」「製品レベル」「マーケティング・ミックス・レベル」の3つに分けて、そのうちの1つにフォーカスする。
- ステップ-2は、選んだレベルにおいて、「代用」「逆転」「結合」「強調」「除去」「並べ替え」のチェックを行う。
- ステップ-3で、発想やアイデアと実現のギャップを埋める方法を考える。
(7)アイデアを生み出し、実践する
- 優れたアイデアを生み出すためには、まず、たくさんのアイデアを挙げることが必要。
- 「まねしてはいけない」という思い込みを捨てることで、アイデアが生まれやすくなる。
- 「創造的な人」と「創造的でない人」の違いは、「自分は創造的である」と思っているかどうかだけ。
- アイデアを実践するためには「情報を集め」「頭に入れ」「熟成させ」「生まれたアイデアを記録し」「それを成長させる」というステップを踏む。
「ラテラル・シンキング・ツール」
(1)「オズボーンのチェックリスト法」
1.他に使い道はないか?
2.他からアイデアを借りられないか?
3.一部を変更したらどうか?
4.大きくできないか?
5.小さくできないか?
6.一部を代用できないか?
7.並び方を変えられないか?
8.逆にすることはできないか?
9.組み合わせができないか?
(2)「スキャンパー法」
S=Substitute
「代用品はないか?」
C=Combine
「結びつけることはできないか」
A=Adapt
「応用することはできるか」
M=Modify
「修正、あるいは拡大できないか」
P=Put to other uses
「他の使い道はないか」
E=Eliminate or Minify
「削除か、削減できないか」
R=Reverse=Rearrange
「逆にするか、再編成できないか」
(3)「ブレーンストーミング」
- ルール
1.他人の意見を批判しない
2.他人の意見をヒントにさらに発展させる
3.思いついたことを自由に述べる
4.少しでも多くのアイデアを出す
(4)「シックスハット法」
- 複数のメンバーが参加し、アイデアを出すだけでなく、出てきたアイデアを分析し、結果をまとめるプロセスまで含まれている手法。
- ブレストのように発散させるだけではなく、着地点までもっていく方法。
