賢母クサンチッペが生んだ
四匹のアビシニアンの赤ちゃん





お産をしてから、赤ちゃんを守ることに
必死の面持ちのクサンチッペ、その気持ちを思いやり、
人が覗けないように家の角の寝床の上に覆いをしてやったお母さん、
旅行で家を空ける時、留守番のお兄ちゃんに
「毎日ちゃんと元気でいるか確認してね」
と言い残して出かけていきました。

お兄ちゃんは毎日覆いをとっては「ひい、ふう、みい……」
ある日ふたをあけたら中はもぬけの殻……
「これはあぶない……」と考えたクサンチッペ
赤ちゃんを全部移動してしまったのでした。

やがてそろそろ離乳期かなと思うころ、
夜中にクサンチッペに鼻をぐいぐい押し付けられ
眠い目をこすりながらフラフラ起きたお母さんを、
クサンチッペが子猫のいるところへと案内します。
そこにはお腹を空かせて落着かない子猫ちゃんたちがいました。

チッペ母さんは、
「ニャー、もう私のおっぱいでは間に合いませんよ」
「さあ、離乳食をお願いしますよ」「ニャー、ニャー」
と寝ぼけまなこのお母さんに言ったのでした。

この四匹の子たちはすくすくと育ち、みんな養子に行きましたが
それまでにはチッペ母さんに
ちゃんとおしっこやウンチの仕方も教わり
子離れしたチッペ母さんに
「ニャー、元気でね」「ママの教えたことを守るのですよ」
と言われて家を後にしたのでした。


「あなた、もうそろそろ生まれそう……」
「頑張るんだよ」
と臨月の奥さんを励ます夫のルード




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