シリアル番号 | 747 |
書名 |
奴隷になったイギリス人の物語 |
著者 |
ジャイルズ・ミルトン |
出版社 |
株式会社アスペクト |
ジャンル |
歴史 |
発行日 |
2006/1/3第1刷 |
購入日 |
2006/1/20 |
評価 |
優 |
原題:White Gold by Giles Milton
ローマ人の物語 XIV を探しに丸善に立ち寄り、発見即購入。松原久子の「驕れる白人と闘うための日本近代史」で白人奴隷貿易を知った直後であたっため。ただこの本の対照は白人が白人を売った奴隷貿易ではなく、海上警備力不足でアラブの略奪船の犠牲になった船乗達の話で背景は異なる。
コーンウォール出身の11才のトマス・ペローが伯父が船長をつとめるフランシス号に乗り込むところから話は始まる。ファルモス港を出港し、ジェノバでマイワシの干物を売り、ウェストカントリーで売れそうな商品を積んで帰途についたとき、サレ海賊の捕虜となってしうまうのだ。アン女王がモロッコの凶暴なスルタン、ムーレイ・イスマイルに平和協定締結時に約束した献上品を届けなかったために協定が破棄されたためであった。以後、彼は23年間ムーレイ・イスマイルの奴隷であったが、賢かったことと断固たる性格のためムーレイ・イスマイルの信頼を勝ち取り、無事生還して記録を残したのである。
そこで彼が目撃したことはまさにアラビアン・ナイトそのものの世界だ。トマス・ペローはその賢さゆえに生還できたが、無残に死んでいった白人奴隷は100万人にたっしたという。
これを読んで、北朝鮮の拉致事件のようなことは人類史とともにあったということが切実感をもって実感できる。しっかりした国家があって初めて国民の安全を保護できるということのようである。