ラッフルズホテル


  
パームコートスイート

 パームコートの部屋は、このホテルの標準的な部屋だという。それでも面積は75平米もある。部屋に入ると冷房が効いていて心地よい。天井の扇風機は、動くことだけは確認したものの、結局は使わなかった。
 スーツケーツからジャケット&パンツやらネクタイやらシャツやらの変装用衣装を取り出し、大きなクローゼットに順次吊るしてゆく。私の普段のライフスタイルからかけ離れているので、トリックスター(ここではペテン師の意味)になっているような気がした。(笑)
その作業を終えたところで、旅行社の現地ガイドさんが注文していたはずのウェルカムドリンクが来ていないことに気がついた。
「ええい、やむを得ない」とつぶやきながら、ベッドの横にあるバトラー呼び出しボタンを押す。しかし、このボタンを本当に使うことになるとは思ってもみなかった。


シンガポールスリング

 バトラーのMさんが直接部屋に来るのだろうと思っていたところに、突然、部屋の電話が鳴った。
「うわっ!いややな」、と思いながら、頭を英語モードに切り替えて電話に出る。
私「はい、これはKがゆうてます」
相手「ミスターK。何かお助けが必要ですか?」
私「ミスターMどすかぁ?」
相手「はいMです」
私「ウェルカムドリンクが届いてまへんがな」
M「何をお飲みになりますか?」
私「シンガポールスリング。アルコールを入れておくれやっしゃ」
M「シンガポールスリング。アルコール入りですね。・・・それでよろしいですか?」
私「よろしゅおす」
M「かしこまりました」
という苦労の会話の末、バトラーのMさんがシンガポールスリングを部屋まで届けてくれた。ロングバーから持ってきたのか、それともライターズバーから持ってきたのかは不明だ。
このカクテル、大量生産方式で作っているということなので、どちらのバーのものでも同じことだが。
早速、部屋のダイニングで本家本元のシンガポールスリングをいただく。


パームコートと本館

 午前7時。モーニングコールにたたき起こされる。昨夜、バトラーにモーニングコールを頼んでおいたからだ。シンガポールの朝は遅い。窓を開けると、まだ周囲は薄暗い感じだ、同じ時季の大阪の午前5時ぐらいの明るさだと思う。
 いよいよ今日はマレーシアのジョホールバルまで遠征する日である。


ホテルの朝

 写真の廊下を通って、本館のティフィンルームに向かう。レセプションの担当者にルームナンバーを告げて、ビュフェスタイルの朝食をとった。コーヒーとジュース。パンにべーコンにソーセージほかをいただく。
 朝食後、ジャケットを脱ぎ捨て、マレー鉄道のローカル列車客に溶け込めるような「いつもの鉄ちゃんスタイル」にドレスダウンする。(ドレスダウンの使い方を間違えているようだが?)
さすがに、この姿で、このホテルのロビーを縦断するのは気が引けるため、パームコート横の“RESIDENTS ONLY”と書かれた裏口扉から、こっそりホテルを抜け出す。 これから悪事を働く「ラスコーリニコフ」になったかのような気がしたが、「良いことは悪いこと。悪いことは良いこと(Fair is foul, and foul is fair.)」とつぶやくことによって、それを打ち消す。
“RESIDENTS ONLY”の扉を出ていくときは、ボタンを押したあと手で扉を開ける。ホテルに戻ってきたときは自室のルームキーを使って扉を開けることができる。