神漬グリーン・リサイクルセンター

藤沢市の北に遠藤という所がある。いすず自動車とその傘下の工場がまとまってあるところであるが、プレス工業の隣地に神漬グリーン・リサイクルセンターがある。何をしているかというと、この界隈に多い神奈川県漬物工業共同組合の会員会社が排出する野菜残渣を集めて24時間でコンポストにし、漬物工場に野菜を納入している野菜生産者にコンポストをリサイクルする事業をしている。

グリーンウッド氏の高校時代の同期生西沢重篤氏がコンポスト製造設備の概念設計をし、プレス工業が施工した。西沢氏が工場長を勤め、社員は 約10名で操業している。社員は皆停年退職者で平均年齢65才、最高齢73才である。

なかなか良くできた設備で、出来上がったコンポストは良い香りをしており、飼料にもできるくらいである。このコンポストを利用している野菜生産者の評判もよろしいようである 。処理工程を紹介すると:まず搬入された野菜屑はスクリュー式粉砕・窄汁機で粉砕・窄汁される。

粉砕・窄汁機(緑色)とパイプコンベア(黄色)

搾りかすはパイプの中にコンベアチェーンを通し、そのチェーンに円形状の鋼板を取り付け搾りかすを掻き出しながら搬送するパイプコンベアにて横置き回転ドラム式発酵機に供給し、通気・加熱・発酵・乾燥を行う。ここで適温下で好気性菌の作用によって24時間以内に発酵乾燥されコンポストになる。発酵機の排気ガスはスクラッバーや活性炭で脱臭されるので臭気公害はない。

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横置き回転ドラム式発酵機と製品のコンポスト

窄汁は活性汚泥法による処理で空気をルーツブロワーで吹き込んで好気性菌により工業団地の排水基準のCOD値600ppmまで浄化する。(実際には能力に余裕があり10数ppmまで低下)

回転ドラム式発酵機内撹拌羽

窄汁の好気性菌による処理

一日の設計処理能力は野菜屑10トン、建設費1.5億円の半分は国、県、市の補助金によってまかなわれたそうである。 運転費の最大のものは乾燥用燃料費で季節により変動する。

漬物業者より野菜屑処理費として22円/kgを徴収。製品は2円/kgで生産農家または肥料会社に販売する。実処理量は7.5トン/日(187.5トン/月)。収入414万円/月、人件費、電力、重油、水道、土地代、機器償却費、消耗品ほかの必要経費は400万円/月で収支トントンである。

東京農大の総合研究所、リサイクル研究センターの後藤逸男教授の研究によれば、コンポスト化より、乾燥法の方がすぐれているとのことであるが、西沢法は発酵より乾燥の方が早く進むので、実質乾燥法と言ってよい。

グリーンウッド氏はかって職務として真空乾燥機でコンポストを製造する装置の技術評価をしたことがあるが、真空下では好気性菌が働く余地がなく乾燥はできても発酵はできない。したがってよいコンポストはできない。これに比べ、神漬グリーン・リサイクル・センターのコンポスト製造装置加熱・通気方式なので、好気性菌が働き程よい発酵が期待できる方法である。

2007年3月30日、高校同期生の土屋氏とグリーンウッド氏が本センターを見学した。

西沢氏はまた自ら製造するコンポストの有効性を試すため、みずから無農薬・有機栽培農園を神奈川県瀬谷と長野県飯山市の鍋倉高原で維持している。グリーンウッド氏は瀬谷で栽培している有機野菜をいただいていくつかの料理作って愉しんでいる。 また鍋倉高原で栽培している大豆はノース・ウエスト・アース・フォーラム開催と同時に枝豆として収穫させてもらっている。

この方法にはただ一つだけ問題がある。2008年の石油価格高騰により燃料費が大きなコスト要因となった。またグローバル・ウォーミングにもよろしくない。解決法はディーゼルエンジン発電機を導入し、発電しながら 粉砕・窄汁機、回転ドラム式発酵機内撹拌羽、廃水処理用動力など所内動力をまかない排気で乾燥させることにすればよい。 ディーゼルエンジン排気でもし熱が不足なら既設加熱器で少し追焚きすればよい。ディーゼルエンジン発電機など工事現場で使った中古品が沢山ある。電力が余ったら電力会社に売電するのも良いだろう。

自家発の廃熱を乾燥に使うスキーム

2001/12/29

Rev. December 15, 2008


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