瑞牆山、黒姫高原、妙高高原、笹ヶ峰、鉢伏山

周遊ドライブ

2003年7月1-2日、グリーンウッド夫妻は2泊3日の旅にでかけた。ハレーダビッドソンの仲間、荻原夫妻から氏が創業した妙高高原の「ホテル秀山」(Hotel Serial No.162,163)の別館、旧、「池の平ホテル」を今売れっ子のホテルデザイナー松葉啓にデザインしてもらって改修し、「須弥山の湯 一の宿 元」(Hotel Serial No.256)として再オープンしたとの案内をもらった。いくつかの部屋は専用の露天風呂付きにしたとのことなので、ゆっくりとくつろぎたいと出かけることにしたのだ。

とはいえ、どうせ出かけついでにと、山梨のNPOから設計を依頼されているマキコジェネ設備を設置する山梨県須玉町黒森の鉱泉施設「みずがきランド」(都市農山村交流センター)も視察し、帰りには鉢伏山も再訪しようと欲張った。中央道須玉ICで降りて増富ラジウム鉱泉に向かう。増富には温泉宿もいくつかあるが、町営の「増富の湯」は真新しく立派に見えた。瑞牆山(みずがきやま)登山者の愛用の湯らしい。ここから本谷川沿いに瑞牆山荘(標高1,520m)に向かう。道は狭いが清流に沿った気持ちの良いところだ。瑞牆山荘は瑞牆山登山(2,230m)の基地となる山荘である。小奇麗に見えた。登山者のものと思しき車が駐車してある。ここはノンストップで黒森の鉱泉施設に向かう。瑞牆山荘からは道も広くなる。黒森の鉱泉施設は休止中のようであった。付属の食堂で「手打ち蕎麦」の昼食をとる。結局、瑞牆山はその姿を見ることはなかった。

ここから信州峠までは道も広い。峠にはなにもない。東京向けの高原レタスが栽培されているビニールシートで覆った畑の中を下ってゆくと、川上村の中心部にでる。かって塩山に抜けたとき通過したルートを逆行する。川上村から佐久ICまでは小海線沿いの一般道を行く。佐久ICから信濃町ICまでは高速をひとっとびだ。黒姫牧場で苗を植えたばかりのコスモス畑と乳牛の群れをみる。黒姫ラベンダー園を探して雨の黒姫高原をさまよう。このラベンダー園は民間の施設としては屈指の規模とのこと。

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黒姫ラベンダー園

日もかげるころ、妙高高原、池の平の「須弥山の湯 一の宿 元」につく。荻原夫妻が出迎えてくれた。二階の奥の2部屋は松葉啓のデザインしたホテル紹介のテレビ番組で見たとおりであった。部屋の外にベランダを設け、そこに御影石の露天風呂がしつらえてある。湯は湯船の縁から常時あふれている。本物の温泉だ。池の平温泉郷中心部にあるにもかかわらず、約3,000坪の広大な林の中の一軒家なので覗かれる心配もない。ここで風呂にはいり、温まった体を籐椅子に横たえ、高原の涼しい風で冷やしつつ、持ち込んだ藤沢周平の「海鳴り」を読む。体が冷えれば風呂で温めるというサイクルをくり返した。ちょうど夏のプールサイドにいるような錯覚に陥る。持ち込んだ「海鳴り」は2泊している間に完読した。テレビの威力は大きく、予約殺到とのこと。

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須弥山の湯 一の宿 元 石楠花の部屋

翌日は妙高山と黒姫山に囲まれた標高1,300mの笹ヶ峰牧場に出かける。いままで日本で見た牧場のなかでは広さも、風景も英国のそれに近い感じである。ブナとナラ(オーク)の大木が点在し、牧草もヨーロッパ産であるのが英国を思い出させる所以であろう。毒のあるキンポウゲを牛が食べないためか牧場は黄色の花の絨毯のようである。周りを高い山で囲まれている盆地であるため、山越えの風がフェーン現象を生じて乾燥し、梅雨時でも梅雨が来ないところとか。下界は雨でもここは晴れていた。

県営のためか、牧場を横断する英国のパブリックフットパスのような通路が設けられており、自由に散策できる。端から端まで散策に3時間かかった。梅雨時に訪れるには最適の場所と思うが、グリーンウッド夫妻以外は無人の楽園であった。山菜も路傍に沢山ある。ここはかって妙高山の噴火でせき止められた湖水の底に土砂がたまってできた高原とのことである。高田藩が江戸時代末期に開墾し、御新田という村を作り、馬鈴薯とか栗を栽培していたというが、馬鈴薯に疫病が出て放棄されたという。明治37年に入って杉野沢村の有志が牧場にしたが、上手く行かず、今は県営牧場になっている。ミルクは生産せず、主として小牛を育てる目的で使用されている。牧場内でかっての村の跡とおぼしき石垣のあるところがあった。

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笹ヶ峰牧場から金山方向を望む

牧場の奥に発電用のロックフルダムがある。この人造湖(乙見湖)を囲む火打山(2,462m)、焼山(2,400m)、金山(2,220m)にはまだ残雪がのこり、すばらしい景観を作っている。この湖畔に唯一ある食堂で山菜蕎麦の昼食をとる。かって企画した火打山登山が雨で流れたままになっており、いずれその機会もあるだろうと登山の拠点となる山小屋明星荘を視察方々、乙見峠越えで小谷温泉に行く林道に分け入ってみた。舗装は途中で途切れ、先は残雪で通行不能ということで引き返した。

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乙見湖

 ロックフィルダム上、左から金山、焼山、頂上は雲の中の火打山

第3日は長野・松本経由塩尻ICで降り、東山山麓広域農道・崖の湯経由で先週登った、鉢伏山に登った。レンゲツツジは盛りを過ぎていたが鉢伏せ山北面にはまだ半分くらい残っていた。前回に比べ視界はよく、穂高・槍も一瞬だけ見えた。また南には高ボッチ山の全景を目にすることができた。高ボッチ牧場にも立ち寄ってみたがまだ閉鎖中であった。先週すばらしかった前鉢伏山のレンゲツツジは終わっていた。前鉢伏山は駐車場から水平移動で入れるので車椅子の方々でも登山できる山である。

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鉢伏山山頂から高ボッチ山を俯瞰

July 4, 2003


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