
社内カンパニー制見直し
縦割り弊害、集権に回帰も
日経新聞/07/8/27
- 事業部門に権限を委譲し、独立した企業のように扱う社内カンパニー制。
- 1990年代から多くの企業に採用された分権的な経営手法だが、最近は縦割り組織の弊害などから見直す企業も出ている。
連携不足に悩む
- ティアックは昨年十月、導入後わずか1年半でカンパニー制を見直した。
- 3カンパニーを7つのビジネスユニットに再編成した。
- 国内外の5工場が各カンパニーの系列下に入った結果、低稼働率に悩む工場が他のカンパニーの製品を生産しにくくなったからだ。
- 再編成後は東京都青梅市の拠点の生産品目をマレーシアで作るなど、工場間の連携が進んでいる。
- 社内のカンパニー制度は「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を割り振り、カンパニーを擬似的に独立した会社のようにみなす組織形態。
- 資本金や資産まで分配することもあるが、カンパニー長への投資などの大幅な権限移譲を単に指すケースもある。
- 独立採算の徹底による利益志向の強化や意思決定の迅速化といった利点があるとされる。
- カンパニー制を見直す企業の多くは、ティアックのように全社的な視点の喪失によるカンパニー間の事業連携不足に悩むケースが目立つ。
- こうした理由のほかにカンパニー制が「単一商材」に近い事業分野には適さないと考えた企業もある。
- ベネッセは今年4月、「進研ゼミ」を中心とした18歳までの学生を対象とする教育事業のカンパニー制を廃止。
- 幼児、中学、高校など階層別に5つのカンパニーに分け権限を委譲していたが、学生対象の事業を社長が直轄する体制に改めた。
- 広告宣伝などマーケティング戦略を統一する方が得策と判断したためだ。
- パソコン販売の東芝情報機器(東京・品川)は間接部門のコスト増加がカンパニー制を見直した理由の一つ。
- カンパニーごとに管理部門を置いたため、従業員千人の規模に比べて間接部門が肥大化。
- 昨年10月、2年間のカンパニー制に終止符を打ち、事業部制に戻した。
- 一定規模以上の企業規模がないと無駄が多くなりがちとなる例だ。
- 半導体商社の丸文は今年4月、2000年に導入した社内カンパニー制を以前の事業部制に戻した。
- 本社の管理機能強化が狙いだ。
- 産業用ロボットなどを扱うシステムカンパニーと、半導体など部品のデバイスカンパニーを3事業部に改組し、各カンパニーに設置していた人事、経理などの管理部門を本社に集約した。
- 見直しの背景にあるのは内部統制の強化。
- 08年度から粉飾決算防止を目的に金融商品取引法により企業は取引や業務の内容の詳細な記録・保存が義務付けられる。
- 「カンパニーごとの管理では内部統制を徹底するのが難しい」と佐藤敬司社長は話す。
有効なケースも
- 同じ企業でも業績の状況によってカンパニー制のような分権的な経営が適している場合と適さない場合があり得るという見方もある。
- 企業の組織運営に詳しい野村総合研究所の小沼靖・上級コンサルタントは「経営を立て直す時には分権経営より、中央集権が適する」と指摘する。
- ソニーは業績低迷を受け、05年十月にカンパニー制を廃止し、中鉢良治社長がエレクトロニクス事業を直接指揮する体制を敷いた。
- 製品や事業分野ごとの組織の壁が低くなる効果が現れているという。
- デジタルビデオとテレビを接続しやすい設計にし、ホームビデオの映像をテレビで見るなど製品同士の連携を進めている。
- 「かつてのように家電製品を個別に開発する時代ではなくなり、製品同士の結びつきが重視されるようになった」(ソニー)
- その結果、縦割りのカンパニー制の組織がそぐわなくなった。
- ただ、カンパニー制に現在も利点を見いだす企業もあることも見逃せない。
- 三菱マテリアルは99年以来、カンパニー制を維持。
- 「セメント、非鉄金属、切削工具、電子材料と事業領域が広く、各事業が個別に経営判断を下す方が効率的」(経営企画室)だからだ。
- 同社は本社部門の部長以上やカンパニーの幹部を集めた会議を毎月開催する。
- 事業の規模が大きく多角化が進んでいる企業の場合は、縦割りの弊害を取り除く工夫をこらせばカンパニー制が有効なケースもありうる。
- キリンビールは今年7月にキリンホールディングスを設立、分権経営を推進するため、カンパニー制から純粋持ち株会社制に移行した。
- カンパニー制は持ち株会社制に移行する前の過渡期の組織という側面もあるが、アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス(東京・千代田区)の金巻龍一常務は「カンパニー制は市場環境の変化に応じて事業部制に戻しやすい利点もある」と指摘する。
- 中央集権と分権のはざまで組織形態の模索を続けている企業は少なくない。
- そうした企業にとって自社の事業規模や多角化の進展具合を見極めたうえであれば、カンパニー制を採用する余地はありそうだ。
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カンパニー制を見直した企業の事例 |
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社名 |
時期 |
特徴 |
| ソニー |
05年10月 |
製品間の連携を重視 |
| ティアック |
06年10月 |
工場の稼働率向上などが目的 |
| 東芝情報機器 |
06年10月 |
間接部門のスリム化などが狙い |
| 楽天 |
06年11月 |
全社的な新規事業創出が狙い |
| タワーレコード |
07年03月 |
社長の意思決定が明確に反映できる事業部制に |
| 田村大興ホールディングス |
07年04月 |
傘下の電話機製造、サクサで事業部制に |
| メルシャン |
07年07月 |
親会社の経営戦略の円滑な浸透が目的 |